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綻び


「お姉様がいない?」

「はい、朝食の支度に来ない彼女を部屋に呼びに行くと姿がなくて」


「行くところもないくせに」


「おい、フローリアがいないと報告があったが、どう言う事だ?」

「それが朝行くと姿がなくて」

「直ぐに探せ、このまま居なくなったら公爵家からの援助がなくなる、捜索願は出す事が出来ない。出したら公爵家にも伝わる事になる。それに……知られる訳には行かない事もある。なんとしても探せ。メアリーは何も知らないで通すのだぞ」


「わかったわ」




「アンディ様、おはようございます」

「メアリーローズ、おはよう。今日は君の方が顔色が悪いが大丈夫か」

「はい……朝からお姉様が癇癪を起こして大変だったのです」

「そうか」

(フローリアは家を出たのかな……)




「それでは、また明日。宿題を忘れないように」

 授業は終わり、皆帰り支度をしている。


「メアリーローズ様の作品楽しみにしてますね」

「えぇ、ありがとう」

(マズいわ、何故この、タイミングで刺繍の宿題が出るのよ。よりによって今回の私の課題はコンクール用の難しい構図……いつもはフローリアにやらせていたのに……でも今頃は使用人達に見つかって家にいるばす。最悪使用人達にやらせれば何とかなるか)


「メアリーローズ、帰りに家に寄るかい?」

「アンディ様……気持ちは嬉しいですが刺繍の宿題があって……今日は行けませんわ」

「それなら、母と一緒にやればいい。母も君の刺繍している所を見たいと言っていたし」

「あの……でも」

「母とは刺繍したくないのかな?前は一緒にやりたいと言っていたのに」

「いや……帰り2人でカフェでお茶でもどうかしら。せっかく婚約者になれたのですから2人きりがいいですわ」

「そう……。それならカフェに行こうか」





「はぁ、はぁ(すっかり遅くなったじゃない)ちょっとフローリアは見つかった?」

「メアリーローズ様……それが」


「見つからない……。何処に行ったのよ。それより……あんた達……この刺繍を完成させなさい」

「ひっ……無理ですよ。こんな難しい構図は」

「明日の朝までよ」

「お嬢様……彼女じゃないと」

「フローリアはいないのよ。あんた達がやるしかないの」






「メアリーローズさん……この刺繍は?」

「はい……ちょっと体調が悪くて」

「放課後、私の所に」

「はい……」




「メ……ズ」


「メア…………ローズ」


「煩い、何よ」

 振り向いた先には驚いた顔をするアンディがいた。


「話しかけては、いけなかったのだね。すまない」

「違うのです。アンディ様……違うの」

「朝から変だったよ。何があったの?僕は婚約者なんだから教えて」



「わかりました。放課後……裏庭で」




「さて、どうしたの?」

「実は……お姉様がいなくなって……私は不安で……落ちつかないのよ」

「そう……あのね。フローリアはね。あの窓から僕達が一緒にいるのを何度も見て悲しかったと言ってたよ」

「お姉様と話したの?」

「あぁ、昨日ね。その時に……メアリーローズが羨ましかった。両親に愛されている。それに比べ自分は不要な存在だと」

「メアリーローズ、本当にフローリアに虐められていたの?」

「…………っ。ごめんなさい。全部違うの、お姉様は私達から疎まれていたの、パパとママを引き裂いた悪い女の子だと」

「フローリアは何か君達にした?」


 首を振るメアリーローズ。

「フローリアは、私にも相談出来なかったと……学園でもメアリーローズといたからと……それに助けを求めて父親に捨てられたら困ると……私もフローリアを蔑ろにした。もっと彼女の話を……彼女と過ごしていたらと後悔した……私の家族もね。祖母から聞いたんだがフローリアの母にも恋人がいて援助目的の結婚だったと、それも君達の父親の家からの……恋人と別れたのは君の両親だけではなかったんだよ」


「え……そうなの」

「いつからフローリアの母の振りを?」


「五歳の時に豪華な家の子になれると母が、それから母は名前を変えて……」

「君達の生活はね。フローリアの祖父母のおかげで今の生活が出来ているんだよ。祖父母は娘が亡くなったのも孫にも会えないと王族に相談してね」


「私達はどうなるの」

「それは……私にもわからない」


「アンディ様……私は貴方の事が……」

「いいのだよ。私もフローリアを蔑ろにして浮気を……したのだから。殿下の側近候補からも外れたよ」

「私は……アンディ様の事を好きなのには偽りはないの」

「私もメアリーローズが好きだよ。だから卒業したら結婚しよう」

「うっ、うっ……私……いいのかな?お姉様から幸せを奪ったのに」

「私も同じだよ。フローリアという婚約者がいながら君に恋をしたのだから世間からの目は厳しいと思うけど2人で乗り越えていこう」


 その後、メアリーローズの卒業と同時にメアリーローズとフローリアの実家は王家に没収され、両親は身分詐称の罪に問われ拘束されたのだった。メアリーローズも世間から厳しい目を向けられたがアンディと結婚する事となった。


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