神が望まれている事?
王都ナッシュビルへ
このポーションは普通に凄いポーションだと思った。
需要が多そうだ。
リーダーのルブナが1人で狙って矢を放った。
矢は寝ているホワイト、テンの首筋に刺さって倒した。
毛皮を傷つけない技術だそうだ。
フライが説明してくれた。
少し進んだだけでリーダーの手が上がった。
木の上に何かいるらしい。
30m先の大きな木の上に黒豹がいた。
博士はサーチを放った。
ナイト、ブラック、レオパルド(夜行性の黒豹)、体長1.5m、鋭い爪で木に登る。
夜、暗闇でも見える目を持ち、敵を襲う。
この後に錬金レシピに反応があった。
目クスリポーション=豹の心臓+ブルーベーリーの実+ルナ草+きれいな水+Mp70
目クスリポーションはクールタイムは1ヶ月、1回飲むと0.1の視力が回復する。
最大7.0まで回復する。
狩人3人が一斉に矢を射た。
命中して黒豹は木から落ちた。
しかし落ちて直ぐ立ち上がり森の奥へと逃げ出した。
後で見ていた兵士7人は一斉に槍を投げた。
その内ちの2本が命中して黒豹を倒した。
それから鹿3匹、猪3匹を倒して、そろそろナソーへ帰る頃合になった。
リーダーの手が横に向き、それから下を指した。
伏せの合図だ。
博士もユリアも森の地面に腹ばいになった。
そいつは直ぐ現われた。
自分達の左30mの所をゆっくり歩いて行く。
デカイ。
博士はサーチを放った。
ミノタウロス、体長5m、牛が二本足で歩く魔物だ。
力がやたら強い。
ステイタス。
ミノタウロス57歳
レベル30
HP 500
MP 10
力 300
体力 400
敏捷 50
器用 20
魔力 10
棍棒で縦、横に殴りつける。
特に横に振るわれると回りの人間は1撃にて死に追いやられる。
錬金レシピにも反応があった。
精力増強ポーション=ミノタウロスの肝臓+イールの肝+ルナ草+魔力70Mp
精力増強ポーションは1日だけ、とことんやれる。
副作用はない。
おっ、副作用がない。
これも需要がありそうなポーションだと博士は思った。
博士はサイコキネシスを槍の形にしてミノタウロスの頭に射ち込んだ。
伏せていた仲間はビックリ仰天である。
5mのミノタウロスがこちらに倒れたと思ったらずるずるとこちらに寄ってきた。
全員武器を構えた時、そいつは掻き消えたのである。
ここで皆気づいた。
使徒様の仕業だと。
ゴールドはこのサイコキネシスは神ムーン、シルバーが錬金術の材料採取の為に
自分に与えたのだと考えていた。
ライディンだと倒しても材料が黒こげになり錬金術の材料になりにくいのである。
その点、サイコキネシスは材料が痛まない。
森の出口近くまで来た。
前回はここでグリーンドラゴンに遭遇した。
今回もリーダーの手が上がった。
グリーンドラゴンとは全員で闘ったが今回は闘うつもりはないらしい。
動かない事1分。
博士は何もない前方にサーチを放った。
木の上に魔物がいた。
カメレオン、ダイナソー。
体長3m、麻痺毒性の長い舌を飛ばし、鋭い鉤爪で相手を倒す。
また、ムササビのような滑空する翼を持ち、素早く動き回る。
凄い擬態だ。
リーダーの目には感心するばかりだ。
隠密上昇ポーション=カメレオンの粉+パープルフラワー+きれいな水+魔力20Mp
ルナ、モスラがいた広場にユリアと来てパープルフラワーを見つけた時に錬金レシピにヒットした隠密上昇ポーションだ。
リーダーは少しづつ後すざりを指示した。
博士はサイコキネシスの魔力の手でカメレオン、ダイナソーを捕まえた。
捕まえた瞬間に擬態が外れた。
博士は首を捻り上げ、息の根を止めてアイテムボックスに入れた。
ユリアを除いて皆唖然である。
今回は大量だ。
博士がアイテムボックスに獲物を入れてくれたので多くの肉とリンゴ?を採取出来たのである。
前回は20軒で分けたが今回は60軒で分ける事が出来た。
次の日、博士はまた部屋に篭った。
アイテムボックスから錬金術の乳鉢と乳棒、錬金術の釜(魔法蒸留器)を取り出した。
作るのは
隠密上昇ポーション=カメレオンの粉+パープルフラワー+きれいな水+魔力20Mp
精力増強ポーション=ミノタウロスの肝臓+イールの肝+ルナ草+魔力70Mp
目クスリポーション=豹の心臓+ブルーベーリーの実+ルナ草+Mp70
毛生えポーション=ホワイト、テンの肝+イールの肝+ルナ草+魔力70Mp
この4種類のポーションだ。
①隠密上昇ポーションは効果時間は30分ぐらい、5m離なれると気配も姿も消せるすぐれものだ。
②精力増強ポーションは1日だけ、とことんやれる。副作用はない。
③目クスリポーションはクールタイムは1ヶ月、1回飲むと0.1の視力が回復する。最大7.0まで回復する。
④毛生えポーションはクールタイムは一週間、1本飲めば髪の毛が1cm伸びる。
きれいな水は蒸留水を用意した。
蒸留水で作ると効果が倍になった。
効果時間30分が60分になった。
博士は4種類のポーションを作ったが
回りの人達でこの4種類のポーションを必要としている人がいない事に気づいた。
すべてアイテムボックスに入れた。
ポーション作りが終わるとコーヒーを淹れ、カカオから板チョコを作った。
板チョコが出来ると何処にいたのかシンフォニーが隣に立っていた。
幼女姿なので分からなかったのである。
3人で板チョコを食べた。
博士はコーヒーと一緒に。
ユリアはリンゴジュースだ。
シンフォニーは板チョコだけ食べた。
ゆっくりした時間の中で博士はポーション作りから
神、ムーン シルバー様の事を考えていた。
神ムーン シルバー様は何故、自分をこの世界に転生させたのか?
確かに自分は死んで転生を望んだ。
しかしAIユリアそっくりな女性が転生先にいて、ゴブリンに剣で殺されかけていたのだ。
当然、自分はユリアを助けるだろう。
それであるなら神は自分が魔物を倒す事を望んでおられるのか?
いや、それは違う気がするのである。
何故ならポーションの存在だ。
あれは使徒の為ではなく人族の為に神が用意したものだ。
人族は自分が転生してこのユグドラシルにこなかったなら、
ビクトリア王国もローム王国もここナトニア王国も
魔物に滅ぼされていたに違いない。
神、ムーン シルバー様は人族が滅ぼされる事は望んでおられないのは確かだ。
そして人族をして魔物と闘う力をつけさせる為にポーションを用意されたのも確かなのだ。
ここで博士は考えをまとめる事にした。
①神は自分が魔物を全て殲滅する事は望まれていない。
②神は人族が滅び去るのを望まれていない。
③神は人族が力をつけ、魔物と闘う事が出来るようにしたい。
④神は自分にこの指導をやらせたい。
⑤神は神託を通してこの事をやらせる?
⑥神託を達成するとご褒美がもらえると博士は最後に書き足した。
この日の夕食の時、博士は明日王都ナッシュビルへ行くとサイ、ナソーに伝えた。
サイはなんとなく分かったのだが、あえて「何の為に王都に行かれるのですか?」と博士に尋ねた。
博士は言った。
「ここナソーで闘った魔族は
我輩は魔王軍四天王カサノバ、デビルの配下
コカビエル、インプ360歳である」と言った事。
そしてナパで闘った魔族は
魔族バズズ、サキュバス220歳、魔王軍四天王カサノバ デビルの配下
12将軍の1人だと分かった事をだ。
「ここナトニアの戦いを終わらせる為には、
魔王軍四天王カサノバ デビルを倒さなければいけない事」
「カサノバ デビルは王都ナッシュビルにいるだろうと思うので王都に行くのだ」と伝えた。
サイ、ナソーはそれだけ聞くと、頷き
「それではアシュウイン達を道案内にお連れください」と頭を下げた。
博士は「ありがとうございます」と言ってその提案を受けた。
この時、サイの隣にはキャロラインが座っていたのだが、
博士はキャロラインの胸で光るペンダントを見た。
時間は博士がナパから帰った時に遡る。
博士達がナソーに帰って来たとき、
アシュウインはイタリアーノから返してもらった
ナソーの秘宝をサイに渡したのである。
ナパでの出来事の報告も兼ねてだ。
その時、隣にはキャロラインもいたのである。
キャロラインはブリリアンカットで光輝くダイヤのペンダントに魅了された。
さながら闇魔法の魅了のごとくである。
サイがもっていたダイヤのペンダントをすっと抜き取り、自分の首につけたのである。
にこにこ顔がそれから1日中続いた。
寝る時も離さず、手も洗わず、シャワーの時でさえペンダントを離さなかった。
3日目にしてやっと正気に戻った。
流石に手を洗う時やお風呂の時はペンダントを外した。
しかし、後はずっと今日までつけたままである。
夕食を食べて早めに眠りについた。
朝起きて朝食を食べ、外に出るとアシュウインと5人の騎士がいた。
皆気心の知れた仲間である。
ボッチだった博士にはなによりの事なのである。
後一人後ろに見た顔があった。
博士は「アラディン」と呼びかけた。
アラディンは博士の前に来て跪き「お供させてください」と頭を下げた。
博士にはアラディンの気持ちが良く分かった。
風の噂によれば、イタリアーノとアリスが領主館に篭りっきりだと言うのだ。
流石にあのポーションを使った父親の側には居辛かろうと思うのであった。
しかし、1年後には妹か弟が出来るのである。
かなり歳が離れた兄弟だが嬉しい事だと博士は思った。
博士達は東北にある川の道を歩きだした。
ナソーから王都まで約100kmだ。
川の道の入り口に到着したら博士は直ぐ変幻魔法Lv3トーチを洞窟の両端に放った。
洞窟内は真昼のように明るくなった。
5kmぐらい行った時フライングフォックスバッドが5匹襲って来た。
今回カサノバ、イソクラテス18歳は松明がいらなくなったので、
剣ではなく槍をもっていた。
槍で一突き、フォックスバッドを仕留めた。
強い。
カークランド、アルコーン32歳はホバーリングしていたフォックスバッドに槍を投げつけた。
身体を貫かれたフォックスバッドは落ちて息絶えた。
スコア、ヌルジャン28歳はノース、スタフォード28歳の構えた盾の後ろから矢を続けざまに射た。
飛んでいた2匹のフォックスバッドに当り、下に落ちてきた。
そこをキスリング、タボン30歳が槍で仕留めた。
後1匹はアラディンが槍で仕留めた。
最後1匹は逃げ出した。
すかさずスコアは弓を射た。
しっかり胴体にささり、下に落ちてきた。
カサノバが槍で止めを刺した。
何回かの戦闘を繰り広げて30kmの休憩の広場に到着した。
博士は聖魔法Lv7守護の聖なるサークルで休憩の広場を覆った。
地下水の出口を見たら光苔が下の地面にはベニテング茸が生えていた。
博士は嬉しそうに採取していた。
ユリアは博士は本当に錬金術が好きなんだと思った。
博士の楽しそうな姿を見るのが好きだった。
ここで1泊して次の休憩所を目指した。
王都に着いたのは4日目の昼前であった。
川の出口の明かりが見え出した所の広場にドアがあり
アシュウインはそのドアを開けて中に入って行った。
100mぐらい上に向かって進んだ所にまたドアがあった。
そのドアをアシュウインは開けて中に入った。
博士も続いて中に入った。
そこには縦2.5m横幅1.5mの岩のトンネルがずっと続いていた。
少し行くと小さな20cmぐらいの空気取り入れ口があった。
博士はそこから外を見た。
外にはりっぱな城塞都市が見えた。
周りには魔物が雲霞の如く飛び回りひときわ大きい鳥の魔物がいた。
体長は羽を広げると30mはありそうだ。




