Future 1
自分の家のドアが開いたとき、全く知らない人がでてきた。ここは自分の家だ。間違いないはずなのに。よく見たら、家の見た目もなんか違う。自分が知っている家より、屋根が高い。それに、いろんなものが機械化されている。ドアの隣に見た事も無いパネルがあるし、ドアから見える家の中の景色も様々な機械がうかがえる。妙だ。家の方向間違えたかな?と思って周りを見渡した。
一面、近未来の都市っぽいものが広がっていた。
あっけにとられていた俺、神谷勉、ドアの前に立ってる人に声をかけられた。
「あの、何か用でしょうか?」
「え、いや、あの・・・・・・」
なんて言えばいいんだこの状況・・・だめだ、何か言わなきゃ、ただの不審者だ(中二だけど)。
「ここ、神谷さんの家ですよね?」
「へ?」
「実は、僕、神谷なんです」
「・・・・・・へ?」
気が動転していたとはいえ、これはひどい。とりあえず、話をそらした。
「今、西暦何年ですか?」
「2030年ですけど?」
よけい不審な目で見られたけど、こっちも不審な目で見返した。
嘘だろ?
「タイムスリップ・・・・・・」
そうつぶやくと同時に、俺は完全に変態扱いされ、無言でドアを閉じられた。
話は数時間前にさかのぼる・・・・・・わけでもない。家に帰ろうとしたらたら、こうなってた。確かに、一人だったし周りの景色とか特に気にせずに帰ってきた。でも、これはないだろ?なんで歩いていたら20年が過ぎてるんだ?
頭がおかしくなりそうだった。正直に言うとこんな感じの事があったらな・・・・・・と妄想した事はあったが実現するとは思わなかった。そんな事を考えてしまった痛々しい自分に、いろんな意味で今は後悔している。
とりあえず、歩く事にした。それ以外にする事が浮かばなかっただけだけど、不思議と落ち着いてきた。でも、これで何とかなるとは思えない。歩くしか無いんだけど。そんな感じの事が、頭の中でずっと回り続けていた。
それほど歩いた訳でもないのに、なんか疲れてきた。精神的なダメージのせいだろう。とりあえず、すぐそこにあった公園までいって、ベンチに座り込んだ。ここ、確か俺の住んでいたときにもあったよな・・・。遊具がかなり違う気がしたが、知ってる場所を見つけられて嬉しかった。とりあえず、今日はずっとここにいよう。なんかもう動きたくないし、どうにでもなれよって気がしてきた。こんなの、自分でなんとかできる問題じゃない。もう焦ってもいない。いや、焦る気すら起きないんだ。もうずっとここにいればいい気が・・・・・・。
「どうかした?」
突然、声をかけられた。同級生くらいの女子が、こっちを見ている。
「え?いや・・・・・・」
何か言おうとしたけど、なんて言えばいいかわからない。
「重そうなバッグだけど、家出?」
俺が持ってたのは普通に教科書が数冊はいるくらいのバッグだった。でも、ここなら教科書なんて使わずに、ipadの改良版みたいなものを一台持っていって終わりそうだし、家出と間違えられてもしかたないのかもしれない。ここはさっきみたいに不審者と思われないようにしたい。
「まあ、そんな感じ」
「なら、家くる?今週親いないから」
「え、いいの!?」
予想以上の結果だ。これなら今晩寒さに震えながら眠る必要は無い(経験者)。
「ぜひお願いします!」
「決まりだね」
なんかむこうも嬉しそうなのが気になったけど、下手に突っ込む気はない。
急に元気がわいてきた。
「私、麻生美奈。よろしくね」
「あ、俺、神谷勉」
とりあえず、彼女の名前と20年後の名前はいたって普通だってことがわかった。
二人で並んで歩く。一人でいた頃より、ずっと気が楽だ。隣にいるやつが男子だろうが女子だろうが関係ない。元々そう言った事に興味は無いつもりだ。
麻生に、一度質問された。
「学校、どこ通ってるの?」
「え?この近くの・・・・」
とっさに自分の学校名が口からでかかったけど、あの学校が歩きがあんまりしなかった。そんな事を考えていたらむこうから歩いてきた人と派手にぶつかった。
「あ、すみません!」
「いや、大丈夫だよ」
その人は特に何ともなかったみたいなのでよかった。おまけに話も中断できたし。
「ついたよ」
目の前には、大きな家が建っていた。少なくとも、さっきまで見てきた家よりははるかに大きい。
「でかいな〜」
あっけにとられて家を凝視していたけど、向こうはまんざらでもないようだ。
「中、入るよ」
「あ、うん」
ドアにカードキーがさされ、カチッとロックが解除される音がした。
中に入ると、こちらも豪華だった。派手な装飾にまた呆然としてしまった。
「2階に一部屋開いてるから、好きに使ってね」
「わかった」
何もかも、うまくいった気がした。なぜかタイムスリップして自分の家が無かったり、ベンチで過ごそうと本気で考えていた頃に比べれば、はるかにいい感じだ。お先真っ暗だった俺に、希望の光が舞い降りたんだ。神様がいるって信じたくなった。
自分に与えられた部屋もホテルの一室みたいですごかった。
「ここ本当に使っていいの?」
「うん」
やっぱり向こうも嬉しそうなのが、やっぱり気になった。別に俺はイケメンって訳でもないし、これといってすごい事も無い。まあ、そのうちわかるだろう。普段より比較的プラス思考になった俺は、すべてを楽観視し始めた。
一回に戻ると、直方体の機械を見つけた。
「なにこれ?」
「ん?テレビだよ」
麻生はその「テレビ」の丸いボタンを押した。するとヴォンッという音がして何も無かったところに画面が映った。
その発想は無かった。まさか科学がここまで進歩してるなんて・・・・・・。
あっけにとられている俺を見て、彼女はにっこりと、
「20年前には、こういうテレビ無かったの?」
「え?」
「もしかして・・・・・・ばれてた?」
「うん」
この世に・・・神様なんていない。
中二が主役という事で、文章も中学生っぽさを意識して書いてみました。一応中二病とか言われない程度には調整したつもりです(笑)未来編、現代編を交互に書いていく予定です。更新が遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。