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最終話 栄光を掴んだ。

巧は昨日のおっさんの事が頭から離れなかった。


ボーっとしながら部室に入る。

部室に入るとその場にいた三人の部員ににらまれる。


「また来たよ補欠の巧が、いい加減辞めてもらえねぇかな」


一人の部員が言う。巧は部活内では嫌われていた。


「ホンとさ、お前マネージャーみたいな事ばっかやってんじゃん。いい加減うざいんだよ」


三人に責められる巧。しかしこんな事は日常茶飯事の事だった。


「僕は、僕は辞めない。栄光を掴むまで」


「はぁ?またそれか!栄光を掴むなんていっても、補欠のお前がどうやるんだバーか」


その時部室に一人の男が入っていた。


「あ、キャプテン!」


「おい、お前らまたそんな事をやってるのか?だから上手くならないんだ。速く練習しろ!」


そう言われて三人はそそくさと出ていった。


「ありがとう。キャプテン」


「別に、俺は一年からお前見てるから、お前の頑張りは知ってる。俺は応援してるぜ」


そういってキャプテンも出ていった。











巧はいつものようにランニングをやってグラウンドに戻ってくる。

驚く事に昨日のおっさんが監督と話していた。


「久し振りだな昭一。10年ぶりくらいか?」


監督の名前は小嶋昭一(こじましょういち)

あのおっさんとは、知り会いらしい。


「神田先輩!!?なんでここに」


(こうだっていうのか。あのおっさん)


「へへ、球拾いは卒業したか?」


「神田先輩何言ってるんですか!勘弁してくださいよ」


「まぁいいじゃねェかよ。今日は大事な話があってよ」


「大事な話?」


「おうよ、お前のトコに言い才能を持った奴が居てよ、借りにきたんだ」


神田というおっさんと監督は言い合いをしていた。


「借りに来たって、楠田ですか?ダメです。うちのエースなんですから」


「楠田じゃない」


「え?じゃぁキャプテンですか?ダメですよウチの4番ですから」


「ふふ、馬鹿だなぁ。俺がほしいのは皆川巧よ!」


監督はそう聞くとぷっと吹いて大笑いをした。

キャプテンと楠田を除いて他の奴も笑っていた。


「ははは。面白いこと言いますね。いいですよ。借りてけばいいじゃないですか」


監督はあっさりとOKした。

そして僕は明日から、神田と言うおっさんに付いて教わる事となった。









「よぉし!練習するぞ!まぁでも目標の無い練習じゃつまんないから目標を作ってやったぞ。」


「なんですか?それは」


僕はその目標を聞いて驚き叫んだ。

その無いようはとんでもないものだった。


それは、今から3ヶ月後に野球部のレギュラー二人を押さえると言うものだった。

その二人は確実にキャプテンと楠田だろうと思った。


その日から地獄の日々が始まった。









「ねぇ巧?最近一ヶ月ぐらいなんで野球部に居ないの?」


巧は野球部ではなく河原で練習していて、野球部に居ない巧に希が尋ねた。


「今は、すごいコーチにある場所で教わってるんだ。それでまぁいろいろとね」


希はそう言った巧に笑って答えた。


「そうなんだ。だよね、巧は辞めないよね野球。頑張ってね……じゃね」


希は巧の勝負の事を知っていた。

だけど、その事を知らない振りをして走り去っていった。












そして運命の日がきた。






「神田先輩。本当に皆川で良いんですね?」


「もちろん。巧以外は考えられないよ」




――――勝負は一人一打席。ヒットを打つか、討ち取るか――――


最初はやはり楠田。


巧はこの三ヶ月で練習した事を全てを出すつもりだった。


1球目。巧の渾身のストレートが外角低めに決まった。


2球目。巧は神田に教わった時間差を付けたカーブをなげた。そしてストライク。


3球目。カーブを投げた後のストレートは速く見えた。そして三振。


周りに居る奴がどよめく。巧の凄さに。


次の相手はキャプテン。


同じ配球で挑むが、さすがに打ってきてファールになった。

ストライクは2カウント。ボールはなし。


巧は隠しておいたとっておきの投げ方を出した。


それはアンダースローだった。

下から浮き上がる独特の弾道で三振に取った。




巧は栄光を掴んだ。





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