01 ルノ、始まりの街 アスタートに到着!
俺はルノ。5日前に勇者になった前世を持った元村人の勇者である。現在俺は、大きな外壁と門が見える始まりの街 アスタートの少し手前の森の所まで来ていた。
5日前に勇者になって急に王様にGOサインを出された時はふざけんな! と思ったがなんとか王城から出発して4日と半日かけてアスタート付近まで辿り着く事が出来た。
ここに辿り着くまでに俺の目覚ましい努力や数々の試練が・・・・まぁ、なかったわけなんだが、そうゆう試練やアクシデントがなくても普通に疲れた。
だって王城からアスタートに来るまでに山を五つくらい超えたと思う。その上、森とか山を通る時に魔獣と鉢合わせしない様に周りを確認して慎重に進んでたからずっと気が張りっぱなしで本当に疲れた。
そんなこんなで疲れた俺は、アスタートに入る前に森の木々の木陰で少し休憩をしている。
俺は木陰に寝そべると何処からか聞こえてくる鳥の鳴き声や気持ちのいいそよ風が吹いており、少し眠たくなってしまい、気が付いたら眠ってしまった。
「ZZzzzZz....。はっ! あぶねっ! もう少しで熟睡するところだった」
でもすごい気持ちが良かったから本音を言えばもう少し寝ていたかった。でも少し休憩した事によって疲れが和らいだから日が暮れる前にアスタートに入る事にする。
アスタートに近付いていくと大きな外壁と門が目に入った。先程は遠目から見て大きいなと思ったが近づいてみるととても大きな外壁と門で大体俺の身長が180cmくらいだから約俺20人分くらいの高さがあると思う。
俺は外壁と門の大きさに驚きながら、門の入口にある関所に向かう。関所には二人の門番がおり,一人は茶髪の男性で、もう一人は綺麗なブロンドの髪の女性だった。
二人とも美丈夫と美女という言葉が似合うくらい綺麗な人達だ。そんな事を考えながら関所に着くとブロンドの髪の女性の門番がここに来た目的や、身分証明書にもなるカードを確認をする為、提出を求めてきた。
「こんにちは。街に入るには身分確認の為にカードを出して下さい」
「わかりました」
俺は門番の女性にカードを出して渡した。カードを受け取った門番は近くに置いてある魔道具らしき物にカードを差し込んだ。俺はその魔道具を見たことがないので何をしているのか聞いてみた。
「今、カードを差し込みましたけど、なにをしているんですか?」
と門番の女性に訊ねると、
「ああ、この魔道具はねカード所有者の名前や年齢、犯罪履歴などを調べる為の魔道具ですよ。一人一人カードをオープンして貰ったら手間が掛かるし、間違って能力値や祝福を見てしまったら大変ですからね」
確かに。間違って能力値や祝福を見られて珍しいのだったら争いの火種になるかもしれないしね。もしくは人生を棒に振るかもしれないし。村人から勇者にされた俺みたいにね(笑)
「なるほど〜。なかなか便利な魔道具ですね」
「そうですね。この魔道具のおかげでとてもスムーズに出来ますからね」
そうやって門番の女性と話していると確認が終わったみたいだ。あっそうだ! 冒険者になるにはどうすればいいのか聞いてみよう。
「すいません門番さん。冒険者になりたくてここに来たんですけれどどうすれば冒険者になれますか?」
「冒険者になりたいのなら、今いる門から見える大通りを真っ直ぐ進んで右側を見て屋根が赤い建物が冒険者ギルドです。中に入って冒険申請をすれば貴方もはれて冒険者ですよ」
「なるほど」
「あと大通りを冒険者ギルドより少し進んで左側の屋根が緑色の建物が商業ギルドです。そこでは回復薬などの販売や買取をしていますよ。あとしばらくこの街に留まるのなら宿を取ったらいいですよ」
宿か。確かに暫くの間はこの街を拠点に動こうとしていたし、宿を取っておくか。門番さんにオススメの宿がないか聞いてみよう。
「宿のオススメとかありますか?」
「宿でしたら、商業ギルドの手前にある十字路を左に進んでいくと右側に青い屋根と蒼の燕亭と書かれた看板の宿がオススメです。そこの石焼ステーキやパスタは絶品ですよ」
ステーキか、いいな。長時間歩いたからお腹すいたし、お金も王様から貰って少し余裕があるからがっつりいなこう!前世だと働きすぎてストレスで胃腸炎になって脂っこい物なんて食べれなかったからな〜。よし、善は急げだ!
「いろいろと教えてくれて、ありがとうございました」
「いえいえ、役に立てて良かったです。もし何か分からない事がありましたら聞きに来ても大丈夫ですからね?
その時は門番の人にリナの紹介で来たと言ってくだされば対応しますので」
「何から何までありがとうございます。あっ俺の名前はルノっていいます。今後ともよろしくお願いします。リナさん」
「こちらこそお願いしますルノさん」
シャア‼︎美人の名前を知れてラッキー! と変な事を考えないで冒険者ギルドにいこう。
「はい。では」
「はい。冒険者頑張って下さい」
「ありがとうございます」
俺はそう返事をすると冒険者ギルドを目指して歩く。にしてもこのアスタートはとても賑わっているように見える。
今、大通りを歩いているんだが左右を見ると所狭しと出店みたいのがいっぱい立ち並んでいる。まるで市場のようだ。歩いているといろいろな店の前を通るたびにいい匂いが漂ってきてお腹が先程より更に空いてきた。
俺はそこら中に漂う美味そうな匂いに負けて、少し軽い物でも食べようと考えていると、前を通ろうとした店からすごいいい匂いがしたので思わず立ち止まってしまった。
その店は魔獣の肉を串焼きにした串焼きのお店だったようだ。俺は焼かれている串焼きを見てたまらず串焼きを二本注文した。
「すいません。串焼きを二本下さい」
「はいよ! 串焼き二本だね! すぐにできるから少し待ってな」
元気な日焼けをしたおっさんはそう言ってとんでもない速さで串焼きを焼き始めた。そして焼き始めると目の前から漂ってくる串焼きの匂いで俺のお腹がぐううぅぅと鳴り始めた。
俺はお腹の音を聞かれて恥ずかしいと思っていると、程なくして串焼きが焼き上がった。
「はいよ! 串焼き二本お待ち! お代は串焼き二本で銀貨一枚だよ!」
俺はおっさんに銀貨を一枚払ってから串焼きを受け取った。俺は我慢できず焼きたての串焼きに齧り付いた。
すると焼きたての肉が弾けて肉汁が口の中いっぱいに溢れてきた。
「美味い!」
あまりの美味さに往来のど真ん中で大きな声を出してしまった。だがそうなってしまうほどこの串焼きは美味い。
味付けはシンプルな塩だけだが、それがまたいい。塩だからこそ素材本来の味と食感が楽しめる。食感は弾力があり咀嚼すると軟骨? のコリコリとした食感。それでいて肉から溢れ出した肉汁は驚く程に軽い。まるで肉の旨みがぎゅっと詰まった脂ではなく水みたいだ。前世の時に会食で食べた和牛とは比べ物にならないくらい美味い。
俺は凄いスピードで二本の串焼きを食べ終える。ふう〜さて小腹が膨れたから冒険者ギルドに向かうとするか。俺は串焼きの串を近くあったゴミ箱に捨ててここからでも見えるあの赤い屋根の冒険者ギルドに向かった。
昨日に引き続き投稿させていただいた黒玲白麗です。
ルノ君ついにアスタートに着きました!いや〜串焼き美味しそうですね!さて次回は
ルノ、冒険者ギルドにて冒険者となる? です。