転生した俺達
いつもの朝、冷たい空気が肌に触れる。少しずつ近づいてくる冬に、俺は制服のポケットに手をつっこみ学校に向かう。
4階という面倒くさい場所にある教室に入ると芋けんぴがいた。この学校で出会った、数少ない俺の友人。
挨拶もほどほどに、いつものようにゲームの話。何も変わらない日常。マキガイもすでにいて、話に加わる。少し遅れてハルトも来た。こうして、俺を含め、なろう作家の4人が集まった。
「なぁ、俺達が転生したらどうなるか考えてみようぜ」
それは唐突だった。ハルトが小説を書くために必要な想像力を鍛えるためにやってみようと始まったものだ。俺もそれは面白そうだったので異論はなかった。
それから数日。各自の武器や能力も決まり、だいたいの設定は決まっていた。何故かその中で俺がメインを考えることになっていたのには不服だが、文芸部員という肩書きを持っているからには、少しは頑張らないといけないのかもしれない。
ある日の昼休み。その日も異世界転生の設定を考えていた。そして時間はあっという間に過ぎ、次の授業の途中だった。
突然眠気が襲ってきた。確かにこの時間は眠くなり寝てしまうこともある。でも少しは起きようとはする。
でもそれは、抗えるものではない、強烈なものだった。
なにか声が聴こえた。芋だろうか…
それさえも分からないほど判断力は低下してしまった。
そして、目の前が真っ暗になった。
「うっ……」
目が覚めた時、そこは教室ではなく、草ばかりの平原だった。
「ここはどこだ?」
すぐそばに芋けんぴがいた。周りを見渡すと、マキガイ、ハルトもいた。
どう考えても、さっきまでいた場所じゃない。でもなぜ……と考えていると大きな影が横切った。
上を見ると……
「え……」
まさか…
「あれってドラゴン!?」
そうとしか思えなかった。だって翼あるんだぜ!?
飛んでるんだぞ!?
「これってまさか…」
「俺達異世界転生しちゃった!?」
まさかと思いたいけど、あれ見てからだとそうとしか思えない。
するとマキガイが、
「とりあえずあれ狩るか?」
……まぁさすが危険人物というべきか、初期武器すらない状態でやろうとしている。
「それより先に情報収集だ。別行動して、なにか探そう」
ハルトがそう提案したので、確かにこの世界の情報が一切ない今は情報が欲しい。ということで、各自バラけて散策することになった。話し合いの結果、俺は西に向かうことになった。そしてまたここで集まることになって、皆それぞれ別れていく。
各自行動となったが無事にここに帰ってこられるだろうか……
目印もないこの状況でそれが一番不安だった。
初めまして、uehiroです。今回から本編が始まります。
まぁ読んでもらった通り、ゆるいです。そして、設定説明で自分がメインをやると書いてましたが、その後話し合いをした結果、まずは芋けんぴがメインをやることになりました。
異世界転生し、それぞれ別行動をすることになった今回。これからどうなっていくのかこれからよろしくお願いします。