夜伽話
僕はリンたちが用意してくれた夕食を食べていた。
肉や野菜の多いメニューでパンは硬いのでスープに浸して食べている。
日本で暮らしてた時には考えられない食事量だ。
時折、リンがナプキンで僕の口元を拭いてくれたりするけど、この四人は本当に過保護極まりない。
だけど今日は少しソワソワしているようにもみえる。
「ねえ、リン?何かあったのかい?」
「…い、勇さま…べ、別に何もないですよ!」
なにかあるな。
「ところでジル教官が呼びに来ないけど何かあったのかな?」
「今日は大切な軍事会議があったようで、先ほど国王の使いの者が今夜と明日と明後日は勇さまの訓練などすべて休みにするとの伝言を受けております」
「え!?休みなの!?」
「このひと月の間、勇さまは休まれてなかったので少しの間休養が与えられたのでしょうね」
だからジル教官が迎えに来ないのか…。
「お食事も終わったようですし、湯浴みをしてマッサージをして休みましょう」
「いつもなんか悪いね」
「いえいえ、これが私たちの仕事ですから」
湯浴みは四人で僕の身体の隅々まで丁寧に洗ってくれる。あまり慣れないけれど、とても気持ちいい。
ぷにゅっと背中に何かがあたる。
不快感はない。
いつもと違う肌の密着感が僕の中の何かを刺激する。
ふと周りを見回すとリンもアンナもキャシーもベルも服を脱いであられもない姿だった!
「ちょっと!なんで服着てないの?」
リンが潤んだ瞳で僕を見つめてくる。
「王命により今夜から勇さまの夜伽をさせて頂くことになりました」
「夜伽って、何?」
「私たちの口からは言えません!」
身体も洗い終わり湯船に入りながら四人を見る。
全員タイプの違う女の子たちだと初めて認識した。メイド服を着ていると身体のラインが良くわからないからだ。
身体も温まったし湯船から上がるとリンがタオルで身体を拭いてくれる。
「勇さま、後ほど王族しか飲めないような最高級の紅茶をご用意しますね」
「それは楽しみだね」
僕はベットサイドのテーブルに座り、リンが淹れてくれた紅茶の香りを楽しんでいた。
「紅茶のことはよくわからないけど、これは素晴らしい紅茶だね」
僕はひと口紅茶を飲んだ。
美味い。
グッと紅茶を飲み干してリンにおかわりを淹れてもらう。いや、これは最高級の紅茶なのは間違いない。
「勇さま、いかがでしょうか」
「美味しいし、身体が温まって来たよ。今夜はぐっすり眠れそうだ」
「今夜は王国最高級のアロマオイルでオイルマッサージをさせて頂きますのでベッドの上でうつ伏せになってお待ちください」
「それは新しいね!」
「良く眠れると思いますよ」
僕はベッドにうつ伏せになりバスローブを脱がされた。
背中に良い香りのオイルが垂らされて四人の手が全身を優しく撫でてくれる。
不思議なことに温まっていた身体が熱い、心臓もドキドキしてきている。
「勇さま、今度はあお向けになってください」
「わかったよ」
僕は少し眠気を覚えた頭で素直にあお向けになった。
するとそこには、あられもない四人のメイドの姿があった。
僕の吐息が荒くなるのを感じて、僕の記憶は閉じた。
「あれ?もう朝なの?」
「勇さま、もう昼前ですよ」
しっかりとメイド服を着たリンがそこにいた。
僕はびっくりしてベッドから起き上がると、シーツの上に四つの血の跡がシーツの白さでより紅く見えた。
…まさか!?
「リン!アンナ!キャシー!ベル!僕夕べ変なことしなかったかい?」
「変なことだなんて…。とても情熱的な夜でしたよ」
ガーン!これはやっちまったな!
「オイルマッサージの途中で寝てしまったはずだよね?」
「あれは国王から下賜された王族御用達の最高級の…アロマオイルの効果なのでしょうね」
リンが頬を赤らめながから言った。
あの王はなんてことをさせるんだ!
「勇さま、昼食をお召し上がりになったらジル様が武具の試着をしてもらいたいと申しておりました」
「なんか話をすりかえてない?」
「すりかえてなどございませんわ」
なんてこどだ、記憶にないのに童貞を卒業してるだなんて!
リンにもアンナにもキャシーにもベルにもすごくお世話になっているし、夜の処刑が僕には過酷過ぎて、心に余裕がなくて…、一度も女性として見る余裕もなかったのに!
僕は深い罪悪感にとらわれていた。
僕はベッドから出て立ち上がり全員に謝ろうとした。
「あれ?身体が軽い!」
四人がクスクスと小さく笑い出す。
「勇さま夕べあれだけ出されたのですから、溜まっていたものが全部出たのではありませんか?」
リンが明るい笑顔で僕に笑う。
あ、これは謝ってはダメなやつだな。
こうして夜伽話はうやむやになり、僕は用意された大量の昼食兼朝食を食べるのであった。
この子たちを大切にしよう!
僕は無条件にそう思えた。




