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眠りの国のお姫様 ~寝ても覚めても夢の中~





 小さな魔女の女の子と、美しいお姫様が出会ったのは、暗い森の中でした。


 お姫様は、こんにちはとあいさつすると、魔女の女の子にこんなことを問いかけました。



「あなたは眠りの魔法が使えますか?」



 小さな魔女は答えました。



「いいえ、出来ません。私に出来ることは、話を聞くことと、話をすること。それだけです」



 その答えに、お姫様はなぜか残念そうにしました。


 不思議に思った魔女のお供の栗鼠が、その訳を尋ねました。


 お姫様は答えます。



「私はこの間まで、悪い魔女によって長い眠りについていました。永遠の眠りです。ですが、ある時、たまたま近くを通りかかった王子様が、私に口付けをしました。そして私は目覚めたのです」



 その答えにお供の栗鼠は、それはよかったですね、と言いました。

 しかしお姫様は首を横に振り、こう答えます。



「いいえ、ちっともよくありません」

 


 その言葉に、お供の栗鼠は首を傾げました。


 悪い魔女の魔法が解けたのは、とても良いことのはずです。ましてや、王子様の口付けによって目覚めるなんて、とても素敵なことです。それこそ、普通の村娘たち全員から羨まれることでしょう。


 それなのに、なぜお姫様は眠りの魔法が使える人を探しています。どうやら、また眠りの魔法をかけてもらうつもりのようです。



 不思議に思ったお供の栗鼠は、その訳を尋ねました。


 お姫様はこう答えました。




「いつ目覚めるかは、私が決めることです」




 森の奧へと去ってゆくお姫様を、魔女の女の子はあくびをしながら見送りました。








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