シンフォニーの特技、分裂
魔族との戦い2
ナウシア、フェニックスは言った。
「ホ タ ア ユ」
ゴールドは空間魔法Lv1空間把握、
Lv2異空間把握、
聖魔法Lv1サーチ、
生活魔法Lv7トランスレイションを唱えた。
「私はゴールドと申します」
「貴女様はどなたでしょうか?」」
分かっているのだけど聞いてみた。
「我は魔王軍四天王アウエルバッハ タイタン様の配下
魔将軍が1人ナウシア、フェニックスである」
「貴様は何故ここにいる?」
「にしても貴様は美味しそうだな」
「ジュルリ」
「ハイ、領主ウイリアムズ、アイガー様に報告に参ったしだいでございます」
「ほっ、報告とな」
「どのような報告だ」
「ハイ、王弟ケスラー様からウイリアムズ様に伝言でございます」
「その内容はどのようなものだ」
「しかしそちは、人族なのにわらわ達の言葉が話せるのか?」
「それも凄いのだが」
「内容を早く言うのじゃ」
「いえ、ケスラー様から直接ウイリアムズ様にお伝えするように言われております」
「そうか、まあいいわ」
「ウイリアムズに伝えるがよい」
「ありがとうございます」
「ウイリアムズはわらわの僕じゃ」
「直ぐ聞き出してアウエルバッハ タイタン様に報告してケスラーを亡き者にしてくれる」
「ふっふっふっ。あっははははっ。」
ゴールドはウイリアムズにサーチをかけた。
ステイタス。
ウイリアムズ、アイガー45歳
称号 アイガー領領主
レベル30
HP 230
MP 30
力 120
体力 130
敏捷 100
器用 130
魔力 30
剣術Lv4 槍術Lv4 弓術Lv3
状態 魅了
ゴールドはマホトーンポーションをウイリアムズに使う事にした。
マホトーンポーションは魔法に掛かっている状態を正常に戻し
魔法を打消すポーションだ。
ゴールドは小声で話し始めた。
ウイリアムズは聞こえないので耳を近かづけて来た。
その隙に背後からマホトーンポーションをウイリアムズに振り掛けた。
白い光が消えるとゴールドはウイリアムズに言った。
「そのまま動かないでください」
「魔族が貴方の横にいます」
「そのまま、そのまま」
ウイリアムズは一瞬、何が何やら分からなかった。
昨日からの記憶がないのだ。
そして目の前には妻の後ろ姿があり、
子供達はロープで縛られ、
横を見ると確かに魔族の女性がいるのだ。
とにかく、今は言われた通りにしておこうと思った。
ナウシア、フェニックスはウイリアムズに言った。
「今の伝言の内容を言うのじゃ」
ウイリアムズは隣の魔族が何か言っているけどさっぱり言葉が分からなかった。
ナウシア、フェニックスは何かがおかしいと思い始めていた。
ゴールドは言った。
「魔王さまは今どちらにおられますか?」
「決まっておろう」
「妖精国だ」
その瞬間にゴールドは太刀を抜いて切りかかった。
ナウシア、フェニックスは一瞬早く上に飛び上がり、そのまま天井に闇移動で消えた。
ゴールドは後は飛竜隊に任せてここの後処理を始めた。
初めに、「私は王弟ケスラー様の密命を帯びてここに参ったゴールドと言います」
「ケスラー様はここに魔族が侵入する事を見抜かれて私を使わされました」
「しかし、1日遅れてしまい
ウイリアムズ様は魔族の手にかかり、
闇魔法の魅了にて操られてしまったのです」
「魅了の魔法はかけられてからの記憶がいっさいありません」
「この魔法を解くには神さまのポーションを振りかけるしか方法がありません」
「ケスラー様はウイリアムズ様の為にこのポーションをご用意されました」
「ぎりぎりでしたが、ご家族が無事で何よりでございます」
「魔族は逃げて行きましたが外には飛竜隊10機が待機しております」
「きっと魔族を倒してくれるでしょう」
こう言う時の博士は能弁である。
嘘つきとも言ったりするが。
博士は昨日からの状況を妃オリヴェンシアに尋ねた。
オリヴェンシアが語る事によると
昨日ベッドで寝ていた時、
ウイリアムズが起きだし、部屋を出て行ったそうだ。
オリヴェンシアは「貴方、どうされましたか?」
尋ねたが返事もしなくて出て行ったきりだった。
そして今朝になり、
夫の命令だと言って兵士が5名やってきて
子供達を縄で縛り、私を拘束して行ったとの事。
兵士達は「ウイリアムズ様が妻達は魔族に操られている」
「危険なので城で拘束しておく」
領主様の命令だと言ったそうである。
そしてこの部屋に来ると魔族の女とウイリアムズがいて
私を拘束して近衛隊長のソアレスを呼び出して
剣を捨てろと言ったとの事。
しかしソアレスは何かがおかしいと思い、
ウイリアムズに対して剣を向けた時にゴールドがやってきたらしい。
危機一髪で間に合ったと言うべきなのであろうとゴールドは思った。
しかし、魔王は妖精国にいるのか。
神ムーン、シルバー様が妖精国の事は何も言われないので
まだ無事なのであろうとゴールドは考えた。
「これで失礼します」
去ろうとしたらウイリアムズが「王弟ケスラー様にありがとうございました」
「それから娘カシミールにもありがとうと伝えてください」と言って来た。
「このウイリアムズ、ケスラー様の為なら命を惜しまず尽くします」
重ねてお願いされた。
ゴールドは「畏まりました」と返事をして部屋を出て外に出た。
ナウシア、フェニックスは闇移動で外に出て王都アイオーレを目指した。
しかし外には飛竜が10匹いた。
オルブライト達飛竜隊はハルシオンを頭に左右に長く広がった隊形を取っていた。
ナウシア、フェニックスを見つけると
左右の端がナウシア、フェニックスに対してせりだし始め、
ちょうど鶴が翼を広げたような三日月の形に見える
鶴翼の構えとなって行った。
ナウシア、フェニックスは鶴の翼の中に入ってしまった時、どこを貫こうかと考えた。
前にいるミドルワイバーンは強敵だと直ぐに分かった。
それで一番若い飛竜、第2飛竜隊のレンナー、カルクブ26歳が乗る
飛竜カラシニコフ250歳に狙いを定めたのだが
少し敵に後を見せる事になるのに気づき、
2番目に若い第2飛竜隊のゲルンスキー28歳が乗る
ワックス270歳に狙いを定めて突進した。
さすがLv65のステイタスは凄い威力で
飛竜ワックスを弾き飛ばしたが
鶴翼の陣形を抜くことは出来なかった。
すぐ横からレンナー、カルクブが乗る飛竜カラシニコフが槍を突き出した。
危うくわき腹を刺される所を闇移動で異空間に逃げた。
異空間には空気が無いので、そんなに長くはおられない。
そして飛竜達の特技テレパシーは異空間でも敵の位置が分かるのである。
ハルシオンを先頭に円になるように陣形を作って
ナウシア、フェニックスが異空間から出てくるのを待った。
ナウシア、フェニックスはこのままでは不味いと思って、
炎の翼をいっぱいに広げて上へ上へ舞い上がって行った。
途中から通常空間に出て、そのまま上へ上へあがっていった。
飛竜達は空気が薄くなり、ついてこれなくなった。
ナウシア、フェニックスは下を見た。
飛竜達が下の方でホバーリングしていた。
一瞬だがそれを見て油断してしまった。
太陽の輝きの中からキラリと光る物が
自分に向かってくるのを見つけた時、
胸を槍が貫いて行ったのである。
その後からハルシオンに乗ったオルブライトが自分の横を通り過ぎて行った。
ナウシア、フェニックスはそのまま地上へと落下して行った。
地上近くにいたゴールドはナウシア、フェニックスの死体をアイテムボックスに入れた。
ゴールド達は王都アイオーレに帰還する事にした。
そのころ王都アイオーレでは
魔王軍四天王アウエルバッハ、タイタンと
アイリーン、イフリートが
飛竜第3隊と第4隊、王弟ケスラーとシンフォニー達と相対していた。
ゴールド達飛竜隊が南へ10機飛んで行くのを
アウエルバッハ、タイタンと
アイリーン、イフリートは同時に気づいた。
アイリーン、イフリートはアウエルバッハ、タイタンの所に行き
今の内に王弟ケスラーと
その家族を1人でも殺しておく事を提案した。
アウエルバッハ、タイタンも後飛竜は10匹残っているが
闇移動を使えば城へ潜入して1人ぐらいは殺す事は出来ると考えて
地下から城へ潜入したのである。
しかし飛竜達は直ぐに気づいて
ケスラーの家族を第3飛竜隊が守り、
第4飛竜隊でケスラーの守りに就いたのである。
アウエルバッハ、タイタンは敵が分散したのを確認して
アイリーン、イフリートと二人でケスラーを殺す事にした。
第4飛竜隊とケスラーは中庭の広い場所で待ち構えていた。
ケスラーの妻カシミールと長男アスンシオン、長女フランソワは
第3飛竜隊に運ばれ実家のアイガー公爵家に向かっていた。
飛竜隊ハルシオンからテレパシーにて
魔族ナウシア、フェニックスを討ったと連絡が来たので
アイガー領に避難させたのである。
アウエルバッハ、タイタンとアイリーン、イフリートが中庭に現われると
同時に第4飛竜隊隊長シュタイン、ザルツ35歳が乗る
飛竜アイスフェルト420歳はアウエルバッハ、タイタンに特攻をかけた。
しかし魔王軍四天王Lv110は伊達ではない。
軽々と攻撃をかわした。
第4飛竜隊二番機フォード、スタッタ34歳が乗る
飛竜シローネ340歳が直ぐ後ろから槍を突き出した。
しかし、これも軽々かわした。
三番機バーガー、タイランド34歳が乗る
飛竜コート380歳と
四番機シオン、アッセン33歳が乗る
飛竜スタローン380歳は前後から同時に槍を突き出した。
しかしこれも前からのバーガーの槍を手で弾き、
空中で前転をして後からの槍をかわしたのである。
そしてその体制から攻撃しようとしていた
伍番機ティーナ、アルバ32歳が乗る
飛竜チボー370歳に炎魔法Lv3ファイアーアローを放った。
飛竜チボーはその魔法をかわしたが体勢を崩してしまった。
その隙にアウエルバッハ、タイタンは
アイリーン、イフリートに王弟ケスラーを倒すように言った。
アイリーン、イフリートはチャンスとばかりにケスラーに迫った。
しかし、その前に美女が突然現われた。
美女は妖精の羽を広げた。
この時点でアイリーン、イフリートは驚いた。
何故妖精がここにいる?
その間に羽を広げた妖精は小さな1,000ぐらいの妖精に分裂して行った。
小さな妖精達はアイリーン、イフリートの回りに集まり出し、取り付いて行った。
取り付かれたアイリーン、イフリートは段々干乾びてその場に倒れた。
シンフォニーの分裂した妖精達は相手の生体エネルギーを吸い尽くすのである。
このエネルギー生命体である妖精に分裂するためにエネルギーが100%必要なのだ。
シンフォニーはこの300年で1度だけ、この分裂の技を使った事があった。
1年ぐらい地の底で眠って過ごし
100%のエネルギーにして1年前、
自分を食べようとしたドラゴンの生体エネルギーを吸い尽くして倒したのである。
しかし、シンフォニーは、何かを感じ、
じっとしている事を嫌って旅に出たのである。
王弟ケスラーは驚いたがもっと驚いた者がいた。
誰言おうアウエルバッハ、タイタンである。
アウエルバッハ、タイタンはシンフォニーの分裂を見た瞬間に逃げ出した。
それもあの高いヒマラヤン大山脈目指して一目散に逃げ出したのである。
今から500年前、
先代魔王、初代から数えて5代目
コンスタンティーニ、ワンダーランド8,600歳は
妖精を食べれば永遠の命が
手に入るのではないかと思い立ち、
妖精国を攻めた。
しかし、妖精国の結界は固く、中々破れなかった。
そこでコンスタンティーニ、ワンダーランドは
その頃最強とうたわれた黒龍と白龍を召喚して
攻撃させる事1年、
ついに結界を破り妖精国に侵入した。
この時アウエルバッハ、タイタンは
タイタン家を継いだばかりだったのだが
当時260歳、その場にいたのである。
妖精は皆美味しそうだった。
特に妖精王はうす青色の光の粒を全身から発して、
これを食べたら長生きできそうだと思ったのだ。
コンスタンティーニ、ワンダーランドも妖精王を食べようとした。
その時現われたのである。
先ほど見た化け物が!!!
コンスタンティーニ、ワンダーランドはあっと言う間に干乾びて死んだ。
ゴールド達は帰って来てこの話を聞いた。
シンフォニーをサーチで見たらエネルギーが3%になっていた。
ゴールドは幼女のシンフォニーをやさしく抱き上げ
「ありがとう」と言って血を吸わせた。
あっと言う間にエネルギーが30%になって元気になった。
こうしてアメニアでの戦いは終わったのである。
ゴールドはこの後1ヶ月、このアメニアに留まった。
錬金レシピの材料採取の為である。
ユリアがゴールドの顔を見たらとっても嬉しそうな顔をしていた。




