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転移勇者と愛しき人と  作者: 炊飯器と電気ポット
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勇者の血

召喚された四人の勇者とは?

迫りくる世界の危機とは?

----王都から届いた追加報告は、静かで、しかし致命的だった。


「四カ国に召喚された勇者は、全員女性。

 そして――全員が、妊娠していることが判明しました」


純佳さんは報告書を閉じ、しばらく言葉を失った。


「……やっぱり、リンたちだったのね」

「知ってたの?」

「“予感”よ。勇者が同時に四人。しかも全員女性なんて、偶然じゃない」


僕の胸がざわついた。


リン。

アンナ。

キャシー。

ベル。


四年前から行方が分からなくなっていた、僕の元メイドたち。

あの日、魔法陣に飛び込んで来た四人。


----各国からの情報を突き合わせると、共通点は明白だった。


・召喚直後から体調不良

・魔力の異常増幅

・胎内に宿る“勇者因子”と“異質な魔力反応”


そして、全員が同じ夢を見ていた。


――黒い山

――空を覆う巨大な影

――青く燃える瞳


「ブルードラゴン……」


純佳さんが呟いた。


「魔王国最高峰、ジャイアントキリング山に眠る古代魔竜。数千年、完全に沈黙していた存在」

「それが、目覚める?」

「ええ。正確には――“目覚めさせられる”」


----勇者の妊娠は、祝福ではなかった。


それは封印の代替装置だった。


古代史料によれば、ブルードラゴンは“世界の均衡が崩れた時”、勇者の血と、次代の可能性――すなわち“命”に反応して目覚める。


「勇者を殺せば暴走する。勇者を守れば、時限装置のように覚醒が進む」

「……詰んでるじゃないか」

「だから、四人同時なのよ」


純佳さんは地図に指を置いた。


「一人なら止められた。二人でも可能性はあった。

 でも四人――それぞれ別の国で妊娠した勇者を、

 誰一人欠けさせず一年守り切る」

「無理難題だ」

「ええ。でも、成功すれば――」


純佳さんの視線が、僕を貫いた。


「ブルードラゴンは“完全な状態”で目覚める。

 それは、破壊じゃなく、選択をする目覚め」


----一年は、静かでなんていられるのか?


リンは北方の雪原国家で、迫害されながらも耐えた。

アンナは宗教国家で、“聖母勇者”として祭り上げられた。

キャシーは軍事国家で、胎児ごと兵器扱いされた。

ベルは商業国家で、命に値段をつけられそうになった。


僕たちは動いた。


剣ではなく、書簡と交渉と、脅しと取引で。


「この子たちは、世界の所有物じゃない」


純佳さんは、王たちの前でそう言い切った。


「未来を産む“母”です」


----そして、運命の夜。


一年目の最後の月。


ジャイアントキリング山の空が、初めて青く染まった。

山全体が、呼吸を始めたのだ。


地鳴り。

暴風。

魔力の奔流。


各国にいた四人の勇者が、同時に腹を押さえ、叫んだ。リンとキャシーとアンナとベルが苦しんでいる。


「――来る!」


次の瞬間、世界中の空に、巨大な影が映った。


----山頂。



数千年の氷と岩を砕き、

蒼き鱗を持つ巨体が、ゆっくりと身を起こす。

魔竜ブルードラゴン。

その瞳は、怒りでも憎しみでもなく――

深い問いを宿していた。


「――勇者よ」


雷鳴のような声が、世界に響く。


「なぜ、また“命”を賭してまで、我を呼び覚ました」


四人の勇者の腹が、淡く光る。

そして、遠く離れた場所で、

僕の胸の奥も、同じように熱を持っていた。


----世界は今、試されている。


剣か。

支配か。

それとも――次の世代に託す、選択か。

ブルードラゴンは、瞑目していた。

その答えを聞くために、

静かに、空を睨んでいる。


僕は"闇夜"と"闇龍"を見詰めた。

話せばわかりあえるんじゃないか?


----この世界にも汝を超える者はいない----

----そうよ、あなたならわかりあえるわ----


「すみません!最初の声には聞き覚えがあるんですけど、もう一人はどなたですか?」


----あなたをこの世界に導いたのはわたし----

----黙るのだ、女神テレシアよ----

----先に言うのやめてくださるかしら----


「純佳さん、聞いて欲しいんだけど…。」

「どうしたの?頭の上光ってるよ」

「話が早い、この輪っかが…たぶん…。神様の加護みたいなもので、一人は名前を言わないし聞いたこともない。けど一人は女神テレシアって言うんだよ」

「え!テレシアさまと話せるの?」

「話せるよ、ブルードラゴンとわかりあえるから会いに行けって言われてる気がする…。」

「えー!勇くんをブルードラゴンのところに行かせないといけないの!?」


「すみません!聞こえてますか?僕はブルードラゴンに会いに行った方がいいですか?」


----向かえ勇者よ、急ぎなさい----

----言い方が固いのよ、数千年の眠りから目覚めて退屈してるから行ってあげてちょうだい----


「----純佳さん、要するにブルードラゴンは退屈してるから話し相手になれって言われてる」

「----はあ…。私も行くわ」


純佳さんは肩を落としてガックリしていた。

ついに勇が立ち上がる!

勇のコントローラー純佳も立ち上がるのか?

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