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六章 月の宴⑩

「少し休んだほうがいいよ、イヴ」

「は、はい。休みます……」

「いったいどれくらい練習していたんだい?」

「お昼が終わってからなので……、そこそこはしてたかと?」

 ちょこんとグランツの膝の上に座りながらも、イヴはふぅと息を吐く。どれくらい練習していただろう。書庫は時計が置かれてないせいか、時間の経過がよく分からなかった。

「ん……? 魔法入門書?」

「あ……っ、そ、それは……」

 イヴは慌てて隠そうとしたがひょいとそれを拾い上げられると恥ずかしさから赤面し両手で顔を隠した。

「魔法の練習もしようとしたのか?」

「は、はい。でもやっぱり私には魔法の才能はないようです」

「……それはこの部屋では魔法のほとんどが使えないからな。重要な魔法書もある。この部屋で試そうとしたのならそれは意味がないよ」

「え……」

 グランツの言葉に驚きを隠せないまま、イヴは魔法入門書を見つめる。

「何かあってからじゃ遅いからね。そこはしっかり管理している」

「そ、そうなんですね……」

 ホッと安堵しながらも、内心またチャレンジできるだろうかと頭を悩ませる。魔法に生まれつき慣れている人間なら兎も角としてイヴのように才覚のない人間が行ったら万が一何が起こるか分からないかも知れない。

 そう思うと安易に書庫で魔法を使おうとした自分を反省した。

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