Lesson3「ぷりん党 IN 聖夜祭」 02
学校はクリスマス色に染まり、煌びやかな電飾に彩られている。正門にある記念樹はクリスマスツリーに変わり、至る所に白と赤のツートンカラーが飾られてある。学校に二度目の学園祭が到来したのだ。
コートを羽織った生徒や、サンタクロースの格好をした男女が和気藹々と謳歌している。日陰者である私には眩しすぎて溶けてしまいそうだ。何故、私がこんな場違いの祭典に赴かなければならないのだ。文化祭で語ったパンティ論とは大違いである。
両手に花といいう言葉がある。美しいモノを一人で所有することの例えで用いる。多少、語弊も含まれるが、今の私はそれである。
諸君、想像して欲しい。右手には、たわわに実った二つの膨らみを持つ黒蝶。
左手には、薔薇のように棘だらけのキララ。前方には容姿端麗の麗しの乙女が、楽しそうにスキップしている。私は女性三人と共に聖夜祭で開かれている模擬店街を歩っている。
これが眼前に歩く麗しの乙女と二人っきりの聖夜祭デートならば、私も拒む理由はない。
ここで諸君に思い出してもらいたいのは、目の前を愉楽に歩く女性である。万世橋の上で卑猥な男たちから助けた女性と言えばなんとなく思い出してくれるだろう。「そういえば……」程度の思い出しでかまわない。私も彼女のことを知らない。共に知っていこうではないか。
麗しの乙女が目の前にいる。邪魔な二人も両脇にいる。なんなんだこの展開は?
恋愛のリテラシーを持ち合わせていない私を尻目に、キララと黒蝶の言い争いが続いている。
「ちょっと、あんまり瞠にくっつかないでよ」
「うらやましかったら、あんたもやればよか。まあ、キララには無理やと思うけん、無理はしないほうがよかと」
「あんた、喧嘩売ってるの?」
この言い争いは、かれこれ数十分続いている。
二人のいがみ合いに動じる様子を見せない麗しの乙女が「あっ、あんな所にイケナインジャーフィギュアがありますよ」と、射的屋を指差す。
なぜ、このような経緯になったか、事の顛末を説明しよう。途中退席は認めない。