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地神盾

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また、読者の意見も参考にしたいので、どんどん感想もお寄せください。それによって展開に反映したりします

エレベーターから降りると、そこでは黒服たちが待ち構えていた。


「そこで止まれ!」


懐から拳銃をとりだし、威嚇してくる。


「おいおい。ここは病院だぞ。銃なんて振り回していると、警察が来るぞ」


「問題ねえ。このフロアは貸し切りにしてあるし、病院とも話はつけてある」


男たちの中から、ひときわ体格のいいイケメンが出てきてそう告げた。


「あんたは?」


「新田組舎弟頭、北畠信康だ」


信康と名のった男は、油断なく銃を構えながら名乗った。


「舎弟頭か。ちょうどいい。お前たちは代々南方家に仕える家臣だったはずだ。なんでご主人さまに逆らうんだ」


勇人がそう聞くと、信康はせせらわらった。


「家臣か。令和になんとも古臭い話だな。そんなだからてめえらは見限られたのさ」


「なんだと?」


勇人に睨みつけられても、信康は平然としていた。


「いつまでも古臭い伝統なんて守っちゃいられねえってことさ。最近、暴対法のせいでヤクザ業界も厳しいんでね。俺たちも下剋上を考えているのさ」


「下刻上だと」


「そうさ。女好きで無能なヘタレ野郎の正人に協力してジジイを排除して弱みを握れば、いくらでも金を引っ張れるし、やがては奴をひきずり降ろして南方財閥を乗っ取れると思ってな。それがまさか、その息子が直接乗り込んでくるとはな。だが、ちょうどいい。始末する手間がはぶけた」


信康が合図すると、黒服たちはいっせいに銃を構える。勇人が雷神剣を振りかざすと、信康が警告してきた。


「……それが下の連中を倒した妙なスタンガンか。それを床に置け。妙な真似をしたら撃つ」


「ふっ。いいだろう」


勇人は言われた通り、雷神剣を手放す。


「いい子だ。それじゃあばよ」


信康が手を振り下ろすと、黒服たちの銃が一斉に火を噴いた。拳銃から放たれた銃弾が、勇人を襲う、


次の瞬間、ガンガンという音が響き、病室の廊下を跳弾が駆け巡った。


「うわぁぁぁぁ!」


「ぎゃぁぁぁぁ」


自ら放った銃弾に撃ち抜かれ、黒服たちが血を流して倒れこむ。


「な、何が起こったんだ」


呆然とする信康に、不気味な笑顔を浮かべた勇人が近づいてきた。


「残念だが、俺に銃は通じない。この『地神盾』があるかぎりな」


勇人は見せつけるように、左腕に装着された緋色に輝く小さなバックラーを示した。


「そ、そんな小さな盾で、なんで銃弾を防げたんだ」


「この『地神盾』は引力と斥力をコントロールできるんだ。自分の周囲を斥力で覆えば、どんな物体も通さない無敵の結界がつくれる」


地神盾を発動させると、勇人の体表面を見えないバリアーが覆った。


「さて、お仕置きといこうか」


雷神剣を拾って振りかざす。その剣先から雷が迸り、黒服たちを威嚇した。


「くっ。このバケモノが!ぐはっ」


常識外の力を振るう勇人に恐怖を感じた信康が、なりふり構わず殴りかかってくるが、雷神剣の一撃を頭にくらってしまう。


「ぎゃぁぁぁぁ。熱い」


信康は床を転げまわってもがき苦しむ。彼の髪の毛は以雷によって火がついており、勢いよく燃えていた。


「さて……こいつは新田組の舎弟頭とかいっていたよな。なら、後で使えるかもしれないな」


勇人はそうつぶやくと、空神珠を信康にかざす。彼の身体は玉の中に飲み込まれていった。


「ひ、ひいっ。兄貴が消えちまった!」


「ついでにお前たちも収納だ」


傷ついた男たちは玉に収納されていき、特別室があるフロアは無人になったのだった。


勇人は病室の中に入る。そこには一人のやせ衰えた老人が眠っていた。


「お爺さん……こんな状態で放置されていたのか」

  

南方家の中で唯一自分にやさしかった祖父の姿に、勇人の胸が痛む。

 

「あなたの命は、俺がきっと救ってみせる」


源人の身体に手を触れ、微弱な電流を体中に流して体内の状態をスキャンする。飲まされた毒が脳に作用して、意識障害を起こしていた。


「この場で治療するのは無理だな。やはりブラックナイトの生体再生機構を使うしかないか。ナイト」


「はっ。準備はできています」


ナイトの映像が現れ、窓の外からまぶしい光が差し込んで源人の身体を照らす。


源人の身体は静かに空に浮かびあがっていった。


「さて、最後の仕上げだ。爺さんが完全に回復するまでに、新田家を叩き潰しておくか」


そうつぶやくと、勇人は上空のブラックナイトに戻っていった。



新田家


新田義忠は、眠れぬ夜を過ごしていた。


「……信康からの連絡が途絶えた。いったい何があったのだろうか。ああ、俺たちはこれからどうすればいいんだろう。長年仕えてきた南方家を裏切って、果たしてこの月のように明るく輝くことができるのだろうか」


そう思いながら満月を見上げた時、いきなり月の光が食えて、周囲が暗くなった。


「えっ?何が起こったんだ?」


窓からみえる景色が、まるで墨に包まれたかのように闇に閉ざされている。さっきまで煌々と照らされていた電灯の明かりも、見えなくなっていた。


不思議に思っていると、上空からオレンジ色の光が差し込んでくる。


義忠がみたものは、黒く輝くダイヤのような巨大な結晶体が屋敷の上空に浮かんでいる姿だった。


「な、なんだあれは?」


新田組の組員たちも、家から出て空を見上げて騒いでいる。


「おやっさん。あれは?」


「わ、ワシにもわからん。アレから出る何かに取り囲まれて、屋敷から一歩もでることができないんだ」


新田義忠が門を指さす。何人かの組員が必死に外に出ようとしていたが、まるで黒い壁に閉ざされているかのように跳ね返されていた。


「無駄だ。この屋敷は斥力結界で閉ざされている」


重々しい声が屋敷中に響くと、結晶体の底から光が降りてくる。その中から剣や玉を身に着けた少年がゆっくりと降りてきて、組員を見下ろした。


「て、てめえ!何もんだ!」


パニックになった何人かの組員が銃を放つが、少年にすべて跳ね返させてしまう。


「あ、あなたは……勇人様!」


「そうだ。お前たちのご主人様である南方勇人様が、わざわざ来てやったぞ」


義忠の叫びに、勇人は傲慢に言い放つのだった。



勇人は屋根の上に立ち、眼下の新田組を冷たく見下ろしている。


「ゆ、勇人様。なぜうちに?」


異常事態に恐怖にかられた義忠は、卑屈な笑みを浮かべて問い掛けてきた。


「なんでだと?お前には心当たりあるんじゃないか?」


「さ、さあ。私にはなんのことだか?」


「とぼけても無駄だ。奴らからすべて聞いた」


勇人が首のネックレスを持ち上げると、結んでいる玉から何人もの男たちが落ちてきた。


「の、信康の兄貴!」


組員たちがその中の一人にすがりつく。黒焦げになっているその男は、新田組の舎弟頭、北畠信康だった。


「まったく。爺さんのことで親父を強請って南方家を乗っ取ろうだなんてな。代々我が家に忠実に仕えてきた新田家もここまで墜ちたか。まさに飼い犬に手をかまれるって奴だ」


「ぐっ」


自分たちの企みを暴露され。義忠はきまり悪そうに眼をそらす。そんな組長と違って、組員たちは怒りの表情を浮かべて食って掛かった。


「あんた!兄貴に何をしたんだ?」


「別に。この剣でちょっと躾をしただけだ」


勇人はわざとらしく、稲光をまとわせている雷神剣を見せつける。


「なんだそのダサい剣。そんなもので……」


「ダサい剣かどうか、お前たちに見せてやろう」


勇人はそう言うと、雷神剣を一振りする。ドーンという音とともに、屋敷に雷が落ちた。


「ひゃぁぁぁ」


一撃で屋根に巨大な穴が開く。同時に屋敷は炎に包まれた。


「あ、熱い!」


炎に煽られて、屋敷の中にいた組員たちも飛び出してくる。


「で、電話しろ。消防車をよべ!」


「無駄だぜ。この屋敷は斥力結界に包まれているといっただろう。電話も通じないし、中の音も映像も外には漏らさない」


慌てる組員たちを、勇人は見降ろして嘲笑った。


組員たちがなすすべもなく見守る中、屋敷はどんどん燃えていく。


「このように、俺の敵に回るなら、先祖代々の家臣といえども切り捨てる。お前たち新田家は、今日をもって南方財閥から追放だ」


そういうと、雷神剣を振りかざして特大の電の玉を作り出した。


「ひ、ひいっ」


巨大な球電をみて、組員たちが恐れおののく。


勇人が剣を振り下ろそうとした時、組長の義忠が必死の形相で土下座した。


「お、お許しください。ワシらが悪かったです」


額を地面にこすりつけて、必死に許しを請う。


「謝った程度で許されると思うか?」


「お、お怒りはごもっともです。この通りケジメをつけます」


懐からドスを引き抜くと、義忠はそれで一気に自分の小指を飛ばした。


「ほう。潔いな」


「はい。あなた様の持つその剣は、我が家に代々伝えられている『雷神剣』。幾久しく絶えていた、この国の真の帝となるべき者がもつ証でございます。であるならば、我らは絶対服従を誓います」

義忠は、震えながらそう訴えてきた。


「ふん。まあいい。従うというものを無駄に殺すこともないだろう」


そういって剣を降ろす。同時に球電も消えた。


「だが、主家に逆らったお前たちをタダでは済まさない。罰として、新田家の所有する新田警備保障の株式をすべて俺個人に譲渡しろ。今後は我が家の忠実な番犬としての本分にたちかえり、一からやりなおすんだな」


「は、はいっ」


義忠をはじめとする組員は、土下座して忠誠を誓う。こうして、新田家は勇人に従うことになるのだった。


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