魔法工具とむさ苦しいおっさん達
何もない草原を歩いて、だいぶ経ったと思う。
……けど本当に何も無いな……少し小高い丘が見えるぐらい。そろそろ疲れてきたし、あそこで休むか。
丘の上からその向こうの景色が見えた。そこは草1本も生えていない、不毛の地だった。
「なんでここから……」
地続きなのに、そこから世界が違う。そう思える程だった。また何も無いのか……そう思ったとき、
「ん……?」
先に柵で囲まれた町のようなものがあった。その中央ぐらいから煙がたっていた。火事か?とにかく、火がたっているなら人はいるだろう。少しぐらい走って行こう。
とりあえず町には着いたけど……これは……
そこに居たのは人ではなく、人よりも小さい、人のような生物だった。これは……確かドワーフだったっけ?しかもたくさんいる。ここは、ドワーフの街なのか?だとしたらめんどくさい……いや、暑苦しい所に来てしまった。
「なんだ、アンタ。どっから来た?」
喋った……いや、まずここがどこか聞かないと
「えっと、ここはどこですか?」
「ここか?ここは、[グレイドの街]だ」
グレイドの街、か……
「ここは魔工具を造ってる。アンタもそれを買いに来たんだろ?」
「マコウグ?」
なんだそれ?工具というだけあるからなにかの道具だと思うけど……
「なんだアンタ、魔工具も知らねぇのか?しゃぁねぇ。来な、見せてやる」
とか言って先に行ってしまった。見せてくれるなら見ておいた方がいいだろう。この世界のことを知ることが今回の目的だ。
名前も知らないおっさん…じゃなかった、ドワーフの後について行くことにした。