表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者さま! 勇者さま! 個性的なお仲間はお好きですか?  作者: 黒玲白麗
第一章『始まりの街 アスタート』編
1/10

プロローグ 勇者はこうして生まれた

 俺の名前はルノ。17歳の元村人の勇者だ。元々俺はどこにでもいるような前世のサラリーマンの記憶を持つ普通の村人だったのだが、何の冗談なのか知らないが、つい先日、王城にて王様から勇者認定をされてしまった哀れな少年だ。


 なぜ俺が勇者認定されたかというと、人は15歳になると教会に行き、そこで神様からの祝福を貰い自分の能力値が見られるカードが渡される。

 

 まあ俺の場合は15歳の時に風邪を引き祝福を受けられず、16歳の時は山菜の収穫に行った時に運悪く山で遭難し、村に帰ってきた時にはもう祝福を授けるのがもう終わっていたが。

 

 だから俺はやっと3回目で異例の17歳で、祝福とカードを貰えた。

 ちなみにカードとは、所有者に最も合っている職業や、神様から貰った祝福の種類や特性を見る事ができる古くから存在する魔道具である。

 

 またこのカードには所有者の現在のレベル、体力、筋力、知力、技術、魔力などのステータスが記されており、ステータスの読み方として、低い順からE、D、C、B、A、S、EXとなっており、一般的には村人や非戦闘員は大体E〜Dで、良ければCといったランクであり、戦闘職は大体が、C〜Aで、たまにSランクがあったりする。

 

 まあ、すっごい努力すればどの職もランクが上がるからあんまり関係ないと思うけれど。あと職業はたまに進化することもあるらしい。

  

 風の噂によれば昔近くに住んでいた一つ下の従姉妹のアルンが【魔術師】を【魔導師】に進化させたと聞いたな。

 

 俺はそんな話を聞いてちっとも羨ましいとは思わなかった。なぜなら職業にもランクが存在する。

 

 例えば剣を使う職業なら低い順から【剣士】、【騎士】、【聖騎士】、【剣聖】、【剣王】、【剣神】といったランクになっている。

 

 ちなみに大体の職業もランク1から6まで存在する。

もしこの中のランク3の【聖騎士】だと国に仕えるかどうか打診されなきゃいけないからだ。


 例えば一番下のランク1である【剣士】なら冒険者になろうが、衛兵になろうが自分の自由だ。

 

 だが高ランクで【剣士】の上位互換である【聖騎士】や更に上の【剣聖】なんかは大体が国に仕える事になる。だって国から打診されたら怖くて首を横に振れないしね。


 だからなるべく俺は人生を自由に選択できるような普通の職業がいいな。本当に。前世みたいに社畜には絶対になりたくないからな。

 

 そんな事を考えながら教会で祝福を受けて、カードを貰った俺は、職業が【勇者】と書かれていた。


 俺は一度目を擦り、深く深呼吸を3回繰り返してもう一度カードを見た。

 それを見た時俺は教会内で思わず、


「はああぁぁああー⁉︎」


 と叫んでしまった。その叫び声を聞いて駆けつけたシスターにカードを見られ、勇者と発覚し、国に伝えられ、教会に捕まり、王城で勇者認定を受けて、晴れて昨日勇者になった。うん。なっちゃった。

 

 その時に王様から、魔王を倒して世界を救って! 魔王を倒したら良いものあげる! みたいなことを言われて、支度金として少しのお金と普通の鉄の剣と地図を渡され、その日のうちに王城からGOサインを出された。

 

 つってもいきなりお前は勇者だから魔王倒せって言われても無理だわ。だって俺、村人だよ? 今まで剣を振った事もないし、持った事もない村人だよ? なんなら剣使うよりもいつも使っている(くわ)を振った方が戦闘力が上がるかもしれない村人なんだよ? 

 

 なのにゴブリンに勝てるかどうかの俺に魔王を倒せとかなにその無茶振り? 俺を殺す気かな? うん。

 今思うとあの王様、なんか生え際後退してたし、威厳ゼロだし、人類みんな困ってるとか言ってたけど、王様見るからにふっくらしてたし、指にも宝石いっぱいつけていたな・・・・。

 

 よし。あの王様、魔王倒したら全力ケツバット100本の刑だな。とくだらない事を考えても仕方がないから、まずは戦闘力をあげるために冒険者になろうかな? 冒険者になるにはどこに行けばいいかわからないから、この地図に載っている冒険者になりたい人にオススメ! て出てる《始まりの街 アスタート》にいってみようと思い暗くなってきた空を見ながら街道を歩き始める。

 

 あっそういえばカードをまだバタバタしていてしっかり見てなかったと思いカードを取り出す。


「ステータスオープン」


 ちなみにカードは普段は何にも書いていない黄色いカードだが、所有者が《ステータスオープン》と唱えるとカードに所有者の能力値が見える仕組みになっている。能力値を見えないようにする時は《クローズ》と言えば能力値が消えて、何にも書かれてないカードに戻る仕組みだ。さてさて俺の能力値は?


「ファ⁉︎」


 カードに記された能力値を見ると俺は驚きのあまりにしばらく呆然となってしまった。俺は夢かと思いもう一度カードを見ると、

 

【名前】ルノ (17)

【職業】勇者

【祝福】???(一定のレベルアップにより開放)

【能力値】

《レベル》1

 《体力》B

 《筋力》B

 《知力》B

 《技術》B

 《魔力》B

【称号】《普通の勇者》

【装備】鉄の剣

【所持品】金貨1枚 銀貨5枚 皮の鞄


 と書かれていた。普通はどんな戦闘職でも、能力値がCから始まるのだが俺は最初から全ての能力値がB。

 普通ではありえない事が書かれていて勇者とはやはり特別な職なんだろうと改めて思う。

 

 あとこの【称号】の所にある《普通の勇者》とは何かと、《普通の勇者》を詳しく見ると『普通の勇者。何もかも平凡な人に与えられる称号。平凡・オブ・ザ・平凡。神に認められし、平凡(笑)』と書かれていた。

 

 ・・・・うん。怒る前にこの【称号】の効果を確認しておこう。どんなのだ?


『【称号】《普通の勇者》の効果は全ての能力値がBから始まる』


 案外しっかりとした効果だな。しかもこれって勇者のおかげで能力値オールBじゃなくてこの【称号】のおかげなのか。なら怒るのも筋違いかな。

 

 ってあれ?なんか続きが書いてあるぞ?どれどれ、


『ちなみにこの効果は神の憐れみによって与えられた効果である。別名、神の慈悲(笑) by.天使♡』

 

 ・・・・? まず神に認められし平凡って何? お前は勇者は勇者でも元村人だからってか? 勇者になっても体から村人らしさが滲み出てますってか? その上、使えそうな【称号】に至っては神に憐れまれて凄い効果貰ったとか、最後に至っては天使絶対バカにしてんだろ!ふ、ふ、ふ、


「ふ、ふざけんな! 何でこんな称号⁉︎ 嫌がらせかよ! つーか最後の一言いらないだろ! あと天使に至ってはいつか絶対にボコす‼︎それにしても俺なんか悪い事しましたか? 神様‼︎」  

 

 そこはもっと雷鳴の勇者とか炎の勇者みたいなカッコいい称号が欲しかった・・・・。


 なのについた【称号】は《普通の勇者》。凄い効果も神の憐れみからの慈悲とかもういろいろと魔王退治始める前からメンタルボロボロだよ。


「もう村に帰りたい」


 思わず本音が口から出るくらい疲れたよ。精神が。まぁ凄い効果をくれたと思えばいいか。


 とそんな風に思考をプラスに変えて気を取り直していつアスタートに着くかと、そしてどんな街なんだろうと頭を切り替えて、期待に胸を弾ませながら俺は夜の街道を歩いて行った。



はじめまして!三年振りに小説を投稿させて頂いた黒玲白麗というものです。頑張って投稿していくのでよろしくお願いします。

次回 ルノ、始まりの街 アスタートに着く!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ