7.森の中
ギフトである温泉旅館をはやく使いたかったけれど、もし本当に旅館が出てきたら…と想像すると木が沢山あるここでは狭くて使えない。そこで、まずは、木があまりない良さそうな場所を見つけることにした。
「よし、良い場所を見つけるよー!!」
「頑張って探すのー!」
ここがどこかもわからなかったけれど、とりあえず、左の方に向かってミイちゃんと並んで歩いていく。道というか獣道のようなのがあり、その両サイドは木が生い茂っている。森林浴みたいで気持ちいなぁ。
こんな時は、歌を歌いながら歩きたくなる。
「ららららら〜旅の途中で出会い〜」
日本で生きている時に、人気だった鬼○の刃という曲を歌いながらひたすら歩く。なんかこの曲を聞くとわたしも頑張ろうって思えるんだよね。
そこから、こんな森には誰もいないだろうという勝手な判断でカラオケ大会をしながら楽しく歩いて行った。ミイちゃんも色々な曲を知っていたことに驚きだ。
「あとちょっといったところに平野みたいなのが見えるの!」
「ほんとに!?やったー!よし!あとちょっと頑張ろう!」
自分の頬を両手でパチンとたたき、最後のひと頑張りだと気合をいれた。
「ついたー!!!!」
出発してから右に行ったり、左に行ったり、時には木と木をかき分けて進み、やっとのことで平野が見つかった。一軒家が10件ぐらい立ちそうな広さの平野だ。その周りは木で覆われているがなぜか、この部分だけ芝生みたいな草が生えている。異世界ってほんとに不思議だなあ。
「ミイちゃあぁぁん、もうへとへとだよぉぉ」
もふもふの体にもたれかかって、疲れを癒す。そういえば喉が渇いた…森を歩いている途中では、近くの川の水を飲んだりして、耐えていたけど、流石にちゃんとした水が飲みたい。いや、欲を言えば麦茶が飲みたい。こんなにもキンキンに冷えた麦茶が恋しくなる日が来るとは…
「あーーー麦茶がのみーたーいーーーー」
「ミイも飲みたいのーー!!」
叫んでも麦茶が出てくることはないから今は我慢するしかない。まずは、飲み物の確保をしなきゃなーー。
「でも、もう疲れたから動きたくないよーーでも喉が渇いたよーー」
天秤にかけて悩んだけど、喉が渇いたことよりも、動きたくない方が勝ってしまった。そうだ!神様からのギフトである、温泉旅館を先にだそう!!もしかしたら水ぐらいあるかもしれない!!