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勇者と神剣、来国長  作者: 明広
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シルビア王妃

 ユリアの願い④


 城壁への登り階段の所に女性がいた。


 マリア、ゴールドだ。


 もう、動けるの?と思った。


 それに昨日見た時より若く見える。


 5歳は若くみえる。


 年齢は20歳のはずだ。


 しかし15歳ぐらいに思える。


 ホーリーライトの生命力回復の影響か?


 謎だ。


 あまり使いすぎるとあかちゃんになるのかな?




 近づくと跪いていった。


「私にお供させてください」



 名前 マリア、ゴールド


 称号 元第5軍大将


 レベル50

 HP 500

 MP 500

 力 150

 体力 200

 敏捷 150

 器用 200

 魔力 120

 風魔法Lv8 ハリケーン

 剣術Lv5

 弓術Lv7


 強い。


 しかし復讐心からの参戦では後で足でまといになる。


 それで理由をきいてみた。


「使徒さまをお守りしたいのです」


「ユグドラシルで肌を見せていいのは夫だけです」


「いやいや、あれは治療ですから」


 説明というか言い分けを言ってしまった。


 それでもこちらに迫ってきたので、夫うんぬんかんぬんは置いといて、一緒に闘う事にした。


 城壁を登り、アイテムボックスから対戦車銃をとりだした。


 三脚を据えワイバーンを狙った。


 この時、マリアが言った。


「私にやらせてください」


 ワイバーンは空に3匹。


 100m上空をワイバーンブレスを吐きながら飛んでいる。


 俺は(うなづ)くと銃のスコープを取り出して覗いてみた。


 マリアは深呼吸をすると弓を大きく引き絞った。


 俺の目にはうっすらと緑色の魔力が見えた。


 マリアが息をふっと吐いた。


 矢はワイバーンの目を貫き脳まで達しているようだ。


 一瞬、ワイバーンはぐらっと傾き落ちてきた。


 落ちたワイバーンはピクリとも動かない。


 倒したようだ。


 凄い。


 凄すぎる。




 下から「わーっ」と喚声が上がった。



 2射目に入った。


 そのままなにげに矢を放った。


 また、目を貫きぐらっとワイバーンは傾き落ちてきた。


 下からまた喚声が上がった。



 3射目。


 ワイバーンは矢が当る瞬間、何かに気づいたのか左旋廻して避けた。


 俺があっ外れたと思った時、矢も左旋廻して一瞬加速してワイバーンの目にまた突き刺さった。


 ワイバーンはそのままぐらっと傾き落ちてきた。


 凄い、凄すぎるよマリアさん。


 さすが異世界。


 神の力があっても、あれは出来ませんよ。



 俺はマリアを見た。


 視線が絡み合った。


 俺は親指を立てた。


 マリアはにこっと笑った。




 よし、俺は気合を入れなおした。


 三脚をアースドラゴンに向けて立てた。


 銃をセットしスコープを取り付けた。


 俺も目を狙うことにした。


 アースドラゴンまで300m。


 アダマンタイト手甲弾を銃にセットし風魔法で回転させた。


 フレアの魔法を圧縮。


 ドンという爆発音と共にドラゴンの頭が爆散した。


 あっけなく倒せた。



 おっーと喚声が上がった。




 城壁外のゴブリン、ウルフ、オーク、オーガへの攻撃を行った。


 まず始めにマリアが風魔法Lv8ハリケーンを唱えた。


 一気に三分の一ぐらいの魔物を倒した。


 俺もハリケーンを唱えた。


 魔法を唱えると竜巻が何本も立ち上がり魔物を空中に吸い上げ、風の刃で切り刻み落下とともに殲滅していった。


 後は兵士達が城壁から弓で攻撃していった。


 ハーピーにも弓で攻撃。


 兵士達でも大丈夫みたいだったので城へ引き上げる事にした。




 何故かマリアも一緒についてきた。


 城の門を潜り王様の執務室へ向かった。


 ドラゴンの討伐を報告するためだ。




 途中、シルビア王妃の部屋を訪れた。


 ドアを開けてびっくり、見てびっくり。


 シルビア様がまたまた若く見える。


 昨日40歳ぐらいに見えたのに今30歳ぐらいに見える。


「俺は異常ありませんね」といった。


 シルビア様は「治療をお願いします」といった。


 治療必要なくないと思ったが口にださずパーフェクトサーチとホーリーライトを唱えた。


 後、「治療はこれで完了です」といって部屋を後にした。




 ホーリーライトはやばい。


 若返りの魔法?


 知れ渡ったら恐ろしい事が起こりそうだと思った。




 王様の執務室に着いた。


 ドアを開けると王様とユリア姫がいた。


 王様は俺を見てにこっと笑顔になった。


 ドラゴンを退治したことを知っているようだ。


 あらためて、情報が早いと思う。




 俺はまだユリア姫の願いが達成されていないことを告げた。


 王様はドラゴンを倒したのに何故っといった顔をした。


 理由は簡単。


 まだ俺がレベル1になっていないからだと告げた。


 明日も魔物は押し寄せてくるだろう。




 夕食を食べ自分の部屋へいった。


 マリアも着いて来た。


 マリアには明日も一緒に闘うことを約束して今日は帰ってもらうようにお願いした。


 マリアはしぶしぶ了承した。


 もとの俺ならきっとマリアを抱いたと思う。


 だってこんな美人が俺の嫁になるといっているのだからだ。



 しかし何故か使徒としての制約みたいなものが働いているように思える。


 今はユリア姫の願いを叶えることが俺の最重要課題になっているように思えるからだ。


 あっというまに意識をてばなした。


 かなり疲れていたみたいだ。




 朝日とともに目が覚めた。


 今日もいい天気だ。


 朝食を早めに食べ、城壁へ向かった。


 登り階段の所に今日は5人の人がいた。


 マリアを含めて皆元将軍だ。


 俺の前へ来ると皆跪きオルゲン、シルバー公爵が代表していった。


「お供させてください」


 俺は頷き城壁の階段を登っていった。




 ワイバーンが今日も3匹。


 魔物達はざっとみて1000匹あまりいる。


 しかし、兵士の数に驚いた。


 城壁にずらっと3000人ぐらいはいそうだ。


 すごいなーと見ていたら、5人の男がこちらに向かってきた。




 俺は緊張のあまりマリアを見た。


 マリアはうなづくだけだ。


 5人は俺の前に来て跪いた。


 そして自己紹介をした。




「自分はアデル、シルバー公爵」


「第1軍大将であります」


「父の命を救ってくださりありがとうございます」と頭を深く下げた。


 俺は心からの感謝の気持ちが伝わり、目頭があつくなった。


 とっさに、「ユリア姫の願いと神ムーン、シルバーさまのおみちびきです」と返事をかえしていた。




 2人目が自己紹介した。


「自分はイーサン、コバルト辺境伯」


「第2軍大将であります」


「父の目を治していただきありがとうございます」とお礼をいった。




 3人目が自己紹介した。


「自分はサイモン、レイモンド伯爵」


「第3軍大将であります」


「兄の足を治していただきありがとうございます」




 4人目が自己紹介をした。


「自分はハロルド、バノン伯爵」


「第4軍大将であります」


「父の命を救っていただきありがとうございます」と頭をふかぶかと下げた。




 俺はえっとおもった。


 だって、めっちゃ若い。


 この若さで大将。


 それに美男子だ。


 大将になったのは、父、ハインツが倒れた時、10日前だとしても、この時、既に中将の位にいて副司令官だったはずだ。


 このビクトリア王国では実力主義で平民でも力があれば上に登れることになっているからだ。


 この若さで、どれだけ強いのか。


 マリアも若いがハロルドはもっと若い。


 しかも、頭をふかぶかと下げた態度。


 人間が出来ている。




「切磋琢磨という言葉がある。」


「切するが如く磋するが如しとは学ぶをいうなり。」


「琢するが如く磨するが如しとは、自らおさむるなり。」


「人の上に立つ人間として学ぶことは当たり前。」


「しかし、若くして学び、力や知識が出来ると天狗になる。」



「上は王様から下は一般庶民にいたるまで身を修めることを本となす。」


「でなければ国は長く続かない。」


「だからこそ師友相俟って切磋琢磨するのである。」




 人は普通にライオンと闘えば食われてしまう。


 時には大山倍達先生や加藤清正候など単騎で熊や虎を討ち取る猛者もいるが!!


 ちなみに大山倍達先生や加藤清正候は文武両道である。


 ある程度まで武が進むと知がついてくる。




 だが普通の人間がライオンを討ち取るためには学ぶ必要がある。


 ライオンを落とし穴に落とす方法や毒の餌を食べさせる方法、

 強力な武器の作り方など学ぶ。


 知識や力を得れば強くなる。


 若くして強くなれば天狗になりやすい。


「実れば実るほど(こうべ)をたれる稲穂かな。」


 身を修める所以である。


 ハロルドはいいご両親、良き師、良き友にめぐり合えたのであろうとおもう。




 最後の一人が挨拶した。


「自分はスリング、ダンブルドア」


「第5軍魔道師隊大将であります」


 スリングはスネイプ、ダンブルドア伯爵の長男。


 マリアが10歳、スネイプの弟子になった時スリングは18歳。


 マリア15歳の時、参戦の要請により出立するとき、スネイプの差配でマリアの供回りとして従軍。


 現在28歳。


 独身。


 LV40、マリアと共に最前線で戦ってきた。




 挨拶が終わりアデル将軍がいった。


「今日は我々の戦いを見てください」


 俺はうなづいた。


 5人の将軍はいっせいにワイバーンに矢を放った。


 三本は足の鱗に弾かれた。


 一本は翼に当って弾かれた。


 一本のみ(やじり)の先が羽に刺さっていた。


 ワイバーンは矢を翼に残したまま飛び去った。


 5人ともLv40前後。


 Lv50との差をまざまざと感じさせられた。




 それでも30分ぐらいして羽に傷を受け、山のほうへ飛び去っていった。


 ワイバーンが居なくなると城門前の魔物への攻撃が開始された。


 まず、スリングがLv5ファイアストームを放った。


 Lv40の魔力はすさまじく50匹ぐらいの魔物をなぎ払った。


 そのあと3000名ぐらいの兵士がいっせいに矢を放った。


 おっと思えるほどの光景が目に映った。




 矢の雨が10mの城壁の上から下に向けて降り注いだ。


 しかしゴブリンは何十匹か倒せたがウルフは素早い動きで矢をかわし数匹しか倒せなかった。


 オークに矢は刺さったがこちらは平気そうだ。


 オーガにいたっては矢が刺さらなかった。


 しかし、この努力によって少しずつLvが上がって強くなっていくのだと思った。


 あらためて神の力は偉大だと思ってしまった。


 これに元将軍たちが参戦。


 オーガにも傷を負わせ魔物たちを倒していった。


 昼になっても戦いは続き夕方になって魔物もちりぢりになり終わりを告げた。




 俺はその間じっと戦いを見つめながらこの国を救うとはいったいどのような状態をいうのだろうと考えていた。


 気づけば目の前に5人の将軍が跪いていた。


 前を向けば数え切れない兵士達が俺の方を向いて跪いていた。


 生きる希望を見つけたような目をしている。


 俺は小さな声でささやいた。


「神は貴方たちをみていてくださる」


 アデル、シルバーが声をあげた。


「神が見ていてくださるぞ」


 その声は波のように広がり、「神よ、ムーン、シルバー様」と大合唱となり、そして静寂が戻った。




 俺は「明日もがんばりましょう」と言って城へ戻った。


 城へ戻ると広間に人が沢山集まっていた。


 中を覗くとユリア姫、シルビア様、オリビア様、ファビア様がいた。


 何をしているのかと思っているとユリア様が俺に気づいて隣の部屋へ連れて行った。


 説明を受けると結核患者を割り出しているとの事。


 なるほどと頷いた。


 この部屋に8人の人が居た。


 病気の疑いがある人たちだとの事。


 パーフェクトサーチをかけてゆく。


 2人は風邪とでた。


 後の6人は肺結核だった。


 6人をそのまま治療をしていった。




 城は政務をしているものまで200人ぐらい。


 本日100人ぐらい診断出来ていた。


 このオルレーン都市には今、軍関係者しかいない。


 なんらかの関係で魔物と闘う者とその家族だけだ。


 約20000人。


 このペースだと200日ぐらいかかる見込みになる。


 俺は王様に提案し、診断出来た者は左腕に赤のリボンをつけるように提案した。


 また、名簿を作成。


 都市の人口調査を開始してもらうことにした。


 これで今日のやることが終わった。


 夕食をとり、そのままベッドにいって眠りについた。


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