5話:機内 【セレナ編】
次話が完成いたしましたので投稿させていただきます。
駄文ですがぜひ読んでいただけたら、幸いです。
輸送機が離陸する瞬間、大人気なくはしゃいで喜んでいるソシオ、機内で何十人という中でここまではしゃいでいるのはソシオだけだ。
同じ機体に乗っている他の軍人が迷惑そうな表情をしている、そんなことはお構いなしにソシオが興奮気味にセレナに話しかける。
ソシオ「おい!!すごいぞ!」
セレナは周りから知り合いだと思われたくない為、無視を決め込むがそれでもソシオはしつこく絡んでくる。
ソシオ「おい!見てみろって!絶対後悔しないから!」
最初は無視をしていたセレナだったが、あまりのしつこさに怒って答える。
セレナ「静かにしろよ!何回か訓練の時乗っただろ!」
あまりのセレナの剣幕にソシオは押されるが、すぐさま反論する。
ソシオ「全然だ!役所に転属してから一度も乗ってない!!それに乗るのは初めてだ!」
セレナはこの時点で少々呆れ気味になったが、ソシオが言っている初めての意味が知りたいと言う気持ちがあった為呆れつつもソシオに訊ねる。
セレナ「何が初めてだ?だから訓練の・・・」
セレナが言い終わる前にソシオが話す。
ソシオ「違う!そうじゃない・・・民間の空港から乗るのが初めてだ・・・!それに!この輸送機!テレビがついてるんだぞ!!!ほら!見てみろ!俺たちが訓練の時は基地で乗ってまた他の基地へ・・・その上乗ったのは旧式の輸送機だから何も無かったな!?」
これには周りの軍人たちも嘲笑っている。セレナは自分も含めて笑われている様な恥ずかしさ、
それと同時にソシオの予想外のズレた返答に一瞬にして呆れから諦めに変わった。
セレナは内心思った、たかが機内のテレビを見せたいが為に私を呼んでたのか?
その表情はソシオに対する怒りで満ちている。
ソシオのスキンシップも苦手だが、こう言うところも苦手だ。
セレナがそう思っている間に輸送機の高度が次第に上がっていく、それと共にソシオの口数も減っていく。他の軍人達には既に寝ている人もいる。
ソシオがテレビに夢中になり喋らなくなって沈黙が包みだした、しばらくしてからセレナが話しかける。
セレナ「なぁ、輸送機に乗った時外を見たか?」
セレナの神妙な面持ちにソシオも真剣な表情で答える。
ソシオ「あぁ、見たぞ?それがどうした?」
セレナは話を続ける。
セレナ「いや、護衛機の数がやけに少なくないか?」
ソシオ「そうか?国内の輸送任務だからじゃないか?それに上には何か考えがあるんだろ。」
確かに、国内だけの輸送なら制空権も保障されてるし、これだけの護衛機でも十分だ。
珍しく的を得ているソシオからの返事に、頷きかけたセレナだったがまだ釈然としなかった。
セレナ「ん~・・・」
どこか腑に落ちないセレナの表情を見てソシオが言う。
ソシオ「お前が言わんとしている事は分かる。だが仮にお前の予想が当たっていたらお前はどう対処する?」
そう言われたセレナは考えたが答えを出す事が出来なかった、さらにソシオは話を続ける。
ソシオ「ここはお前が思ってる敵に対抗しうる戦闘機でもなければ、俺らが主戦場とする陸でもないんだぞ?要するにだ・・・流れに身を任せるしかないって事だ。それが例えどんな結末になろうがな」
ソシオはそう言い終わると、セレナに話しかけてくる一人の軍人が居た。
?「あの~もしかしてあの入隊2ヶ月で実戦部隊に配属、耀かしい成績を残してわずか3年で特殊機関将校に上り詰めたセレナ・クロイツ特殊機関将校殿ですか?」
セレナ「あぁ、まぁ・・・そうだ、が・・・」
セレナがそう返答すると軍人は、凄く喜んでセレナの手を取り挨拶をした。
ビオレタ「やっぱり!こんなところでお目にかかれて光栄でございます。セレナ・クロイツ特殊機関将校殿、わたしは『ビオレタ・ノブレ』と言います!『ビオレタ』は【スミレ】を意味していて『ノブレ』は【高貴】を意味しています!!どちらも母に付けて貰いました!出身はブルへリア帝国出身です・・・」
セレナは一方的な自己紹介に困惑を隠せない、それにビオレタのブルへリア出身と言うと所が頭に残った。
それを見かねたソシオはビオレタに話しかける。
ソシオ「ちなみに・・・俺の名前は?」
ビオレタはセレナの手を握ったまま、ソシオの方を向き答える。
ビオレタ「もちろんご存じですよ!セレナ・クロイツ特殊機関将校殿と同じ第265特殊行動作戦部隊の予科隊に所属していたソシオ・トルミロスさんですよね?射撃訓練はセレナ・クロイツ特殊機関将校殿に次ぐ2位の」
あまりの回答にセレナは呆然とし、ソシオも言葉を返せない。二人とも固まっている中一人だけ、セレナの手を握り微笑みながらソシオを見つめるビオレタ。
困惑しながらもソシオは話す。
ソシオ「あぁ、まぁ・・・そうだが本人を前にして2位は言わないで欲しかったなぁ」
そう言いいながらソシオは愛想笑いをした。
ビオレタはセレナの手を握ったまま、まるで同意を求めるかのようにセレナに話す。
ビオレタ「でもそうですよね!?セレナ・クロイツ特殊機関将校殿!!!」
屈託のない笑顔で返答に困るセレナだが答えない訳にもいかないので答える。
セレナ「そ、そうだが・・・本人を前にして2位は言わないほうが言いと思うぞ・・・」
セレナはそう言いつつソシオの方を見た、ソシオはテレビを見つめているがその目からは生気を感じられない。
セレナは話を続ける。
セレナ「それに私の事も、『セレナ・クロイツ特殊機関将校殿』と呼ばないで欲しい。普通に「セレナ」で良い・・・それにもうそろそろ手を離してくれないか?」
そう言われたビオレタは急いで手を離した。
ビオレタ「あ!すいません!セ、セレナさん!」
ビオレタは叱られたと勘違いしたのか、少し悲しそうな顔をしている。
セレナ「いや、良いんだ。これからもよろしくな」
セレナはビオレタに微笑みかける、セレナの表情を見てビオレタは嬉しそうな顔を浮かべて答えた。
ビオレタ「はい!!ありがとうございます!こちらこそよろしくお願いします!」
ビオレタは返事をした後、腕時計を見てセレナとソシオに挨拶をした。
ビオレタ「それではもうそろそろ時間ですので戻らせて頂きます!セレナさん、ソシオさん失礼しました。」
そう言うと二人に敬礼をして、ビオレタは戻って行った。
セレナは深いため息をついてソシオに話しかける。
セレナ「な、なんか・・・色々と凄かったな。」
ソシオ「あぁ・・・そうだな・・・」
セレナはビオルタの事もあり眠たそうな顔をする。
セレナ「少し休む。」
ソシオ「分かった、俺も休むとするよ。」
そう言うと、二人は眠りについた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
矛盾点が出ないように細心の注意を払ってはいますが、もしございましたらご報告頂けると嬉しいです。
それと共に感想やアドバイスなどもぜひお待ちしております。