婚約解消
フローリアとの婚約の解消には両親も喜び、何度も遊びに来ていたメアリーローズの事は母が気に入っていたのでフローリアの事に関してお咎めはなかった。
学園に登校すると私とメアリーローズの婚約で学園中が盛り上がっていた。
「やあ、妹に婚約者を乗り換えた不誠実な色男さん」
廊下で声を掛けられ、放課後に話があると生徒会室に呼ばれたアンディは、授業が終わり生徒会室に向かう。
「やあ、凄い祝福ムードだね。浮気者同士なのに」
「殿下」
アンディに声を掛け、生徒会室で待つ男は生徒会長であり、この国の第1王子のフレデリックであった。側近候補であったアンディ、しかし殿下からは祝いの言葉はなかった。
「殿下……それに関しては……フローリアが」
「彼女が悪いの?何処がダメだった?」
「まず学園に来ない、茶会もキャンセルで……成績も優秀ではない」
「ん〜まだまだだね」
ペンをクルクルと回しながらも書類に目を通していく殿下であった。
「何処がですか?」
アンディは殿下に問う。
「君は婚約者がいながら浮気をした。学園中が君達を祝福するのは皆が君らの関係を知っているから……婚約者の立場は?学園に来ない?茶会のキャンセルは本人に確認した?まさか、家族……妹の言葉を信じて会う事すらなかった訳ではないだろうな?」
「いや……その……メアリーローズが」
「婚約者の妹の言う事を信じて、本来の婚約者の様子を確認しない時点で君はフローリアを裏切っていたんだね。悲しいね。君は優秀な側近になれると思っていたのにな。僕でも婚約者の体調が悪い時はお見舞いにも行くし、時には喧嘩もする会話は大切だよ。君とフローリアは会話も会う事すらない、君はフローリア蔑ろにしていたんだね」
「何故、殿下はフローリアの肩を持つのですか?」
「肩を持つのではなくて……側近候補の婚約者の事を調べるに決まってるでしょ。私の婚約者もフローリアの事を調べていてね。僕達は君よりフローリアと会話もしてるし会っていたよ」
「…………え?」
「だって登校する日もあっただろ。その日すら会ってなかったのかな」
何も言えないアンディであった。
「ところで君の両親は?」
「私の両親もメアリーローズとの婚約に喜んでいまして、特に母はメアリーローズからの刺繍のハンカチを気に入ってまして」
「おや、婚約者の妹のはずが何故君の家族と交流が?」
「フローリアが私と会うのを拒んでいると」
「ククッ、君の両親もね。ねえ、例えば君の父の弟が、父の不在に何度も君の母と2人で会っていても問題はないのだね」
「え……それは……」
「逆もだよ。母の妹が父と何度も2人でお茶をして、君達と母抜きで会う。そして、君の祖父母にプレゼントしても不安に思わないの?」
「ちょっと、やり過ぎと言うか……母に申し訳ないと」
「フローリアは?何故会えなかったのだろうか……何故確認しない?そもそもフローリアとの婚約は誰との約束だった?」
「確か……祖父母同士が仲良くて」
「フローリア祖父母は公爵だね。確か祖父はシルバーにブルーの瞳、祖母は薄いライラック色の髪に菫色の色白のご婦人だったね。フローリアの母も婦人にそっくりの美しい女性だったと記憶していたけど……メアリーローズの母は茶色の髪にグリーンの瞳、メアリーローズ嬢もだね。フローリアは?おかしいね。今いる母親は誰?」
「……まさか」
「何も疑問に思わなかったんだね。先日、たまたまフローリアの祖父母と会う機会が会ってね。娘にも孫にも会わせてもらえないと言ってたが。フローリアと家族は仲が良いのか?夜会にはフローリアは欠席で君は妹の方のパートナーをしていたがあのドレスは誰の為だったのかな?」
「殿下……私は大きな間違いをしてました。自分でも調べてみます。ですので……」
言葉を遮る殿下。
「もう、いいよ。遅いよ。君は側近候補から外すから気にせず今の婚約者と仲良くしていればいい」
「殿下?」
「話はそれだけ、じゃあ、ご苦労様」
パタン。
(俺は……フローリアに。何故会いにいかなったのか……もっと話を……私の考えている事が本当ならば、俺は……俺の家族は彼女に)
「アンディ、一緒に帰りましょう」
「メアリーローズ」
「どうしたの?殿下にお祝いでも言われたにしては浮かない顔ね」
「君の両親の……馴れ初めは?」
「パパとママは学生時代からの恋人よ。一度パパはお見合いの話があったけどママが『真実の愛』の相手だからママを選んだと言ってたわ」
「……祖父母にあった事は?」
「私の祖父母は亡くなっているわ」
「君のお姉さんは……」
「お姉様の話はしたくないわ、毎日虐められて……思い出したくないわ」
「……そう」
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