FILE.3 狂喜
二人組の男はすぐに見つかった。
抵抗の際にとっさに1人の方のポケットから抜いた免許証によってそいつの名前と住所が分かった。 男の名はマルコ 僕の大事な玉に蹴りをいれた野郎だ、まずはこいつから
行動は早いに限る。 日が沈むのに合わせ、僕は仮面にタートルネック、スキニーのパンツをはくと 手には電動ヤスリを持ち、足早に奴の家に向かった。 奴が帰ってきたのは 僕が奴の家に着いてからカップラーメンが三つできるほど後である。 マルコは身長160と以外と小柄である。 何も知らないマルコは、酒の入った おぼつかない足でゆっくりとドアに近づく。
(今だ) 僕はマルコの首元にスタンガンを当てスイッチを押した。
奴が目を覚ますとそこには、裸電球のぶら下がる殺風景な部屋。 自分は椅子に縛り付けられて身動きがとれずに見えない敵に対し怒鳴っている。 少し間をおいて奴の目の前に現れると、奴は笑い出した。 僕を馬鹿にし笑い出したのだ。 我慢できなくなった僕は奴にこう言った。
「髭剃りをよく床屋でやってもらうだろ?
実は僕もたまにやってもらうんだが、あの剃刀って言うのはいつ見ても怖い物だね。
でもね、怖いからといって家で電動を使ってもあれはあれで、何回も同じ場所を剃らなければいけない。だが、見つけたんだよ僕は、素晴らしい電動の髭剃り機をね剃り残しゼロな上に一回でしっかり剃れるんだ。」
マルコはまだ笑っている。と言うか、今まで以上に僕を馬鹿にした目で見ている。
僕は、奴の顔に手をかけるとおもむろに後ろから電動ヤスリを取り出した。 奴の顔が固まる。 これから自分がどうなるのか、自分が今おかれている立場。人間は本当に都合のいい生き物だ、さっきまで馬鹿にしていた人間に対し、自分の身が危険にさらされると急に顔色を変える。目に涙まで浮かべて奴は許しを求めた だが、残念。 僕はキリストでも仏でもない、許すわけないだろ。 電源をいれた電動ヤスリは静かな騒音をたて回り始めた。
僕は、それを奴の顎に押し付けた ジッジッジジジジ…ヤスリと顎の骨が擦れる音が部屋中に響いた。薄い皮膚は簡単に破れ骨は徐々に削れていく。 歯茎にヤスリが触れると 柔らかい肉は一瞬で霧になり、歯は弾かれて四方に吹っ飛んだ。舌は摩擦で火傷し、少しづつ裂けていく。
マルコは肩をガタガタと震わせ、涙や鼻水や唾液を周りに飛び散らせながら叫んでいる。
口を閉じるたびに唇かボロ雑巾のようになっていく。 そして奴は、
泡を吹いて死んだ。 興奮のあまり記憶は飛んでいて、後でみたニュースとネットの流出画像で奴の死体を見て 僕は吐いた。
例えるなら、そう、イチゴゼリーのようであった。




