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02話 御者と家宝のペンダント
揺れる馬車で、シャルロットはペンダントを見る。
「イエーガー家を代々守る魔法具ですか……」
少女のシャルロットは一人ごちり、ため息をつく。
「魔法具いいっスね。さすがお貴族様って感じっス」
帆炉の前から声がする。
御者がシャルロットに声をかけてきた。
「そんなに珍しいんですの、これ?」
「珍しいもなにも、市場に出ることすら稀っスよ」
改めてシャルロットはペンダントをまじまじと見る。
「そういうのはなるべく隠しとくといいっスよ」
「先ほどからなんですの?なれなれしい」
「雇われの市勢の身っスから」
父の弟の手配で運ぶことになったと、御者は言う。
「中々に個性的なお方っスね、シャルロット様は」