勇者の装備
勇者の鎧と言えば「英雄の鎧」「きらびやか」そういう感じですよね!
仕上がりが楽しみです!
「おやっさん!連れて来たぞ!」
「おう!待っておったぞ!」
僕はジル教官に連れられてギルビル工房へ来た。
テーブルの上には様々な防具のような物が置かれている。全部黒い。
「おい!お前ら!勇者殿に装備をつけてくれ!」
「親方かしこまりました!」
二人の職人がテキパキと僕に装備を着させてくれる。黒い何かの革製のパンツ、程よい硬さとしなやかさのあるロングブーツ、長袖の上着を着せられて、綺麗な銀色の輝きを持った薄手の鎖帷子。
そしてその上から黒い何かの革製で出来た軽装の鎧。
黒いマント。
「よし!だいたい出来たな!あとはこの兜を被ってくれ!」
スッポリと頭に被せられた兜…。
というよりはヘルメットに近いのかな?
視界の上のほうに帽子のツバみたいなのがあって、何故か牙が十本くらい生えている。
職人さんたちが手にグローブをはめてくれて、腕にも何かの黒い革鎧がはめられた。
「勇者殿ちょっと動いて見てくれ、どんなささいな事でも気になることとか違和感があれば教えてくれ」
「わかりました、動いてみますね」
僕はジャンプしたりステップを踏んだり、シャドーボクシングのようなものをして、フィッティングを確認する。
しかし…不思議なものだ。こんなに着込んでいるのに重さをまったく感じない。
「どうじゃ?」
「すごく動きやすいです!」
「なあ、おやっさん?こいつは屋敷が建つくらいのものじゃねえのか?」
「大丈夫じゃわい、国王から予算度外視で仕上げろとの命があったんじゃわい」
ジル教官は呆れた顔をしていた。
僕は気になったのでギルビルさんに聞いてみた。
「おいくらなんですか?」
「王からは言うなと言われておる」
「そうですか、逆にきになります」
「おやっさん、結局のところこいつは何で出来てるんだ?ブラックドラゴンの皮はわかるんだが、牙は何の牙だ?」
「ブラックドラゴンじゃよ」
「おやっさん!あんな硬いもの良く切ったな!」
「気合じゃよ気合」
「ギルビルさん、硬いところは硬いですけど全体的にしなやかに感じるのはなんでですか?」
「まあそうじゃのブラックドラゴンの皮の要所に薄くしたアダマンタイトのプレートを仕込んである、そこが硬いところゃじゃな!鎖帷子はミスリルじゃわい」
「おやっさん!そいつはヤバいな!」
「銘はブラックドラゴンアーマーじゃ!」
「ギルビルさん!僕勇者ですよね!もっときらびやかな方が勇者っぽくないですか?」
「勇者殿は魔王軍にとっては破壊神のようなものじゃろうて、戦場でその姿をみたものは死ぬか逃げるかじゃ、相手の恐怖心を煽るほうがよかろうて」
「なんか僕勇者らしくないですね」
「兄ちゃん!言い忘れてた!明後日初陣な」
「え!明後日!?…。だから突然休暇とか夜伽とかの展開だったんですね?」
「兄ちゃんあの四人の誰を選んだんだ?」
「え…。あ、いや。全員だったみたいです」
「全員だと??」
「記憶ないんですけど」
「お前盛られたな」
「盛られたって何をですか?」
「媚薬だよ」
「あー、なんかそんなこと言ってましたね。紅茶二杯飲んだだけなんですけどね!」
「兄ちゃん!それは規定量の倍飲んでるわ」
「はい!?」
「おい、二人とも!何の話かわからんが今日と明日は着ていられるだけずっと着てろ、寝る時もじゃぞ!前線に行ったら脱ぐ暇など無いからの!」
「ギルビルさん!わかりました!」
こうしてジル教官と二人で工房を出て、ぶらぶらと王宮へ向かう。
やはり闇龍を背負っている時よりも目線が痛い。
王宮の入り口には四人のメイドたちが僕の帰りを待っていた。
「ただいま!戻ったよ!」
「勇者様!なんという凛々しいお姿でしょう!」
四人はキャッキャと喜んでいた。
まるで暗黒剣士のようになった勇。
彼の運命はきっと波乱万丈であることだろう。




