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救世主

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南方家の屋敷


「あの、協力してくれるのはありがたいけど、なぜメイドに?」


「勇人から子種をもらうためだよー。源人お爺ちゃんにも『勇人を頼む。子供をたくさん産んで我が家を繁栄させてくれ』と頼まれちゃった」


魔法巫女ウズメの姿になった玲は、そういって明るくわらった。


ちなみに姿は巫女服をメイド風に改造したものである。


「あんのクソジジイ……自分で作れよ。ってもう無理か」


「今の南方家には本家を支えるべき分家がいないから、勇人の代でたくさん作るんだって。はあはあ……私、頑張るね」


そういって息を荒くする玲に、勇人は若干引いてしまう。


「あの、玲さん。なんか性格かわってない?」


「ご、ごめん。嫌だった?これはコスプレみたいなものだから、変身したら抑え込んでいた自分を解放したくなるというか、はっちゃけたくなるんだよね」


玲は恥ずかしそうに、スカートを押さえた。


「いや。これはこれでいいんけど」


「ふふっ。女の子には、いろいろな面があるのだよ。いつでもいいんだよ。ご主人様」


小悪魔のように耳元でささやかれ、ゾクゾクしてしまう。


「ボ、ボクタチ高校生なので、健全なおつきあいを……」


「もう。ヘタレなんだから」


玲は不満そうに頬を膨らませた。


無表情な普段の姿から一転、コロコロと表情を変える彼女に翻弄されながら、勇人は本来の目的にとりかかる。


「よし。ネットを通じて世界中に呼びかけるぞ」


「はーい」


玲はカメラの前でポーズをとる。


「世界中の魔女のみなさーん。日本のウズメでーす。私たち魔女に安住の地を与えてくれるパトロンがみつかりました。みんな、海設都市『後醍醐』に来てくださいね」


ウズメのメッセージは、魔女だけが参加できる交流サイトを通じて、占い師やジプシー、娼婦として世界中で放浪している魔女たちに広がっていくのだった。



しばらく後


海設都市『後醍醐』には、全世界から数万人の魔女が集まって新たな魔女階層エリアができつつあった。


彼女たちは、安住の地が与えられると聞いて、喜んで通貨決済バイオチップ『ゴスペル』を受け入れ、住人登録をした。


まだ建物の建設が追い付かず、テントを張って区分けしただけながら、そこに住む魔女たちの顔は明るい。


「ここが私たちの新しい居場所?」


「気候も温暖でエレベーターを上がればすぐに海があるリゾート地だなんて、最高!ここを私たちの街として、発展させるわ」


こうして、あっという間に活動を始めていく。


下層の採掘エリアで物品販売や掃除洗濯を請け負う者、食堂を開く者、露天で怪しげな薬や品物をとりあつかう者、そして飲み屋やいかがわしいサービスの店を開ける者など、雑多な雰囲気の並ぶ繁華街が出来上がった。


「しかし、あっという間に集まったな」


「私たち魔女は世界中を放浪してきた一族。安心して暮らせるコミュニティができるなら、みんな喜んで来日する」


勇人と玲は、新しくできた魔女街でデートしている。


集まってきた魔女たちは人種も黄色人・白人・黒人と多彩だったが、それが受刑者たちに新たな刺激を与えていた。


「姉ちゃん。つきあえよ」


「そうねぇ。ちゃんと罪をつぐなってお金を稼いできだら、いいわよ」


魔女たちは世界中で放浪してきた経験からか、男あしらいもうまく、『土人類(ドワーフ)』の鉱山夫や荒くれ受刑者たちをうまくいなしていく。彼女たちが都市にくることで生活に潤いがうまれ、驚くほど治安が良くなっていった。


「母にも連絡した。そのうちここにきて、新しい神社と巫女占いの店を開くんだって」


「そうか。なら俺たちの未来を占ってもらおうかな」


「……そんなの決まっている。ずっと一緒」


いちゃいちゃしながら繁華街をぶらついてると、幸せそうな顔をした老人カップルが目に入った。

「真理姉。探したんだぞ。会えてよかった」


「ゲンちゃん。久しぶり。しかしこの都市はすごいわね。私たちに居場所を与えてくれてありがとう」

「そうじゃろ。ワシの孫は優秀じゃからな」


そういって自慢する源人を、その美魔女は姉のような優しい目で見ている。


源人と腕を組んで歩いていたのは、この街の魔女の代表を務めている玲の祖母、幽谷真理だった。


「お、お爺さん、何やっているんですか?まさかババ活を?」


「ゆ、勇人?ち、ちがうぞ。実は彼女とは古い仲でな」


必死になって弁解する源人に、真理は苦笑する。


「そうよね。ゲンちゃんの初めての相手は私だもんね。私に開発されたもんだから、すっかりプレイボーイになっちゃって……」


「ゲンちゃん?プレイボーイ?」


厳格な祖父の意外な呼び方に、勇人の目が点になる。


「ま、真理姉。や、やめてくれ。孫の教育に悪い」


汗だくになる源人を、玲はきっと睨んだ。


「真理婆、説明して」


「いいわよ。実は私はゲンちゃんのメイドとして、60年前は南方家に仕えていたのよ。弟みたいに可愛いがっていたなぁ。ちょっと事情があって、すぐに辞めちゃったんだけどね」


「そ、そうだ。なぜ姿を消したのだ。あれからワシはあらゆる伝手を使って、さんざん探し回ったのだぞ」


責めてくる源人に、真理婆は苦笑する。


「仕方ないじゃない。南方家は男子長嗣が基本だったんだから。私たちには女の子しか生まれないから、妊娠したら子を守るために身を隠すしかなかったのよ」


「に、妊娠じゃと?」


「そうよ。この子の母親」


そういって玲を指さす、それを聞いて、源人と勇人は驚愕した。


「ということは、その子はワシの孫なのか?」


「え?つまり俺と玲って従兄妹なの?」


その言葉に、真理婆は笑顔で頷く。


「……うれしい。やっぱり勇人は私の運命の人だった」


玲は満面の笑顔になって、勇人に抱きついた。


「勇人くん。私たちの居場所を作ってくれて、ありがとうね。この12使徒の1人『女人類(ウイッチ)』のマーリン、あなたに協力させていただくわ」


真理婆はそういって、勇人にウインクした。


「これからも玲をよろしくね。じゃんじゃん子供作って、早く私たちに曾孫を見せてね」


そういうと、真理婆はショックを受けている源人をひっぱって酒場に入っていった。


残された勇人は、大きなため息をつく。


「はぁ……なんか意外な事実が分かって疲れたけど、これからもよろしくな」


「……うん」


玲は幸せそうな顔になって、うなずいた。


しばらく歩くと、テントで作られたラブホテル街にさしかかる。そこでは大勢の魔女たちが、デレデレしている受刑者たちをテントに誘っていた。


「うっ。さすがにちょっと引いてしまうな」


「……私たち『亜人類』は人間の数と比べたら少数。子孫繁栄を謀る本能からか、ちょっと性欲が強すぎる。だから仕方ない」


玲はそういって、彼女たちをフォローした。


「た、たしかに魔女は、サバトとかでエッチなことしていたって伝説に残っていたよな」


勇人は魔女の言い伝えについて思い出す。


「うん。魔女は一度経験したらやめられなくなる。それも恐れられ迫害された原因。男たちからは、サキュバスともいわれていた。はあはあ、お姉さまたち、うらやましい」


受刑者や『土人類(ドワーフ)』たちを、堂々とテントに引っ張り込んでいる少し年上の魔女たちを見て、息を荒くする。


「ま、まあ、ここなら絶対に迫害されないから、救世主とやらが見つかるまでここにいれはいいよ」

「ううん、救世主はすでに見つけた」


玲はにっこり笑って、勇人を指さした。


「俺?」


「……うん。勇人こそが、私たちが待ち望んでいた希望。きっと勇人とえっちしたなら、待望の男の子が生まれるはず。今から試してみよう。れっつとらい」


玲はそういって、テントの一つに勇人を引っ張りこもうとする。


「ちょっと待った!そ、そんなの勘違いだって」


「いいえ。彼女の考えは、あながち間違ってはいませんよ」


空中にナイトが現れて、説明してきた。


「マスターはデーモン星人たちが太古から試行錯誤を続けてきた新人類創造計画の、いわば完成体です。魔女との間にも、普通に男の子が生まれるでしょう」


それを聞いて、玲の顔がパッと明るくなる。


「子種、子種。子孫繁栄♪れっつごーふぁいとー!頑張るぞ」


「ま、待ってくれ。まだ俺はパパになる気はないんだー!」


勇人は必死になって抵抗するのだった。



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[良い点] I must say beforehand that I'm a fan of the author but what I was waiting for was not this new…
[一言]  これ、一年後に3人くらい子供が産まれるパターンや…w
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