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勇者と神剣、来国長  作者: 明広
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最初の魔法

 ユリア姫の願い


 目を覚ますと朝の香りとともに、窓からやさしい日の光がさしていた。


 ソファーを見るとユリア姫が寝ていた。


 金色の髪に白い素肌、朝日を浴びて金色に輝くうぶ毛。


 つい見惚れている自分に気づき、「あっ、いかん、いかん」と思ってしまった。


 今日はこの国の現状と姫の願いを確認する事であると思いをあらたにする。




 ドアのノックとともに、メイドさんが「朝食の支度ができました」と言ってきた。


「どうぞ」と返事をするとドアを開けて入ってきた。


 ユリア姫を見ても何も言わず、簡単に部屋の整理をしてユリア姫をおこしていた。


 ユリア姫は起き上がると俺を見てにこっと笑顔になり、「おはようございます」といった。




 食堂へ向かう。


 そこには王様が1人で椅子に座っていた。


「おはようございます」と挨拶したら向かいの椅子をすすめられた。


 俺が椅子に座ると朝食が運ばれてきた。


 さきほど起こしにきたメイドさんがワゴンに朝食をのせていた。


 朝食はパンとスープ、ベーコンのような肉だった。


 朝食の後、ハーブティーのような飲み物がだされた。




 そこから、現状の国の様子の説明をうけた。


 1、魔物の襲撃により後10日ぐらいでこの都市は陥落するとの事。


 2、現在原因不明の流行り病が都市全体を襲っている事


 3、ワイバーン、アースドラゴンのブレスにより死者が増え続けているとの事


 4、このままでは南の港町カッソに撤退するしかない事


 5、しかしカッソは普通の港町でこのままでは全滅するとの事


 6、魔物は人間が全滅するまで次の町へは移動しないとの事




「これ、何も出来なければ俺も後10日の命?」


「神様、そんな事一言もいわなかったよね」


「ウーン」と考えてるとユリア姫が言った。


「この国を助けてください」


 俺は、「では魔物を殲滅すればいいですか?」と尋ねた。


「出来るのですか?」とユリア姫が言った。


「さあー?」と返事をした。


「えっ」と王様とユリア姫がはもっていた。




 俺は正直に言った。


「神はユリア姫の願いを叶える為の神の力を授けるとは言われたが何が出来るかは教えてもらって無い」


 あきらかに2人とも落胆していたがしかたがないので、俺は「他には願い事はないですか?」とたずねた。


 とりあえず他にはないとの事なので、現場を見ることにした。


 王様は仕事があるとの事で司令官が現場に案内することとなった。


 ユリア姫が司令官室まで案内することになった。




 メイドさんの先導で司令官室へ向かっているとユリア姫がある部屋の前で立ち止まっていた。


 必死に耐えたような表情から言葉を発した。


「母を助けてください」


 俺がユリア姫の言った意味が分からず黙っていると、姫は「私情なのは分かっています」


「でも母を助けてください」と繰り返し言った。


 詳しく尋ねると王妃は3ヶ月前ぐらいに流行り病に罹り余命後数日との事。



 姫は繰り返して言った。


「国の事を頼まなければいけないのに、自分の事をお願いするのは王家のものとして、いけない事とは思いますが、どうしても母を助けたいのです」



 俺は言った。


「その厚き所の者薄くして、その薄き所の者厚きは、いまだこれ有らざるなり」


 姫は「それはどうゆう意味ですか?」と尋ねた。



「これは俺の国の教えです」


「身近な家族に対する愛情こそがまず厚かるべきで、家族とくらべると疎遠な国の人々に対する愛は薄くなるのが自然の人情というものです」


「しかるに身近な家族には薄情でありながら家族より疎遠なはずの国の人への愛を厚くするのは順序が逆である」


「そのようなことで国がよく治まるというのは、古からその例がないことである。

 という教えです」



 ユリア姫は最初、何のことか分からずきょとんとしていたが、すぐに理解して涙を流した。


 こんな時のユリア姫は本当に美しく見える。


 ユリア姫の独特な美しさが分かってくる。


 聡明なのである。




「では、現在の姫の願いは魔物の殲滅とお母さんの治療ということでいいですね」


「では、おかあさんの治療から始めましょうか?」


 俺はかまわずその部屋へ入った。


 姫は戸惑っていたが一緒に入ってきた。


 メイドさんは入ることはなかった。


 入る事は死を意味しているからだ。




 その部屋の中はベッドに寝ている女の人が一人と2人のメイドさんがいた。


 ベッドの女の人は60歳ぐらいに見えた。


 骨と皮だけに見えて生きているのが不思議なくらいだった。


 2人のメイドも顔色が悪く乾いた咳をしていた。


 俺はこの治療が出来るのか?と不安になったが神の力を信じることにした。




 まず俺は神に祈りを捧げた。


 膝をつき両手を組んで


「おお、神よ。ムーン、シルバーよ」


「貴方の使徒の願いを聞き入れたまえ」


「我に診える力と癒しの力を与えたまえ」


 それと同時に天から光の矢が俺の体に突き刺さった。


 かっと光が部屋の外まで明々と照らし出した。


 外のメイドさんが急いで部屋へ飛び込んできて、俺をみつめていた。


 姫は口をあんぐりとあけ、どこか異世界へいっているみたいだった。


 2人のメイドさんは目を白黒させて跪いてお祈りを始めていた。



 俺は突然頭の中に回復魔法と聖魔法の効果が閃いていた。


 回復魔法


 Lv1 リトルヒールMp使用量10


 Lv2 ヒールMp使用量20


 Lv3 エリアヒールMp使用量30


 Lv4 シックMp使用量40


 Lv5 キアリーMp使用量50


 Lv6 癒しの手Mp使用量60


 Lv7 リジェネーションMp使用量70


 Lv8 パーフェクト ヒールMp使用量80


 Lv9 エリア パーフェクト ヒールMp使用量90


 Lv10 リザレクションMp使用量100




 聖魔法


 Lv1 サーチMp使用量10


 Lv2 ホーリー ボールMp使用量20


 Lv3 ホーリーアローMp使用量30


 Lv4 ホーリースピアMp使用量40


 Lv5 シヤナクMp使用量50


 Lv6 守りの聖なるサークルMp使用量60


 Lv7 守護の聖なるサークルMp使用量70


 Lv8 魔力の壁Mp使用量80


 Lv9 パーフェクトサーチMp使用量90


 Lv10 聖光ホーリーライトMp使用量100




 俺はまずサーチを使った。


 まわりの状況がなんとなくわかる。


 集中すれば、壺の成分もわかった。


 後、小さい魔も殺すことが出来るようだ。


 サーチを集中して王妃にあてた。


 体のいたるところが痛んでいるのが分かった。


 しかし、病名は分からない。



 今度は、Lv9パフェクトサーチを使った。


 肺に多く損傷が見えた。


 集中したら病名が「肺結核」とでた。


 結核菌による感染症。


 結核菌は普通にはいないので故意にもちこまれた可能性が高いと思う。


 地球では薬で治るが、ユグドラシルには薬はない。




 そこで回復魔法のLv4シック。


 これは病気の治療の魔法で、ばい菌やウイルスを殺して病気を治す魔法。


 俺はシックを唱えた。


 しかし、体の表面の菌は退治できたが体の中の菌はそのまま残ってしまった。


 なにかいい手はないか?と考えていたら現代のCT解析が閃いた。


 パーフェクトサーチをCTのように体を輪切りにして解析することにした。


 服が邪魔なのでメイドさんにいって脱がしてもらった。


 ボロボロで見るに耐えない体だったが、そこに右手にてシックを集中して照射。


 頭の先から足の先まで時間はかかったが菌を殺すことに成功した。


 後はパーフェクトヒールで痛んだ肺を直せばいいが、体力がなければしんでしまうかもしれない。


 そこで聖魔法Lv10聖光ホーリーライトを使うことにした。


 ホーリーライトは生命力、体力、Mpを回復する魔法。


 魔に対しては特攻がありどんな魔物も消滅する魔法だ。


 さすが伝説の魔法だ。


 ホーリーライトを唱えて、パーフェクトヒールで破損部分を治療。


 最後にリジェネーションを唱えて終了した。


 レジェネーションは再生力を高める魔法だ。


 治療の終わりを告げたとき、姫は泣き崩れた。




 俺は姫をそのままに、後のメイド2人にたいした。


 服を脱いでもらい、サーチからリジェネーションまでを二人に施した。


 最後に部屋全体にシックをとなえて終了した。




 姫をうながし部屋を出ようとしたら、外に人だかりがあった。


 聞けば、俺が魔法を使うたびにかっと光が部屋から漏れてなにごとかと思いあつまったとの事。


 廊下に出れば廊下が人でうまっていた。


 廊下を進むたびに人がわかれ道が出来て行った。




 メイドさんに先導され司令室まできた。


 ノックすると中から「どうぞ」と声がかかった。




 ドアを開けると司令官レオン、スターが椅子に座っていた。


 姫を見て椅子から立ち上がり向かいの椅子をすすめた。


 姫はレオンへ俺に戦いの現場を見せてほしいとお願いした。




 俺達は城から出て町に向かっていた。


 30分ぐらいあるいて城門付近へ到着した。


 城下町は白い壁と赤い屋根の家が多く道路も清潔で素敵な町並みだった。


 ところどころ焼かれた家がなければだ。


 ワイバーンのブレスにより焼かれたとの事。


 今も空にワイバーンが飛んでいた。


 時々ブレスを放つが空中で消えていた。




 訳を尋ねると都市全体を300年前の伝説の聖女フェアールが作った結界装置がLv6守りの聖なるサークルを展開しているとのことだった。


 装置の維持に毎日フェアール家の巫女が魔力を注いでいるとの事。


 それでも連続してブレスが直撃すれば結界の一部が崩れブレスが町に届いてしまうらしい。




 俺はLv7守護の聖なるサークルを空に展開していった。


 青い空がより青くなっていった。


 司令官は「あれは?」と疑問を口にした。


 俺は「あれはLv7守護の聖なるサークルです」と答えた。


 そしてLv6のワイバーンブレスはもう町には届かない事を説明した。


 1年ぐい維持し続けることも説明した。


 それを聞いてレオン司令官は驚いていたが直ぐに伝令をだした。


 一箇所は巫女の館、フェアール家。


 もう一箇所は町の治安部隊指令所だった。




 フェアール家ではいち早く守護の聖なる結界が張られたことを感知していた。


 そこへ伝令が駆けつけて使徒さまが結界を張ったことを告げた。


 フェアール家当主、聖女オリビアは安心し気の緩みから気を失った。


 この半年、魔力が無くなるまで毎日交代で結界の魔法具に魔力を注いでいたのだから。




 治安部隊指令所では歓喜の声で溢れていた。


 ワイバーンのブレスにより毎日倒れて行く仲間を見て、今日は自分の番か?と怯えながら町の見回りをしていたからである。


 城壁を登って見た光景は平原から森までを埋め尽くした魔物たちだった。


 そこから城門が見えた。


 城門は鉄や土、色んなものが混じったかたまりが道をふさいでいた。


 これのおかげで魔物が場内に入れなくなっていた。


 ゴブリン、オーク、オーガは聖光ホーリーライトにより殲滅可能らしい。


 しかし、ワイバーンとアースドラゴンは魔物ではなく竜種にあたるらしい。


 ワイバーンに対しては、大形のバリスタ、もしくは弓の名手により羽をねらって地上に落し多人数にて討伐するか、


 唯一のワイバーンに対抗できるフレアの魔法で羽を燃やして地上に叩き落とす手段しかないらしい。


 アースドラゴンに対してはバリスタでダメージを与え死を覚悟の接近戦で仕留めるのみらしい。


 しかし現在、ワンバーンの攻撃によりバリスタは全て破壊されているとの事だった。





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