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女子の掌返し

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また、読者の意見も参考にしたいので、どんどん感想もお寄せください。それによって展開に反映したりします

「財宝の展示会じゃと?」


「ええ。誠也さんに頼んで、簡易モーゼを積んだエストラント号で世界中の海を回って沈没船の財宝を回収してもらいました。その一部を展示し、販売しようと思います」


源人に提出した資料には、煌びやかな宝石やアクセサリーが並んでいた。


「じゃが、最近怪盗義賊とやらが世間を騒がしておる。我らも狙われるのではないか?」


「ご安心を。当日は私が直接警備の指揮をとろうとおもいます」


自信をもって宣言する勇人に、源人は苦笑する。


「まあ、何事も経験じゃ。やってみるがよい」


こうして、南方家主催の財宝展示会が開かれることになるのだった。



次の日


勇人が弥勒学園に登校すると、元婚約者だった豊畑奈美が話しかけてきた。


「勇人さん、おはようございます」


「ああ、おはよう」


挨拶だけしてスルーしたが、奈美は食い下がってくる。


「あの、しばらくお仕事が忙しそうで、会えませんでしたね。よければ、一緒にお食事でも……」

「食事?俺と君が?なんで?」


そう聞き返すと、奈美は顔を赤らめながら告げた。


「その。私は桐人さんに騙されていたんです。本当はあなたのことが昔から好きだったのに、一時の気の迷いで婚約破棄なんてしてしまいました。今からでも……」


最後まで言い終える前に、今度は別の少女から声をかけられた。


「奈美、あんたもう婚約者じゃないんでしょ。勇人に迷惑かけちゃだめでしょ」


そういってたしなめたのは、幼馴染である鳩川小百合だった。


「勇人、海の上に都市を作るって、すごいことをやったのね。今度、私を連れて行ってくれない?」

「残念だけど後醍醐は関係者以外立ち入り禁止だ」


勇人がそう断っても、小百合は諦めなかった。


「私たちは幼馴染なんだからいいじゃない。おじいちゃんも言ってたよ。そこを新たな選挙区として制定して、あんたが成人したら立候補させるのもいいって」


「はっ。政治家ごときに興味はない」


勇人はそういって適当にあしらった。


「そうですよ。勇人さんは私の会社と協力して、世界一のビジネスマンになるんです!」


「違うわ。勇人はいずれおじいちゃんの後を継いで総理大臣になるのよ!」


勇人そっちのけにして争いだす奈美と小百合。その時、三人目の少女がいきなり勇人の腕にしがみついて、スマホでツーショット写真が撮った。


「よし。これをSNSであげれば、公認カップルとして認められるわね」


無断で写真を撮ったのは、クラスメイトの空美幸。


「ちょっと空さん。なにやっているんですか!」


「そうよ。勝手に写真撮るなんて卑怯よ!」


二人に嚙みつかれても、美幸は負けじと返す。


「へへーんだ。こういうのは既成事実を作ったほうの勝ちなんだよ。というわけで、勇人、帰りにホテルいかない?サービスするわよ」


わざとらしく胸を押し付けて誘惑してくる。勇人はそんな彼女たちに、うんざりしてしまった。

「お断りだ。お前たちの誰とも付き合う気はない」


プイッと顔を背けて自分の席にいってしまう。残された三人は悔しそうな顔になった。


「こうなったら、パーティですべての決着をつけてやるわ」


「今度行われる民主自由党・民主立憲党と財界の合同パーティですか。私も呼ばれているんですよね」


「うちにも招待状がきてたわ。こうなったらうんときわどいドレスを着て、勇人を絶対落としてやるんだから」


勇人をめぐって三人の間で火花を散らすのだった。


「勇人さんも大変ですね」


声をかけてきたのは、クラスメイトの下位カーストの特待生女子、金谷姫子、猫屋敷美亜、幽谷玲の三人だった。


「モテる男はつらいにゃね」


「……はあはあ……勇人をめぐってドロドロの愛憎劇」


美亜が茶化し、玲は何かを想像してもだえている。


「よしてくれよ。今更掌返しされても不快なだけだ」


「まあ、そうでしょうね」


姫子はそういって苦笑した。


「それより、今度南方財閥所有の財宝展示会があるんだが、よかったら来るか?」


勇人は、三人に展示会のチケットを渡す。


「うーん。ちょっと勉強が忙しいから無理かも」


「うちもバイトが忙しいし。フードフェスティバルなら喜んでいくんにゃけどね。お宝には興味ないにゃ。食べられにゃいから」


姫子と美亜はあまり関心なさそうだったが、玲は食い入るように見つめていた。


「……南方財閥の財宝?もしかしたらあの子がくるかも。ぜひ参加させてほしい」


玲の食いつきに、勇人はちょっと引いてしまうのだった。




その頃、一人の女が下町のうらぶれた酒場に入っていった。


「紹介を受けた者だけど、『闇の姫』はここで会えるのかしら」


「ちょっと待て」


酒場の主人は慣れた手つきで注射器を取り出すと、その女の腕に突き刺した。


「いたっ」


「我慢しろ。少し血をもらうだけだ」


主人は女から採血した血を、一滴なめる。舌なめずりした口からは、鋭く輝く牙が見えた。


「よし。依頼人の血の味と一致した。入って良いぞ」


主人が床の一部を外すと、地下へと続く階段が現れた。


「ずいぶん警戒厳重ね」


「仕方ねえだろう。俺たち『血人類(バンパイア)』の一族は昼に活動が鈍る。そこを襲われたんじゃ、人間に対抗できないんでね。その先の通路をいけ。姫が待っている」


そう言われて、女は階段を降りて地下通路を進む。


一番奥の部屋に、男装の美少女が待っていた。


「あんたが、金持ちの理不尽に苦しめられたって人かい?」


「ええ。そうよ。私は幼い頃に両親を亡くし、後見人となったあるお金持ちの家で、無理やり働かされていたの」


そう涙ながらに語る女は、南方家の屋敷を解雇された元メイド長である林田直子である。


彼女は南方家に復讐を誓い、裏の人脈を伝って復讐代行を生業としている闇の一族と接触していた。


「その後、私は財閥の主人に無理やり愛人にされ、飽きたら両親の全財産まで取り上げられて屋敷から追い出されたの」


「なんてひどい奴らなんだ」


話を聞いた男装の美少女は、彼女に同情した。


「犠牲者は私だけじゃない。奴らは多くの私みたいな孤児をメイドとして働かせて、保険金や親の財産を強奪しているのよ」


直子は資料を提出する。確かにそこには、ある財閥の屋敷が全国の孤児院からメイドを集めて働かせている事実が記載されていた。


「くそっ。それが本当なら許せねえ」


話を聞いた男装の美少女は義憤に駆られる。


「あなたは横暴なお金持ちから財宝を盗み出し、貧しい人に分け与える義賊だと聞いたわ。お願い。奴らに一泡吹かせてほしいの」


「わかった。だがその話が本当なのか、確かめさせてもらうぜ」


男装美少女は直子の後ろにまわり、その首筋に牙を突き立てて血を吸う。そこからは、彼女が深刻な恨みを抱えている電気信号が伝わってきた。


「……あんたの恨み、噓じゃねえみたいだ。この怪盗義賊アルカード、確かにその依頼を受けた」

そういって胸を張るアルカードに、直子は一枚のチラシを見せた。


「奴らが不正に得たお金で世界中から買い付けた財宝を、日本で売りさばく展示会が行われるわ」

「ちょうどいい。全部奪ってやるぜ!」


そういって、アルカードは高笑いするのだった。


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