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第五話 スキル

「えい!やあ!とお!」


「マスター真面目にやりましょう。幾らレベルは上がってるとは言え、その光景は見るに堪えないです。」


レモンが笑顔で毒を吐くので、私は渋々逆立ちを辞めた。


 因みに私は先程まで、逆立ちをしながら足で調合するという事をやってました。元々運動神経は悪くはないので、逆立ちは出来ました。そして、今日はポーションを作ってみました。


 作り方は簡単、そこら辺にある薬草と水を混ぜて調合スキルを発動そして完成。


「じゃあ、このポーションはスノウに飲ませよう。」


 因みにスノウと言うのは、昨日拾った殺し屋の女の子の事です。因みに名前は私が付けました。スノウのことを知っている奴らが、全て死んだ頃合を見計らって街に出かけようと思っています。


元々自分の名前が好きではない様だったので、改名しようという事になり、髪の色白銀だしそこから連想して雪を英語にしてスノウになった。因みに目の色は深い藍色だった。


「我乍ら良い名前だと思う。」


拳をぎゅっと握って自画自賛していると、修行を終えたスノウが帰ってきた。


「ただいま。」


「お帰り今日の成果はどんなだった?」


「暗殺スキル上がって、熟練者になった。」


嬉しそうに血の付いたナイフをブンブン振り回していた。うん、すっごいシュールな光景だな。


「なら、次は走行スキルを上げていこうか。今日のノルマは終わったし明日になるまで自由時間ね。」


「分かった。じゃあお風呂に入ってくる。」


「準備は出来ているので、そのまま入れますよ。」


 レモンも害はないと判断したのか、最初のひどい仕打ちが嘘の様に態度が変わっていた。偶に毒を吐くのは変わらなかったけど普通に接しているのでほっとしている。


「所で、マスターは次は何を習得しますか?」


そうレモンに問いかけられ、私は考えた。


 今まで色々スキルの習得はした。でもこれと言った気に言ったスキルが無かった。


 確かにめんどくさがりやな私だけど、気に入ったものや何かと執着心を抱いた物には貪欲だ。自慢できるかは分からないけど、生前は上毛かるた全部暗記したり、英語のイタリア語の数字だけを覚えたりしたことがある。


 逆に言えば興味のない物は一切手を付けない。


「今の私が習得できそうなスキルって何がある?」


「でしたら少々お待ちください。」


そう言ってレモンは何やら魔法で本の様なものを作り出した。


 表紙は赤く、習得できるスキルと書かれている。


「これに載ってるの?」


「はい、今現在マスターが習得できるスキルが黒い色でハッキリと表記されています。逆に、今現在マスターが習得できないスキルは、灰色の文字で書かれています。」


「へー。」


 ぺらぺらと国語辞典の様な分厚い本をパラパラと捲っていく。ぺらぺらと捲り続けるとある文字が目に入った。


「上級スキル?」


 灰色の文字のところには、共通して上級スキルと書いてあった。私の考えがあってるなら、別の初級スキルを習得しないと上級スキルは習得できないという事なんだろう。大体この手のてのことなら予想はつく。


「上級スキルと言っても、マスターがその気になれば習得できますよ?」


「え!?そんな方法在るの!?」


「はい、私の調合薬の中に、スキルを習得するポイントを上昇させることのできる物があります。」


「それって今使える?」


「使えますが、それではマスターが堕落し過ぎてしまうので、スキルに関しては自力で頑張ってください。」


 まあ、確かにこれだけ贅沢してるんだし、真面目に頑張ろう。冷たいレモンの視線から逃れるようにスキル本を手に取った。


 取り敢えずまたパラパラと習得できるスキルを探した。幾つか気になったスキルをピックアップするとレモンにページを見せる。


「銃撃スキルですか?」


レモンは意外そうに驚いていた。


「確かに剣も好きだけど、実際に戦うなら銃の方が良いかなって思ったんだよね。」


 だって剣だと血が飛び散った時に血まみれになるし、その点銃なら返り血は着かない。


ドヤ顔でレモンを見つめると、何やら考え込んでいる様子だった。


「でしたら、一旦訓練しましょう。念のために言っておきますが、くれぐれも扱いには気を付けて下さい。」


 何時になく真剣な顔で初心者用の銃を手渡してきた。私は混乱しながらも銃を握り、地下にある訓練場に移動した。


「そう言えば、私って射撃ってあんまり得意じゃないんだよね。」


 屋台の射撃の様な訓練場で銃を構えながら、誰に言うでもなくそう喋った。思い返せば、今まで結構やったけど、射撃で商品を撃ち落せたのは、精々お菓子を数個というくらいの腕前である。


 今回は商品の代わりに、ダーツのような的を狙い銃を構える。銃と言ってもよく映画で見る様な小っちゃいタイプのものである。


 カキンッと引き金を引くと、ガコンッという音と共にダーツのど真ん中に当たっていた。けれど今の私は素直に喜べなかった。寧ろ涙が止まらない。


「痛い。」


 銃の振動でビリビリと腕がしびれた。ど真ん中に当たって嬉しいはずなのに、涙がボロボロと止まらなかった。ゲームで銃を撃つ奴あるけど、実物で撃つのは止めよう、私にはまねできない。不老不死とは言え痛いのは嫌だ。


 涙を袖でゴシゴシ拭うと私はその場に銃を置き、レモンのいる上の階に上がって行った。


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