04 ルノ、野宿する
俺はルノ。元村人の勇者。今、宿を取れなくてアスタートの近くの森にいるの。
・・・・なんかごめん。宿が取れなくて、変なテンションでメリーさんの真似をしてみたけど、ただただ気持ち悪いだけだったわ。
俺は今、アスタートに入る前に休憩した森にいる。今は日が完全に沈んじゃって辺りは真っ暗だ。朝に来た時は爽やかな感じだったが、改めて夜に来てみるとなんか落ち着かない。何故かと言うと怖いからである。夜の森が。
何故俺が夜の森が怖いかと言うと5歳くらいの時に、冒険だ〜! とか言って村の近くにある子供だけで入っちゃいけないって親や親戚のおじさんにいわれた森で同年代の男子と遊んでいたんだけど気が付いたら俺だけ友達とはぐれてしまった。
俺はどこを進めば村に戻れるかわかんなくて歩きまわったら日が暮れてしまい、真っ暗の森の中を歩いていると前見えないし、なんかの動物の声がするし、たまに近くの草木がガサ、ガサガサってなったりして本当に怖かったのである。
ちなみに、村の大人たちが探しに来てくれて助かった。まぁ、その後に母から雷を落とされたが。母の拳骨はとても痛くて、叩かれた瞬間に頭蓋が陥没して目ん玉が飛び出るかと思った。
だからそれ以来、夜の森を見ると森の中を迷った事と母の拳骨を思い出して夜の森が怖くなった。いわゆるトラウマになった。とまあこんな事があって俺は夜の森が嫌いだ。
ん? なんだこんな事かと思っている奴もいるだろうがマジで怖かったのである。具体的に言うなら、夜にテレビをつけるとたまたまやっていた心霊番組を見てしまい、夜のトイレに行きづらくなるくらいには。
だから俺は宿に泊まりたかったのだが・・・・。はあ〜。神様、俺何かしましたかね? なんか勇者になってから運気が下がった様に思う。気のせいだと思うが。
にしてもアスタートの方に目を向けると灯がついていて、とても明るく、宿や飲み屋で酒飲みでもやっているのだろうか? アスタートから飲め飲め! やいっき! いっき! などが聞こえる。
く〜羨ましい。なんなら土下座してでも宿に泊まりたいくらいである。え? なに? プライドはないのかって? 馬鹿野郎! 確かにある程度のプライドは必要だが、世の中プライドだけで生きていける程甘くないのだよ。今も昔も。
うん。なんか自分で言ってて悲しくなってきた。もう寝よう。心の傷が広がる前に夢の世界に行こう。俺はそう思い朝と同様に草っ原に寝転んで目を瞑る。・・・・・・。
眠れん。目を瞑ると聴覚に意識が集中してしまい、全然眠れなかった。今日は朝まで起きてるかと、俺は焚き火の前に座ってぼ〜としていると、後ろの草がガサ、ガサガサって動き始めた。
俺は冷や汗を掻きながら背後を見ようと、恐る恐る身体を後ろに向ける。そしてその目に映ったのは白い服を着た人らしき存在だった。
「ギャアァァァアァァ!」
俺は思わず叫びながら仰向けに倒れてしまう。その時に運悪く後頭部を石で強打してしまい、意識が飛びそうになる。
するとさっき見た白い服を着た人? が近づいて来て心配そうに俺の顔を見ているのを最後に俺の意識は途切れた。
どうも黒玲白麗です。いや〜ルノ君は夜の森が怖いとは知りませんでしたね。ちなみに私も夜の森は怖いです。
まぁ私の事は置いといて、最後に現れたのは白い服を着た人間らしき存在⁉︎ 一体なんなのか? そしてルノ君ノックアウト! 次回で白い服を着た人? の正体が明らかに!
次回はルノ、幼児を拾う です。