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財宝展示会

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財宝展示会


「お坊ちゃま。怪盗義賊アルカードから予告状が届きました」


警備の指揮をとっていた勇人に、執事たちから報告がはいる。


「予告状とはまたベタな。なになに、『今夜12時にお宝頂戴にあがります』か。しかも時間指定って、よっぽど自信があるみたいだな。というか、そこはかとなく厨二臭がする」


予告状を読んだ勇人は苦笑する。


「いかがなさいますか?警察に連絡しますか?」


「必要ない。警備を厳重にしろ」


そういって会場に戻る。そこには大勢の上流階級のマダムや子女が展示会に来ていた。


「プリンスが来たわよ!」


勇人が姿を見せるなり、興奮した女たちの一団に囲まれてしまう。


「ほんとに若いわね」


「あの年で南方財閥の常務だって」


「結婚できたら玉の輿ー」


目の色を変える女たちに囲まれて、勇人は思わず引いてしまう


「下がって、お坊ちゃまに近づかないように」


その場は執事にガードされ、かろうじて囲みを抜けることができた。


「まったく、警備するほうがされるんじゃ本末転倒だな。おっ?」


会場の入り口にいる前髪で目を隠した少女に気づく。


「玲、来てくれたんだな」


「……うん」


チケットを持った幽谷玲は、入りづらそうにウロウロしている。


「そんなところで何しているんだ?入って来いよ」


「……こんな格好じゃ場違いかと気おくれして。私の家は貧乏な神社だから、余所行きの服とかなかった」


確かに玲の恰好は、作業着風のオーバーオールである。目を長い前髪で隠していることもあって地味な印象で、煌びやかに着飾っている周囲から浮いていた。


「気にするなよ。さあ、行こう」


「……うん」


勇人が差し出した手をとり、玲は展示会場に入っていくのだった。


「何あの子。プリンスに直接案内されているわよ」


周囲から注目されて玲は真っ赤になるが、勇人は気にせず展示されている財宝を説明していく。


「これはフロリダ沖で沈没した、スペインのサンセホ号の財宝だ」


キラキラと輝くエメラルドのネックレスが展示されている。


「地中海沖で発見された本物のオリハルコンの指輪だ。こうやって表の世界に出てくることは珍しいんだぞ」


その小さな指輪は、炎のように揺らめく光を放っていた。次々と煌びやかな財宝を案内され、玲はため息をつく。


「きれいだけど、私みたいな庶民には、一生縁がない」


そんなことをつぶやく玲に、勇人は苦笑して告げた。


「よかったら、好きなのを一つやろうか?」


「……えっ?」


「どうせタダで手に入れたものだしな」


どうでもいいといった風に告げる。実際、勇人はただ金になればいいと思っているだけで、財宝には大した関心はなかった。


「……いらない。どうせ私には似合わないもん」


「そうでもないとおもうけどな」


勇人は玲に向き合い、前髪を搔きあげてみる。するとパッチリとした目が露わになった。


「ほら、思った通り綺麗な目をしている。なんでいつも隠しているんだ、もったいないぞ」


そう言われて、玲は真っ赤になってプイッと顔をそむける。


「……からかわないで。恥ずかしい」


そういってポカポカと勇人を叩いた。


「うらやましい……妬ましい」


仲睦まじい様子に、ますます周囲は嫉妬するのだった。


その様子を柱の陰から見ていた男装の少女が、不愉快そうにつぶやく。


「ふん。あいつも来ていたのか。金持ちのお坊ちゃんに媚を売りやがって。しかし、タダで財宝を手に入れたってことは、相当貧乏人を泣かせているんだろうな。今にほえ面かかせてやるぜ」


そうつぶやくと、その少女は光に溶けるように消えていった。




深夜12時


展示会も終わり、財宝が収められている会場は厳重な警備が行われている。


「そろそろだな……」


勇人がつぶやいた瞬間、突然雷光が轟き、会場の電気が一斉に消えた。


「な、なんだ!何が起こった!」


動揺する警備員たちを、勇人が一括する。


「うろたえるな。まずは財宝が収められているケースを守れ」


それに従って警備員が動こうとしたとき、窓からキラキラと輝く霧が入ってくる。


その霧が収縮して消えると同時に、警備真の一人が悲鳴を上げて倒れた。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!」


いつのまにか何者かの影が会場に現れ、警備員たちの首筋に次々と嚙みついていく。


その影は勇人にも襲い掛かり、煌めく白い牙が首筋に迫る。


「うわっ!いてっ!」


勇人の首に牙を突き立てた瞬間、雷光が奔り、謎の影は痛みのあまりのけぞった。


「驚いたな。吸血鬼かよ。今の時代によく生き残っていたもんだ」


思わぬ反撃を食らって謎の影がひるんでいる間に、勇人は全身から雷光を発して、周囲を照らす。部屋の中央には、口元に手を当てている男装の美少女がいた。


「君は……女か?」


「チッ」


正体を見破られた怪盗貴族は、とっさに近くにあったブローチを掴み、空に飛び上がる。


「き、今日のところはこれで勘弁してやる」


そう捨て台詞を残すと、窓を蹴破って外に飛び出すのだった。



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