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転移勇者と愛しき人と  作者: 炊飯器と電気ポット
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ラーメン御麺と兎の優しさと

ラーメン御麺でのアルバイト初日!!

勇の戦場は!?

さて!歯は磨いた、服も着た、靴もある!

準備オーケーだ。

いよいよ、ラーメン御麺でのアルバイト初日だ。

四時半に来てと言われたけれど、あと一時間半もある。


「ただいま〜」


「おかえりなさい」


兎さんが帰って来た。


「準備は出来てるみたいね!

そこに座ってくれるかな?渡したいものがあるの」


僕は床に正座して座った。


「じゃあ、勇くん。一つ目はこれ」


「合鍵ですか?」


「そうだよ、ないとこまるでしょ?」


「ありがとうございます!」


「もう一つはこれ」


「スマートフォンですか?」


「スマポだよ?勇くんは相変わらず変なこと言うね!戸籍がないと携帯も作れないでしょ?」


「本当に色々とすみません…。」


「いいの!いいの!連絡取れないと困るの私だし」


兎さんは本当に気が利く人だ。


純佳さん、リンやアンナやキャシーやベルの事を嫌でも思い出す。


「勇くん張り切ってるようだけど、初日は周りを良く見て観察するんだよ!」


「兎さんありがとう。そうするよ!」


そして、何も食べずに行くとお腹空くからとトーストと目玉焼きとコーンスープを用意してくれた。

おしゃべりしながら話してたら、あっと言う間に行く時間が来た。

そうとは言え、徒歩で十分なんだけどね!


「じゃあ!行ってくるね!」


「いってらっしゃーい!」


ラーメン御麺の扉を開ける。

昨日の面接の時を入れて2回目になる。


「こんにちは!轟勇です!」


「勇くん、出勤した時は昼でも夜でも、

----おはようございます!----だぞ」


「はい!おはようございます!!」


「大変よろしい。昨日説明した通りユニフォームに着替えて来てくれるかい?」


「はい!」


僕は黒いズボンに紺色の甚兵衛みたいなユニフォームに着替えて頭に紺色のバンダナ風の帽子を被る。

鏡を見てチェックする。 

あとは腰に黒いエプロンを巻けば完成だ。


「店長!よろしくお願いします!」


「店長と言うのは禁止されてるんだよ、勇くん」


「えっと?なんてお呼びすればよろしいですか?」


「とおるさんと呼んでくれ、勇くん」


「はい!店長!」


「ん?馬鹿なのかな?」


「すみません!とおるさん!」


「よし、手を洗おうか。ここに消毒用の洗剤があるから、手にしっかりつけて肘の下から手の先まで良く洗ってくれ、そしてこの爪ブラシで爪の間を軽くゴシゴシしてくれるかい?」


「わかりました!」


僕は言われた通りに入念に洗う。

手術前の外科医の気分だった。


「洗えたかかい?」


「はい!」


「そうしたら、このボトルの上をプッシュして、アルコール除菌をしてくれ」


「はい!」


「よしよし、でだ。

このニトリルグローブを手につけてくれるかい?」


「はい!」


もうユニフォームが真っ白だったら外科医だよ!


「なんだい?その手つきは?」


僕は気が付いたら手術前の外科医のポーズをしてしまった!!


「すみません!とおるさん!」


「なにを謝ってるのかよくわからないけど、

勇くんは洗い物はしたことあるかい?」


「数えるくらいは」


「そうか、じゃあ説明するよ」


とおるさんは下がって来た食器の下洗いや食器洗浄機の使い方、洗い終わったどんぶりやグラス、お皿を戻す場所を案内してくれた。


「まあ、入店準備と今日から七日目になるまでのことは教えたから、あとはわからないことがあれば俺でもいいし、他のアルバイトの仲間に遠慮なく聞くといいよ。同じことを何度聞いても構わないから、わからないまま仕事を続けるのはやめてもらえるかい?」


「はい!」


夕方五時になるととおるさんがのれんを出して、看板の電気をつける。

すると…。


「はい!いらっしゃーい!!」


あっと言う間にカウンター十二席は満席になる。とおるさんは一人でオーダーを取り調理に入る。

僕はそれを見ているだけだ。

満席なのにお客様が入って来た。と思いきや、バックヤードに男の人が一人駆け込んで行った。

誰だろう?

三分でユニフォームに着替えた男の人が猛烈な勢いで手を洗っている。神の様な勢いで。

ニトリルグローブをつけると。


「おはようございます!!」


と元気な声で言い、ラーメンを運び始めた。


とおるさんはオーダーを取りながら調理をする…。

あれ?

なにも書いてない?

まさか!記憶してるのか?

僕はカルチャーショック的な物を感じてたじろいだ。


----ついていけるかな?


「はじめまして、僕はヒデだよ!君は?」


「轟勇です!よろしくお願いします!」


「勇くんだね!下げ物くるからどんどん洗っていってね」


そこから僕の本当の戦いが始まった!!

どんどん下がってくる食器を下洗いして食洗機に入れて、元ある場所に戻す。

グラスは足りないところに戻す!

洗う!戻す!洗う!戻す!


失われる時間感覚…。


ガラガラ!どんどんやって来るお客様!


また一人バックヤードへ入って行った!!


「おはようございます!!」


女の子だった。

大学生くらいだろうか?


「はじめまして、真帆です!」

「はじめまして、轟勇です」


暴風のように食洗機が回る。 

時々、フィルターの目詰まりを起こさないようにゴミを取らないといけないのだけど、すっごく熱い!!


正直…何がどうなってお店が機能してるのかを理解出来ない。


「はい!皆んな!今日の賄いができたぞー!」


カウンターに座るヒデさんと真帆さん。


「勇くんも早く座りなさい。疲れただろう?」


「はい!とおるさん!!脳が疲れました!!」


全員が爆笑していた。


今夜の賄いはなんと特製塩チャーシュー麺だった!!


とおるさんとヒデさんと真帆さんは全員違うラーメンを食べているように見える。


「勇くんや」


「はい!とおるさん!」


「この店のメニューを完全に覚えるまでは、君は店のメニューしか食べられない。正確に言うと絶対にたべさせない」


「全種類食べさせてもらえるのですか!!社長!!」


「だーかーらー!とおるさんだよ!」


「すみません!!」


「ちなみに全種類のメニューをきちんと覚えたら」


「覚えたら?」


「研究中の新メニューの試食が出来るぞ」


「!!!!!!」


僕は感動のあまりに白目になりそうだった!

未知の味!

研究中の新メニュー!


頑張って仕事覚えて、全種類のメニューを覚えてやるんだー!!


バタリ。


「とおるさん、勇くんカウンターに突っ伏してますけど?」


ヒデさんの声が聞こえる。


「初日は疲れて当たり前でしょ?」


この声は真帆さんだ。


「勇くん!仕事を与えよう!

着替えて迷わずお家に帰りなさい!」


全員が爆笑している…。

僕は強制送還されるのであった。






兎の優しさが身に染みる。

勇の戦場は洗浄だった!!

これは美味い!!

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