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勇者と神剣、来国長  作者: 明広
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ツヨシ、タケーダ

 第6話 オルレーンの食糧事情


 今日もいい天気だ。


 目を覚ますと顔を洗い食事の部屋へ行った。


 いつも通り王様とユリア姫、後知らない女性が椅子に座っていた。


 誰だろうと思っていると女性が「使徒様、おはようございます」と挨拶した。


「えっ」と思わず声がでた。


 だって、知った声だったからだ。


 しかし、若い。

 若すぎる。

 シルビア様?


 どうみても20歳ぐらいにしか見えない。


 ユリア姫のお姉さんでしょうかと問いかけたい。


 俺は「おはようございます」と返事を返しただけだった。



 聖魔法、聖光ホーリーライト。


 生命力と体力、MPを回復させる魔法。


 この生命力とは年齢そのものではないのか?


 このまま今日もかければ10歳ぐらいに背も縮むのではないだろうか?


 ものすごく興味はあるが、かなり危険だ。


 そしてうまく使えば永遠を生きられるのではないだろうか?


 だとすれば1000年前の勇者や300年前の聖女も現在も生きている可能性はないだろうか?


 しかし長く生きたという御伽噺はない。


 俺のように使命を達成して使えなくなったのだろうか?


 しかし、今現在俺が使えることが問題だ。


 知られれば、いったいどうなるのだろう。


 あまり考えたくないなーとおもう。




 しかし、戦略的ではどうだろう。


 ホーリーライトをかけた元将軍は4人。


 マリアとオルゲン、シルバー公爵、


 ハインツ、バノン伯爵、


 ポール、レイモンド伯爵の4人。


 マリアは今15歳ぐらいに見えるし、オルゲン、シルバー公爵は現在45歳のはずだが35歳ぐらいに見える。


 ハインツ、バノン伯爵は現在35歳だが25歳ぐらいに見え、


 ポール、レイモンド伯爵は40歳だが30歳ぐらいに見える。


 マリアは5歳ぐらい若返ったが能力はそのまま、逆に上がったように思える。


 死にかけるまえは、ワイバーンを倒すのに羽を狙い、落として兵士による接近戦で倒したらしい。


 しかし、俺が見たのは、1矢で脳を破壊して倒していた。


 元将軍はいずれも一騎当千。


 これからの戦いを考えると最高の魔法に思える。


 元将軍は後一人。


 ロレン、コバルト辺境伯は50歳。


 ロレンにもこの魔法をかければ、かなりの戦力増強になるはず。


 戦いが長引けば長引くほど有効になるはずだ。




 まあ、いろいろ考えながら朝食を食べた。


 今日の朝食もパンとスープ、ベーコンのような肉だった。


 それで前から思っていた疑問を王様に尋ねてみた。


「王都オルレーンの食糧事情はどうなっているのでしょうか?」


 王様の説明では5年前に今後の食糧をどのようにして確保するかの会議がなされたとのこと。


 それはパラソ城塞都市攻防戦の最中で、このままでは食糧の確保が難しくなるとの見通しからだった。


 なかなかいい案が出ない中、カッソ城主、ツナ、タケーダ辺境伯が意見を述べた。


 それはカッソを農業、漁業の一大生産地にするというものだった。


 そのために、人を移住させ、城壁を拡張しカッソとオルレーンを地下道で結ぶという構想だった。


 時の出席者は構想の大きさに驚いたが全員一致で賛成し、この5年間で実現させた。




 工事はまずカッソ側の地下道工事からはじまった。


 地下道は馬車が2台すれ違える広さで高さが4mで開始された。


 地下10mの深さを土魔法Lv1ボーリングの魔法で掘削し荷馬車でその土を運び出す。


 カッソは半島になっていて、その付け根に土を盛り、Lv2ビルドで高さ10m厚さ3mの壁を作っていった。


 オルレーンまで50km、その土で半島の東西に壁を作っていった。


 最初、荷馬車は2台で稼動したが最終には500台の荷馬車を稼動させていた。


 当初土魔法使いは王国中から20人が参加。


 最終的には50人まで増加された。




 その中にあって、ツナ辺境伯の次男、ヨツシ、タケーダは10歳。


 土魔法Lv3ストーン、アローまで使えた天才で最初から地下道工事に参加。


 5年間、地下で過ごした。


 現在15歳、土魔法Lv6ジェネレイト、ミネラル、鉱物生成まで出来るようになった。


 鉱物生成は土に含まれる鉱物を集めて固まりにする魔法。


 魔力50でMP100消費でインゴット1個生成できる。



 ツヨシ、タケーダ15歳


 称号 土の魔法使い


 レベル30

 HP 300

 MP 250

 力 100

 体力 200

 敏捷 80

 器用 150

 魔力 80


 土魔法Lv6鉱物生成 炎魔法Lv1ファイア 水魔法Lv1ウォーター 風魔法Lv1ウインド 剣術Lv4 槍術Lv5 弓術Lv5



 穴掘っていただけなのに凄いの一言。


 MPと魔力が高い。


 四属性魔法も使えている。


 10歳で天才といわれただけ有るステータスだ。


 ここまでくると川に行き、砂金の取れそうな場所で魔法鉱物生成を使えば金のインゴットが一個作れる。


 それだけでユグドラシルでは10年は暮らしていける。


 地下道完成とともに半島を横断する城壁も完成。


 それにともない人の移住も進み畑が広がっていった。


 海では港拡張工事が行われ多くの船が作られて漁業をおこなうにいたった。


 この5年で食糧生産は10倍に増産。


 王都オルレーンとカッソ合わせて15万人の食糧を賄うまでになった。




 俺は王様に地下道の見学をお願いしてみた。


 ユリア姫の案内でこの後行くことになった。


 後鍛冶師ギルドで自分用の剣をつくりたいと申しでてみた。


 これもユリア姫の案内で行くことになった。


 後城壁の視察と肺結核の治療所を回ることを伝えた。




 まずユリア姫が向かった先はレオン司令官の部屋だった。


 レオン司令官のフルネームはレオン、スター伯爵。


 王宮近衛隊司令官35歳だ。


 レオンは地下道見学の話を既に知っていた。


 王様からの伝達が早い。


 なにかカラクリがありそうだ。




 レオン司令官の案内で俺はユリア姫、侍女のサミアの四人で城をでた。


 城門のところにマリアがいた。


 当然マリアは俺の護衛と称してついてきた。


 地下道は王都の西の端にあった。


 そこはグランドぐらいの広場になっていて周りには倉庫が立ち並んでいた。


 地下道からは荷馬車が次々と現れては倉庫に入り、倉庫から出た荷馬車は地下道へ消えていった。




 地下道のそばまできた。


 地下道は現代の高速道路のトンネル並みに綺麗だった。


 天井には灯りの魔道具が灯り壁は綺麗に磨かれていた。


 この技術の高さに驚かされてしまった。




 見学を終え、鍛冶師ギルドへ行くために倉庫の横を通った時、声が聞こえた。


「ユリアーッ」


 ユリア姫が振り返るとそこには筋肉隆々の少年がいた。


「ツヨシ?久しぶりね」


 ツヨシはにこっと笑った。


 しかしマリアを見つけるとその前に膝をつき「師匠」といって土下座をした。


 頬には涙を流していた。


 話を聞くと、先日マリアが瀕死の重傷で倒れたと聞き、お見舞いにカッソからやってきたとの事だった。


 ユリア姫からの話ではツヨシは従兄弟にあたるらしい。


 ツヨシの母はシリウス王様の妹でアイリーン、ビクトリア。


 15歳でツヨシの父、ツナ、タケーダと結婚。


 2男2女をもうけた。


 現在30歳。


 ユリアとツヨシは5歳まではよく一緒に遊んでいたらしい。


 そこにマリアが侍女になってきた時、マリアの風魔法を見て、ツヨシは5歳で10歳のマリアに弟子入りを、お願いしたらしい。


 このときのマリアの風魔法はLv1ウインドの魔法でボールを操りユリア姫と遊んでいたとの事だ。


 その凄い魔力操作を見て自分も魔法使いになりたいと思ったらしい。


 この時のマリアはツヨシからもれ出る魔力の光が見えたらしい。


 天才は天才を知るのだろう。


 この時からマリアはユリア姫とツヨシに魔法を教えていった。


 まあ、遊びの範囲内ではあったけど。




 ツヨシはマリアの元気そうな様子を見て理由を尋ねた。


 マリアは「使徒さまに治してもらった」といった。


 その後に自分の大事な人で師匠でもあり守るべき人で今、護衛をかねて一緒にいると告げた。


 ツヨシは師匠の部分だけが聞こえたのかマリア様の師匠。


 使徒様は師匠の師匠。


 一瞬考えたツヨシは俺の前に来て、「大師匠様?」といった。


 ユリア姫とマリアはそれを見て笑っている。


 まあ、そうゆう性格らしい。


 俺はツヨシに聖魔法Lv1サーチをかけた。


 突然の光に包まれたツヨシはびっくりしていたが俺もそのステイタスにびっくり。


 なるほど天才だ!!


 ちなみにサーチは人にかけるとステイタスが分かる。


 いわゆる鑑定の魔法だ。


 とくにツヨシの能力の四属性魔法の才能に驚いた。


 そして、すぐツヨシなら銃を使えるようになるのではないか?と思った。




 今でも銃を撃つだけならファイアを使える魔法使いに銃の原理を教えファイアの圧縮の仕方を教えれば使えるはずだ。


 しかしこれでは射程は短く、狙いも難しい。


 接近戦で魔力を集めて呪文をとなえると10秒ぐらいになる。


 これでは戦いには使えない。


 ライフル銃のように射程が500mぐらいで狙いも正確でないと役に立たない。


 今までに会った兵士にこの才能をもったものは居なかった。




 ツヨシは四属性に加えて土魔法がすでにLv6だ。


 ツヨシに銃を持たせ、ファイアとウインドの複合魔法を教えて魔物を倒させればその内、対戦車銃が使えるようになるのではないだろうか?


 俺が思いにふけっていると「使徒様」とユリア姫の呼ぶ声がきこえた。


 俺は我に返り今考えたことをユリア姫とマリアに伝えた。


 ユリア姫はすぐ理解を示し「お願いします」といった。


 マリアはにこっとして頷いていた。




 俺はツヨシに弟子にすることをつげ、これからの修行の内容を告げた。


 そして膳は急げで明日ツナ辺境伯へ挨拶に行くことをツヨシに伝えてもらうことにした。


 これから魔物と闘う許しをツナ辺境伯に貰うためだ。


 ツヨシは馬車にのりカッソへ帰っていった。




 俺達は鍛冶師ギルトへ向かった。


 ギルドでは、ギルド長が対応してくれた。


 俺は日本刀のイメージ図と鞘のイメージ図を描いて説明をした。


 ギルド長はすぐ理解をして出来上がりまで5日で完成させるといった。


 あまりの理解の良さに俺は尋ねてみた。


「ギルド長は日本刀を知っているのですか?」


「ふっ」と笑って説明をしてくれた。




 まず、ギルド長の名前。


 ドレアム、ドーラン、100歳。


 妖精族ドワーフ、ドーラン一族の長との事。




 300年前、東のずっと東の妖精の国で魔族の襲撃を受けたため、その時の当主ドノバン、ドーランは一族56名を率いて西へ逃げてきたとの事。


 この地まで逃げて来たとき、時の勇者、武田 積善省(つよし)と出会い助けられたとの事だ。


 積善省が使っていた剣が日本刀といったこと。


 ドノバンは積善省の刀の研ぎを行っていたらしい、などを話してくれた。


 ドワーフ族は生まれながらに火魔法Lv1ファイア、土魔法Lv1ボーリング、土魔法Lv2ビルドの魔法が使えるとの事だ。



 また、武田 積善省が使っていた日本刀は来国長(らいくになが)といったそうだ。



 この時、俺が思ったのは、フェアール家の事だ。


 300年前、突如現れたシズカ、フェアールと魔法使いの男を先祖にもつと教えてもらった事。


 時の勇者だった積善省は当然の事、魔法は使えたと思う。


 フェアール家の先祖の魔法使いは武田 積善省だったのではないだろうか?


 間違えなさそうに思う。




 鍛冶師ギルドを出て城壁前にやってきた。


 今はもう昼過ぎ、ワイバーンは飛んでいなかった。


 逃げたか倒したか?


 気になるところだ。


 ちなみにビクトリア王国では昼食はない。


 お腹がすいたら干し肉か干し果物をかじるらしい。


 俺は使徒になってお昼にお腹がすいたことはない。


 これも不思議現象だ。


 地球ではお昼になればお腹が空いたのに。


 城壁には元将軍達もいた。


 ワイバーンを2匹倒したそうだ。


 城壁に登って外を見たら兵士が弓矢で魔物を倒している所だった。


 今日もドラゴンの姿はなかった。


 それを確認してお城へ戻った。




 治療室へ行くとシルビア様、オリビア様、ファビア様がいた。


 ユリア姫がずっと俺と一緒だったため今日は3人で診断をしていたとのこと。


 本日の患者は2人。


 俺は治療を終え、夕食をいただきベッドへ入った。





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