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いじめ  作者: 有木 李真
唯一無二の君
6/15

転校生

教室に戻って椅子に座る。

少しして先生がやってきて言った。

「今日、転校生が来ました!」

クラスの皆がはしゃぐ。

「え、転校生?女子かな?」

「女子がいいなー」

「あたしも女子がいいなぁ♪」

そう言うのは美桜達。

転校生を新たないじめの標的にするつもりかもしれない。

あの声は女子だったし・・・

気の弱い子なら、彗ちゃんみたいに・・・

そう心配していたら、先生が転校生を呼んだ。

「どうぞ、入って。」

ドアから入ってきたのは・・・


背は高めで、手足は細くて、キリッとした目が綺麗。ツヤのある黒髪をポニーテールにしている。

テレビに出てそうな容姿。

モデルみたいな体型。

綺麗な髪をサラサラ揺らしながら歩く姿に、教室の生徒全員が目を奪われた。


「篠崎さん、挨拶して」

「はい。」

前を向きなおした少女。

堂々として、すごいなと思った。

その姿は、いじめに屈しない彗ちゃんに似ていて、少しだけ、思い出してしまった。

「はじめまして。転校生してきました、篠崎(しのざき) (ゆい)です。」

篠崎 唯さん・・・美人な転校生。美桜が嫌いそうなタイプだ。

美桜にいじめられないといいけど・・・

「じゃあ、篠崎さんは・・・上原さんの隣かな?」

え!?私!?

たしかに、私の隣だけだれも座ってなかったけど。


私の隣に篠崎さんが座る。

「よろしくね、上原・・・夏実さん?」

「う、うん。よろしく」

よろしく・・・思わずそう言ってしまったけど。

私がいじめられている所を見られる訳にはいかない。

美桜に目をつけられたらだめだ。

篠崎さんはきっといい人だから・・・巻き込むわけにはいかない。篠崎さんとは仲良くできない。



「篠崎さん美人だね、芸能人じゃない?」

「どこからきたの?都会っぽいよね~」

休み時間になると、篠崎さんの席のまわりには、沢山のクラスメートが集まった。・・・私の席は綺麗に避けられているけれど。


そのとき。

集まっていた皆の間に、突然道が出来た。


「篠崎・・・唯さん、だっけ?」


皆が下がった。

謎の存在感。自分が女王だと言うようなその態度。

そして側にいる二人の取り巻き。

そう、美桜だ。

・・・なんだか文にしてみるとアホみたい。

「あたし、佐倉 美桜。美桜って呼んでいいからね!

唯ちゃんって呼んでもいいかな?」

「うん、いいよ」

「良かった~」

それを聞いて、まわりの子達が安心した顔をしてる。

何も知らない篠崎さんが、美桜に嫌われないか心配してたんだろうね。美桜に目をつけられたら終わりだから。

「あ、私は柚花」

「ねぇ、今あたしが喋ってるんだけど?

なんであんたがさえぎんの?」

柚花が自己紹介しようとしたのを、美桜が止めた。

ほっとしていたクラスメート達も、ヤバイって顔をしている。

「あ・・・えっと。」

「いい?順番ってものがあるでしょ?まずはあたし優先っていう順番が!」

ここにいる全員が思っただろう。

        (そんな順番ありません!)

って。

というか、柚花と美桜の関係、かなり悪くなってる・・・

「とにかく唯ちゃん、夏実とは話さないでね!」

何がとにかくなんだ・・・美桜ってもしかして・・・

「アホなの?」

わあ、篠崎さんが私の心を代弁してくれたー

・・・!!

案の定、美桜は無茶苦茶キレてる・・・

「誰がアホ、ですって?」

「あなた以外いないでしょう?」

そう言って首を傾げる篠崎さんは可愛いけど・・・そうじゃなくて!

「・・・ね?自分が何言ってるかわかってる?」

「あなたと違って分かってますよ?」

はい、篠崎さん終了のお知らせー!!

ちょっと、篠崎さん!何言ってるの!?

まわりの皆もマズイ!!って顔してる。

篠崎さんって以外とズバズバ言っちゃうタイプだったのかな!?

美桜はマジギレだよ・・・

「は!?ちょ、マジあり得ないし!」

いや、あり得ないのはそっちだわ!とか言えたらなぁ・・・

「いや、あり得ないのはそっち」

「まてまてまてまてまて!!!」

また私の心を代弁してくれる篠崎さんを、クラスメートが必死で止めてるけど・・・

どうしよう。

どんどん悪くなっていく状況に、冷や汗が出てきた。

クラスメート達が必死で篠崎さんを庇おうとする中、何も言わなかった麻里が前に出て言った。


「ねぇ、もうこれ、決定じゃない?最近、夏実つまんなかったから・・・そろそろ新しい≪オモチャ≫、要るんじゃない?美桜さん!」


それが引き金だった。

美桜はニヤリ、と顔を歪めた。

まるで新しいオモチャを見つけた女王。

美桜はその顔のまま、気持ち悪いくらいに高く、声をあげた。


「そぉ~よね!麻里ったら、いいこと言うじゃない!

篠崎 唯、あたしが 教育 してあげる。

あたしに逆らったこと、後悔させてやるから!」


オモチャ、変更―――――――――――――――




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