第三話 討伐
「そうだ討伐に行こう。」
「畏まりました。」
そう言ってクッソ弱いモンスターのいる場所に移動した。
何気にモンスターの討伐は今日が初めてである。今までスキルやレベルしか上げていなかったし、レベルに関してはずっとレモンと戦って上げてたし、しかもレモンは攻撃してこないから、一方的に私がダメージを与えてる感じ、流石に幼女を攻撃するのはどうかとも思ったんだけど、割と全力でデコピンしても無反応で、イラッとしたから本気で腹パンしたりとかしたのにニッコリとほほ笑むだけでレモンに対して何のダメージも与えられなかったんだよね。
しばらくは悔しかったから、真面目にスキルをあげたりしてたんだけど、ニコリと微笑みながらご飯作ってくれるから、いつの間にか堕落してるんだよね。
そんなことを考えながら、林の中を歩き回った。最初は何もない大地だけだったけどレベルを上げていったら、丁度近場の敷地の外にいきなり出現してた。因みにこの林には食べられるファンタジーっぽい食べ物を3種類ほど見つけた。
一つ目は心の実、ピンク色でハート形をしていたからそう名付けた。丁度心臓位のサイズだから心臓の実とか名づけようかとも思ったんだけど、よくよく考えたら心臓ってハートの形じゃないんだよね。って気付いて心の実にした。食べたら甘酸っぱかった。イチゴと柘榴の中間みたいな味。
二つ目はプル実、モンスターのスライムみたいな形で何だかプルプルしてるからそう名付けた。一口サイズの丸いゼリーって感じ、食べたらブドウ味だった。
三つめはドカンの実、その名の通り土管の形をしているからそう名付けた。最初はとてもじゃないけど、食べる気になれなかった。でも、レモンが味的には問題ないです。と言っていたので食べてみたら意外にもおいしかった。爽やかなミントに近い味だった。あの見た目でさわやかな味ってどうも納得がいかなかったけど、美味しかったからまあいいや、みたいな感じになった。
そして、木の実を食べながらレモンと進む事数時間、やっとモンスターらしき生物を発見した。真っ黒い狼の様な犬のようなモンスターだった。
「あれ、本当にモンスター?犬の間違いじゃなくて。」
「はい。あれはブラックウルフと言うモンスターですね。」
既に名前が決まっているみたいだった。残念、決まって無かったらつけようと思ってたのに。
残念そうに見ているとブラックウルフは私に気付いたのか警戒態勢に入っていた。
「グルルルル」
こちらに向けて殺気を放っている。
そんな時私はあることに気が付いた。少し前まで平凡な学生だったのに、これが殺気だってちゃんと分かった!自分の成長を感じ取れてうれしかった。
「ガアアアア!」
そんな私にはお構いなしにブラックウルフは、こちらに向かって突進してきた。
「うわっ!?」
ギリギリかわせた。バクバクと心臓が飛び出てきそうだった。
「レモン、こういう時どうすればいいのかな?」
テンパった私はレモンに助けを求めた。
「戦えばいいと思います。」
いつもの様に輝かしい幼女スマイルを披露する。ああ、まぶしいな。
「せめて、何か的確なアドバイスを頂戴。」
「でしたら、此方をお使いください。」
そう言ってレモンは剣を渡してきた。RPGで最初に手に入る、普通の剣。素手で戦うよりはまだいいか。私は剣を両手で持つとブラックウルフに切りつけた。
「ギャンッ!」
短い悲鳴と共にブラックウルフの首が飛んでいった。
「うっわあ!?」
首飛んだよ!?ていうか凄い血だらけ、ファンタジー世界ならこういうのもいくらかファンタジー修正してほしかった。幸い私はグロテスクなものは耐性があるけど実物はちょっときつい。
でも血の匂いは割と平気だったりする。生臭いのはちょっと嫌だけど、元々順応性も高い方だからそのうち慣れるだろう。取り敢えず、血の付着した剣はレモンに返した。ちゃんと血は近くにあった川で洗い流したよ。
こうして微妙な心境だったけど、モンスターはちゃんと倒せました。一匹だけ。
今日の成果
ブラックウルフの討伐