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いじめ  作者: 有木 李真
唯一無二の君
3/15

衝撃

ああ、きっと今の私はひどく間抜けな顔をしてると思う。

腫れすぎて分かんないかもな。

「あの、ど、どうやって私をここまで運んだんですか?」

・・・そうだ。さっきのは聞き間違いだ。

いくら男子でも、同い年の女子をそんな、だ、抱き上げるなんて、いくらなんでも・・・

「ん?抱えてここまで連れてきたけど?」

(そう、ですか。なんかすみません。助けてもらって。)

「いやいやな訳無いでしょ!私重いし!」

・・・はっ!!

心と言葉が逆になってる!!

「す、すみません・・・」

「いやいや、いいんだよ。あ、俺は永村(ながむら) 奏太(かなた)。隣のクラスだよ。」

「あ・・・私は上原 夏実です。」

永村さんか。人気者なんだろうな。私とは生きてる世界が違う人だ。

「ねえ、夏実ちゃんって呼んでもいい?」

「え、う、うん。」

永村 奏太さん・・・

もしかして、前に美桜が好きだって言ってた人かも。

これで余計いじめてくるようになったら、嫌だな。

助けてくれた永村さんには悪いけど、関わりたくないな。

「夏実ちゃん、俺のことは奏太でいいから。」

優しい人なのは分かる。けど私は・・・

「本当にありがとう。永村君。」

これ以上、面倒なことにしたくない・・・

「あんなとこで倒れるなんて、大丈夫?」

倒れる・・・?

もしかして、永村君は私がただ倒れていたと思ってるんだろうか。

このボコボコに殴られた顔を見たら、誰だっておかしいと思うはず。触ってみたらすごく腫れているし、ものすごく痛い。

もしかして、この顔を見ていない?

抱き上げても、顔は見ないでくれたの・・・?

美桜達は服で見えない所だけを殴るから、気づかなかったのかな。

「ん?どうかした?」

「い、いや、なんでもないよ?」



教室に戻ると、なぜか皆静かで、その中心には美桜がいた。

美桜は私を見た途端、睨み付けた。

「夏実・・・あんた、どこ行ってたのよ!?あたしのオモチャ!」

殴られる。それでも、私は何も言わない。されるがまま。

私を蹴る間美桜はずっと

「なんで・・・あたしの奏太君が誰かを抱き上げたなんて!!なんで・・・ふざけんな!!」

・・・美桜が見てたのかな・・・

それなら、私はもう、生きられない。

美桜は私を・・・

「死ねや!!!」

殺すだろう。

大袈裟なんかじゃない。

「美桜、夏実蹴ったって仕方ないじゃん?奏太君が抱き上げた子は、ロングヘアーらしいし。夏実じゃないよ?」

柚花が言った一言に、麻里が慌てた。

「ちょ、柚花!なんで止めるの?」

今そんなこと言うなんて、まるで・・・

「夏実をかばってるみたいじゃない!」

麻里の言葉に、柚花は怒鳴った。

「かばうわけないでしょ、美桜が勘違いしてなければいいなと思っただけよ!」

「そう・・・?」

麻里は納得いかない顔をしていたけど、気にせず美桜が言った。

「どうせなら、もっと酷いことしてやろうよ」

麻里も気を取り直して

「柚花・・・ゴミ箱持ってきて」

「うん。」

柚花がゴミ箱を運んできた。

また、いつもの事だ。

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