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復活

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また、読者の意見も参考にしたいので、どんどん感想もお寄せください。それによって展開に反映したりします

一方、祭壇の上で戦うエルフリーデは、徐々にジョンロンに押されつつあった。

「ははは。ワシは厳しい修行の結果、『蛇腹剣術』を編み出した。貴様ごとき敵ではない」

ジョンロンが持っているのは、刃の部分がワイヤーで繋がれつつ等間隔に分裂し、鞭のように変化する機構を備えたスネークソードといわれる剣である。


剣としての剛性と、鞭の柔軟性を併せ持ち、節々に分かれた刀身部の切削を鞭の打撃に加えられ、さらに剣と鞭の状態では倍程度間合いに差が出るため交戦距離を自在に変化させることが出来る。


相手が迫ってくれば剣で迎撃し、引けば鞭で追撃。さらに変形時の「伸び」を利用した射突攻撃にエルフリーデは翻弄され、体中に傷を負って血が噴き出ていた。


「くくく……そのままどんどん血を流し続けるがいい。白竜様の復活は近いぞ」

ジョンロンはエルフリーデの返り血で染まった姿で笑う。封印石板に散らばった血に反応し、祭壇の振動はどんどん激しくなっていった。


「くっ、助けにいきたいけど、姫子の輸血をやめるわけにはいかないし……」

『ワシに任せるのだ。ワシを娘の元へ!』

勇人の首にかけられたネックレスから、そんな声が聞こえてきた。


「ええい。頼みます」

勇人は『空神珠』を外すと、祭壇に向かって投げつける。珠は転がっていき、ジョンロンの足元にたどり着いた。


「これでトドメだ!ぬっ?」

ジョンロンの振り下ろした蛇腹剣は、『空神珠』から飛び出した人影が持つライフルに受け止められるのだった。



「お父さん……」

そう呼びかけるエルフリーデに笑いかけると、珠から出てきた源人は、ジョンロンに向き直った。

「ワシはただの人間だが、南方財閥の御曹司として生まれて70年、何度となく命を狙われた。死にかけたことも一度や二度ではない」

源人の身体が膨らんでいき、服が破れてその下から老いてなおたくましい筋肉が現れる。


「そんなワシが生き残れたのは、我が師『舩坂弘』から氣功術を学んでいたからだ。『硬氣功』」

その体を、硬い『気』が覆って守っていく。マッチョ爺さんになった源人は、エルフリーデをかばって、ジョンロンと対峙した。


『舩坂弘』とは第二次世界大戦時、日本兵の中で唯一個人で戦史に刻まれた、不死身と言われた軍人である。

どんな大けがをしても復活して、個人でアメリカ軍に大打撃を与えることができたのは、『硬氣功』で身体を守っていたからであった。


「我が師は銃剣術の達人であった。ワシも一通り学んでおるぞ。いざ、勝負!」

「何を!このジジイが!」

激怒したジョンロンが、剣で突きかかり、源人は持っていたライフルで払いのけた。


ジョンロンと源人は、激しく打ち合う。しかし、次第に源人は防戦一方に追い込まれていった。

「ふふふ。やはり貴様はただの人間。その上老人だ。まがりなりにも竜の血を引くワシにはかなわぬ」

剣と銃を交差させながら、ジョンロンは笑う。


「このまま切り刻んでやる」

ものすごい力で押し切られ、源人は膝をつく。


力比べではかなわないと思った源人は、相手の力を利用してジョンロンの下にすべりこんだ。

勝利を確信するジョンロンの身体に、衝撃が走る。


「くらうがいい。舩坂流銃剣術奥義『蹴鞠』」

「ぐはっ」

下から放たれた源人の蹴りが鳩尾に食い込み、ジョンロンの身体が宙に浮く。その瞬間、稲妻のように銃を構えた源人は、引き金を引き絞っていた。


「ぎゃあああああ!」

鉛玉に撃ち抜かれ、ジョンロンは血まみれになって吹っ飛んでいく。


銃剣術の奥義に、剣を銃で受け止めた隙に足で相手の胴体を蹴りとばし、相手の身体が宙に浮いた瞬間に至近距離から銃弾を叩き込むという技がある。源人はこの技を完璧に体得していたのだった。



祭壇の源人の元に、勇人と回復した姫子が駆け寄ってくる。

「お爺さん。すごいです。あんな技初めて見ました」

源人の超絶技を見た勇人は、尊敬の目で見つめた。


「そうじゃろう。ワシもまだまだ若い者には負けんぞ。かっかっかっか……ぐはっ」

源人は腰を抑えてうずくまる。無理な動きをしたせいで、腰に鋭い痛みか走ってしまった。


「お父さん。無理しちゃだめ。ハイヒール」

エルフリーデは、優しく源人の腰に手を当てて、治療信号を放った。

命がけで母を守ってくれた源人を、姫子はうるんだ目で見つめる。


「あの。今まで……ごめんなさい」

「よい。お前たちが無事であれば、それでいいのだ」

源人は相好を崩し、姫子の頭を、やさしく撫でた。


「お爺ちゃん……ふぇぇぇぇぇん」

姫子は初めて源人を祖父と呼び、泣きじゃくりながら縋り付くのだった。

嬉しそうにその様子を見ていたエルフリーデンが、ハッとして声を上げる。


「あっ!ジョンロンが」

慌てて振り向いた一同がみたものは、祭壇に開いたひび割れに身をささげようとするジョンロンの姿だった。


「かくなるうえは……この身を捧げて白竜様の復活をなしとげる」

ジョンロンは、エルフリーデの流した血がついた自らの身体を、ひび割れに投げ入れようとする。


「ちょっ!やめろ!」

「はははは……こんな世界など滅びてしまえ」

ジョンロンが哄笑した瞬間、彼の身体はひび割れの底に落ちていった。


「なんてことを……」

勇人が呆然としている間に、祭壇の振動はどんどん激しくなっていく。


「ここは危ないぞ。逃げるのじゃ!」

源人の言葉に、勇人たちは一目散に逃げだす。勇人たちが離れた瞬間、ひび割れが拡大して祭壇は完全に崩壊した。


「グァァァァ」

開いた穴の底から、巨大な竜が現れる。その姿は、亀のような体に蛇の頭がついているガメゴンといわれるタイプの巨大竜であった。


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