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いつぞやの金沢・福井旅行記

作者: 蓮井 遼


訪れた時に記した旅行記をより分かり易いようにコンパクトにまとめてみました。


その時は一瞬でしかないと思いますね



7月15日から三日間、金沢と福井に旅してきたので、その記録をこちらに記す。

目的としては、金沢にある徳田秋声記念館に行くこと、福井に住んでいる友人に会うことだった。その友人は小学校からの友達で、中学同じクラスではないのに、その後もなぜか定期的に会っている珍しい存在だと思う。

洗いざらい話すことで、記録として記憶のきっかけにする。


7月15日


金沢駅から周遊バスで近くのバス停に向かう。

バスから外を見ると、蓄音機博物館や泉鏡花記念館を見つける。秋声記念館は橋を渡り、川沿いにある。

記念館前の椅子で待っていたところ、友人と再会する。六本木で、去年フェルメールとレンブラント展を一緒に観た以来だから一年ぶりになるようだけど、もっと随分会っていない気がした。一年は長いな。あっという間なようで、随分と降り積もる。

「ようこそ、金沢へ」という挨拶だった。


秋声記念館は徳田秋声の略歴や過去の作品、愛用していた物などが展示されていて、もともと彼が文学に志すよりも海外の文学を翻訳したいという思いの方が強かったのに、妙に納得した。文体がそんな気がしていたから。主要作品では知られない幾つもの彼の著作を見ることができた。木彫りの熊のパイプが可愛かったので写真を撮った。


2階は企画展で宇野千代と徳田秋声の関わりを展示していた。また、秋声の生涯の数人の伴侶のことも展示してあった。

宇野千代は秋声が東京で暮らしていた頃に挨拶に来たようで、尾崎士郎、東郷青児、芥川龍之介、室生犀星、などが横のつながりがあったことを初めて知ったが、友人は宇野千代が好きなので、知っていたようだった。

東郷青児が心中しようとしていたのは、知らなかったし、小説を書いていたことも知らなかった。ここでは秋声の資料と長女が12歳の時、病で亡くなったことを小説にした「犠牲者」の入っている小説を購入する。


友人の知っているブックカフェ兼古本屋に立ち寄る。本棚のスペースは狭いが、芸術・文藝関係のこだわりのある感じの本屋で、そこでベルイマンの自伝を見つけて、これだけ値段がわからなくて、店主の奥様に確認してもらって半額の千円で買った。まさか自伝が出ているとは知らず、思いがけないものだった。


ここで金沢は終了、福井に向かう。 


この前の文学フリマで北陸について書いてあった小説に載っていた第7ギョーザを見つける。そして他に8番らーめんを見つける。友人曰く、8番らーめんはよく見るが、第7ギョーザは知らなかったらしい。9番目はなにかと探すが、見つけることができず、炒飯は重いだろうとか、杏仁豆腐ならいいけど、お店の存在する確率がありえないだろうと、とうとう見つけることができず、10号ホルモンを見つける。「そう来たか、予想外だったわ」と二人して唸る。


福井はソースかつ丼と蕎麦が有名らしい。ソースかつ丼がどういったものか教えてもらい別れる。

散策に行く。古本屋を見つけ物色する。

詩集のコーナーで山田清吉という人の藁小屋という詩集を見つける。詩から土の匂いを感じ好きになって買う。


食事はヨーロッパ軒というソースかつどんの老舗を見つける。もともとはドイツの料理を手本にしたとか、最初は東京で立ちあげたようだが、確か災害を機に福井に戻ったらしい。あとで友人に聞いたが、一旦かつをどんぶりのふたに置いて食べるらしい。かつは豚だが、マスコットはナプキンに印刷されている牛のウェイターだ。結構かわいく、持ち帰る。これも元はドイツのビーフ料理がきっかけであるとか。


インド居酒屋で再会し、チキンとへしこのピザとビールを頼む。へしこはサバの粕漬で福井では有名なようである。ピザがおいしい。ビールは、友人はインドのゴッドファーザー、私はイタリアのナストロ・アズーロを飲む。イタリア語で「青いリボン」という意味で確か青りんごが入っていたような。


二日目


ドライブをする。高校生の頃、借りていたジェフ・バックリイのCDが車のなかにあって

なぜかこれは売らなかったいうことで聴いている。トンネルのなかとジェフ・バックリイは見事にマッチした。室内では彼の歌は重いようだが、ドライブでは丁度いいようだ。


この近くに鳥糞岩があるということで行ってみようと行くが通り過ぎる。

呼鳥門というトンネルの上にある空洞の自然造形といえばよいのか、車から降りて辺りを見る。光景に圧倒される。


私は普段人には話さない思いの丈を話す。

新聞の書評などで気になった著者の本とその本について語る本が同じ価値を有しているのか。

彼が言うには、存在する以上、その人は円を作り他に放射するわけで、その中心がなくなる外殻のようなものを人々は見ているとか。だから、その人、そのものはあまり重要ではなく、いやでも周囲には影響を及ぼしていくと。


途中九頭竜川を通る。九頭竜らーめんないかなと探すが見当たらない。そんな名前のラーメンがあればいいのにと思った。


三日目


昨日、ドライブ中に見かけたテキサスハンズというピザ屋がとてもまずいと聞いたので、じゃあ帰る前にお昼をそこで食べようとなったが、実際には予想外に混んでいて行けなかった。

ピザ屋が混んでいたので、金沢カレーでガネーシャカレーという店に行った。

名前からボルガカレーにしたが、オムレツにカツが乗っていて、食べだした途中から手が止まった。重いな、今日はもう食べられないなと思った。


ここで別れた。帰りの電車は座れたので助かった。


おわり


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