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七章 匂いの調べ⑤

――蟹座会が行われる日になった。

 それぞれが身支度を終えると、馭者のアンバーに連れられて蟹座会が行われるハインツ邸へと向かった。

 近づくにつれ馬車が増え、同時にチラチラと赤い彩りが増え始める。

 皆が舞踏会をどれだけ楽しみにしているのかと思う反面、その裏側で行われるであろう闇オークションという暗躍にイヴの心は密かにざわついていた。

「イヴリース様、緊張しておられますか?」

「ええ、少し。あれからダンスはだいぶ踊れるようにはなったけど、それでも不安だわ」

「無理に踊らなくとも良いのではと私は思いますが……」

「でもグランツの仕事の邪魔はしたくないから、せめて言われた通り花になっているほうがいいのかしらと思って」

 悩ましいわ、と呟きながらシンシャの手の甲に掌を重ねる。

「着いて来てくれて、ありがとう。シンシャ」

「イヴリース様のためならどこまでもお供致します」

 そうして話をしているうちに馭者が止まりハインツ邸へと辿り着いた。グランツは一足先にハインツ子爵と会うとのことで先に屋敷に着いている。

 イヴは、イヴ宛に記された招待状を改めて取り出しながら、ハインツ邸を見上げた。

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