4話:初陣 【輸送機編】
何とか書き終えました。(汗)
相変わらずの駄文ですが、読んでいただけると嬉しい限りです。
色々な軍用機や旅客機の轟音が響き渡るゼファー国際空港、セレナ達を乗せた輸送機のパイロットが管制塔に離陸許可を求める。
パイロットが無線機のスイッチを押す。
機長「管制塔、こちらヴィーゼン連邦共和国空軍のミグラテール2、離陸許可を求む。」
スイッチを離すと無線機特有の不快なノイズ音が走るが直後に管制塔から指示が入る。
管制塔「しばし待機せよ、別の軍用機がすでに着陸態勢に入っている。」
機長「了解した。」
機長は無線機を切った後に隣に座っている副機長に愚痴をこぼす。
機長「飛行機は渋滞しないはずなのに渋滞するんだな」
そう言いながら機長は苦笑いしながら話しかける。
副機長「仕方ないですよ、安全第一なんですから」
そう答えた副機長も苦笑いで答える。
機長「あぁ、そうだな。安全第一だな」
副機長「そうですよ」
他愛ない会話が終わった後に、機長が昔話をするように穏やかな口調で話し出す。
機長「私が戦闘機に乗ってた時はスクランブルで常に滑走路は空いてたんだがな・・・」
憧れの機長と飛んで二年半、暇な時は常に聞かされてきた。さすがにもう耳にタコが出来るぐらいだ。
副機長は内心、うんざりしつつ話を合わせる。
副機長「あぁ、あの大戦時ですね」
機長はそうだと言わんばかりに首を縦に振る。
機長「あの時は大変だった・・・だが今考えればあの大戦がいい契機だったのかもな」
副機長は初めて聞く話につい聞き入ってしまう。
副機長「いい契機・・・とは?」
機長は一旦咳払いをしてから話し出す。
機長「実はな、最初は旅客機を操縦したかったんだよ」
副機長は黙って、機長の方を見つめる。
機長はポツリポツリと話し始める。
機長「最初は戦闘機に乗るとは思ってもいなかった、当時私は旅客機に乗るために航空学校に通ってたんだが、在学中に開戦。当時はもちろん人手が足りなかったらから乗らざるを得なかった。一機、また一機と落とす度に自分の中の何かが壊れていくような感じがしてな。次第に戦局は悪化の一途を辿り敗戦した。あの時負けたせいで職を失ったが、ある意味自分を失う前で良かったのでは無いかと今思い返せば思う」
言い終わった後に機長は微笑んだ。
話を聞き終わった副機長は驚いた。副機長が小さい頃、軍事オタクだった時に買って読んだ本に書いてあったのがこの人の話だ。<ヴィーゼンの稲妻>いわゆるエースパイロットだ。
神兵が乗る航空機を28機も撃墜した人だ。
副機長からしたら憧れの人だ、戦闘機に乗るぐらいなのだから国を守りたいと言う気持ちが強い人なんだと。
気付けば副機長は考え込んでいた、あまりにも真剣な顔をしてたせいで、見かねた機長は笑って言った。
機長「なーに、昔の話だよ。」
副機長はその言葉を聞き我に返って咄嗟に返事をした。
副機長「あ!は、はい!」
副機長は二年半常に一緒に空を飛んできた為、尊敬の念は若干ながら薄れてたがまた尊敬し直した。
普段とは違う返事を聞いて機長は笑っている。
その笑っている姿を見て副機長も思わず笑ってしまった。
一通り笑い終えた後に機長が訊ねる。
機長「見直したかい?」
副機長は機長の唐突な質問と図星を突かれ、驚きながらも微笑みつつ答える。
副機長「もちろんですよ!」
機長も嬉しそうに満面の笑みで答える。
機長「それは良かった。」
和やかな雰囲気がコックピットを包んだ直後に管制塔から連絡が入る。
管制塔「ミグラテール2離陸を許可する、第三滑走路まで行き待機せよ。」
機長「了解した、滑走路まで行き待機する。」
機長は無線機を切るとエンジンの回転数を上げた、重い軍用機は徐々に徐々に動き出す。
軍用機はしばらく動いた後、指定位置の第三滑走路に待機した。
機長は指定位置に着いた報告を管制塔に入れる。
機長「こちらミグラテール2待機位置に到達、離陸許可を。」
機長が無線機で管制塔と話している最中に副機長は空港ターミナルの方を見る。
副機長(今回は護衛機がすこし少ないな・・・まぁ国内での輸送任務だしな・・・ん?あの2機の護衛機、若干マークがおかしいような・・・)
副機長が気になったのはミグラテール2を護衛する護衛機の機体、順番に滑走路に向かって移動してきている。一機、また一機と機体側面に太陽の光が当たってゆくが尾翼部分に描いている部隊マーク、他の護衛機とよく見比べなければ分からない程些細な違いだ、見間違いの可能性も十分あるが。
副機長は変な胸騒ぎを感じた。
副機長がそう考えてた瞬間に機長が無線機を切る、それを見た副機長が我に返り機長に訊ねる。
副機長「どうでした?」
機長「無事に許可を貰ったよ、これから出発だ。」
副機長「分かりました」
そう言うと二人は操縦桿を握る、機長がエンジンの出力を徐々に上げていく。
速度が上がると同時に振動も増していく、4キロ弱ある滑走路の端が見えてきた所で機長が操縦桿を引くと同時に次第に機体が上昇していく。ある程度上昇したのを確認すると副機長が車輪を格納する。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
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