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勇者と神剣、来国長  作者: 明広
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転生

 第1話 転生


 俺は今、銅像の前にたっていた。


 それは月明かりに照らされ、淡く光輝く銅像で少し前に出会った神となのる男の人に似ていた。


 名を尋ねたらムーン シルバーと名乗った。


 銅像の向こうにはステンドガラスで描かれた幾何学模様の窓があり、その下には、祭壇があり蝋燭(ろうそく)(あか)りが(かがや)いていた。



 ふと、声がした。


「使徒さま?」


 声は背中から聞こえてきた。


 振り向くと、そこには金髪の美少女がたっていた。


 その後ろには、200人ぐらいの人々が(ひざまず)いてこちらを見ていた。


 俺は少女の名前を呼んでみた。


「ユリア姫?」


 姫は涙を流しながら「ハイ」と返事を返してきた。




 昨日夜の事。


 ベッドで寝ていたユリアは誰かに呼ばれた気がして、目を覚ました。


 窓には満月が輝いていた。

 誘われるように城の隣の教会に来ていた。


 ドアを開けると、ムーン シルバー様の銅像が輝いていた。


 誘われるように銅像に跪いて祈りを捧げた。


「どうかこの国をお救いください」


 ユリアの国の名前はビクトリア。


 ユリアはこの王家の一人娘であった。


 ビクトリア王国は15年前から魔物に襲われ続け、今では王都オルレーンと南の港の都市カッソのみとなっていた。


 また、ここ3ヶ月前から、原因不明の病に襲われ、後10日ぐらいで滅亡の時を迎えようとしていた。


 ユリアがお祈りを捧げた時、ユリアの頭の中に声が聞こえてきた。


 声は「お前はこの3年、毎日お祈りを捧げ続けた」


「その方の信仰心に対して、褒美として姫の願いを聞き届ける使徒を送る」


「明日の満月が天上にかがる時、我の使徒をこの場所へ使わす」


「其の者に姫の願いを伝えよ」




 この時、教会にいたのは司祭と3人の信者だった。


 姫が銅像に跪いた時を見ていた人々は銅像がかっと光かがやくのを見つめていた。


 それは神々しく(おごそ)かで目が離せないものだった。


 姫はそばにいた司祭に今、頭に聞こえてきた言葉を告げた。


 司祭も普段なら何をいっているのだと疑問に思ったかもしれないが先ほどの光景が真実を抱かせた。




 翌朝になってもユリアは昨日の事を誰にも告げなかった。


 それは今でも、城門の前で騎士たちが魔物と戦っているからで、本当かも分からない希望を告げることにためらわれた為であった。


 ユリアは夜を待っていた。


 そんな中、司祭は昨日の事を王様に伝えにいった。


 あまりにも昨日の光景が奇跡に思えたからで、神に仕える者として伝えねばならないと思ったからだ。


 司祭は王にいった。


「今夜、使徒さまが降臨なされます」


 王様は半信半疑だったが、自分もその場に行くと伝えた。



 王の名前はシリウスという。


 シリウス、ビクトリア。


 第68代、ビクトリア王として15歳で王位につき20年間、賢王と呼ばれる善政を行ってきた。


 15歳の即位とともに小さい時から決められていた聖女と呼ばれた10歳のシルビアと婚約。


 5年後の20歳の時結婚。


 その年の終わりに、ユリアが誕生した。




 この時からビクトリア王国は魔物に襲われ始めた。


 それまでも魔物の出現はあったものの、何百、時として何千の魔物に襲われだしたのである。


 シリウスは前線にて戦い続けた。


 最初は北の砦、ルナでの戦いだった。


 ルナ砦の北には魔境と呼ばれる未開の深い森が広がっていた。


 この時の魔物はゴブリン、ウルフと呼ばれる魔物で200匹あまりが村々を襲いルナ砦に押し寄せてきた。


 ルナ砦につめていた騎士は100名で司令官はハインツ、バノンであった。


 ハインツは直ぐに王都に伝令を送った。


 シリウスは直ぐに兵500を率いてルナに向かった。


 王自らが向かったのにはシリスウの能力にある。


 シリウスは第5階、炎魔法の使い手であったからである。



 シリウス、ビクトリア21歳


 称号 ビクトリア王

 レベル20

 HP 200

 MP 100

 力 50

 体力 50

 敏捷 35

 器用 40

 魔力 60

 炎魔法Lv5 ファイアストーム



 一般兵レベル10

 HP60

 MP 10

 力20

 体力 30

 敏捷 20

 器用20

 魔力 10

 剣術Lv3

 弓術 LV3


 シリウスは砦に入ると広域魔法ファイアストームを唱えた。


 一撃で約20匹の魔物を殲滅した。


 これによりLVが1上がった。


 兵達は、城壁の上から弓矢で攻撃。


 200あまりの魔物は2日の迎撃により駆逐されていった。


 普通ならば、これで終わりのはずだった。




 王都に帰還しようとしたその日の朝、森から魔物が溢れ返った。


 迎撃に迎撃を重ねたが、魔物の出現は一向に衰えず、一年ぐらいルナで戦いつづけた時500ぐらいの魔物と空を飛ぶ魔物ハーピーに加え、オーク、オーガといった強力な魔物が押し寄せてきた。


 ルナ砦では防戦出来なくなり、30キロ南の城砦都市ロンネルに引くことにして、より大きな防御体制を築く事になった。


 ロンネルでは王国各地より10,000人の兵を集め迎撃にあたった。


 城壁を防御にして、バリスタにてオーガを倒す事にも成功して3年が過ぎていった。


 しかし、魔の森からの魔物の進撃はとどまる事なく続いていった。




 3年後、新たな魔物、ワイバーンの出現により形勢は一気に不利になり、死者も一気に増え都市の損害とともにハッサムへ撤退。


 2年後にはベラへ撤退。


 その2年後にはローリエに、


 1年後にパラソへ、


 さらに1年後にリンベルへ、


 また1年後にはマニソへ


 翌年にはパリルへ


 2年後には王都オルレーンへ撤退に追い込まれて現在にいたっていた。




 しかし、ルナ砦から15年。


 シリウスはレベル20からレベル50へとアップしていた。

 炎魔法もLv7フレアを使えワイバーンも倒す事が出来ていた。


 兵士からも英雄が5名現れていた。


 5名とも将軍となり兵を2000名づつ率いていた。


 女性将軍マリア、ゴールド。


 ポール、レイモンド。


 オルゲン、シルバー。


 ルナ司令官だったハインツ、バノン。


 そしてロレン、コバルト。いずれも、弓、剣の名手である。




 ワイバーンも将軍達が弓矢で地上に落とし、兵が倒すところまでいっていた。


 シリウスにいたっては、単独でフレアを用い、ワイバーンを倒すにいたっていた。


 これにより、戦線ももちなおすかにみえた。




 しかし突如として城門が炎により攻撃され破壊されてしまった。


 城壁の上から見ると、そこにはアースドラゴンがいた。


 ドラゴンのブレスは炎魔術の最上級、第10階級ドラゴンファイアと同じ威力とされていた。


 これにより、城門前で接近戦をよぎなくされ、オーク、オーガ、ゴブリンとの接近戦により死者、負傷者が増え、5名の将軍達もドラゴンブレスにより傷つき倒れていった。



 さらに原因不明の疫病が流行り、王妃を始め一般市民も倒れていったのだ。


 ついに後10日もすればこの王都も魔物に蹂躙されると誰もが思い始めていた。




 そんな時、教会の司祭が王様に神のお告げを伝え、市民にも教会を通して伝えていった。


 この話は王都の全住民2万人に瞬く間に広まって行った。


 夜になって教会の中、入れない市民は教会の外から大通りまで固唾をのんで今か、いまかとまっていた。


 月が夜空の真ん中に来た時、それは起こった。


 夜の月から天空を翔け一条の光が教会へと降りてきたのである。


 すべての人々は涙した。


「ああっ神は我々を見捨てなかった」




 俺の名前は村上 明広(あきひろ)27歳。


 大手スーパーの買い付け担当。


 その日は仕事も終わり電車から下りて駅から10分のアパートまで帰りの途中だった。


 Y字の道路の左側からトラックが右側から女の子を連れたお母さんが歩いていた。


 小さな女の子の手からボールが落ち、それを追いかけて女の子が道の真ん中に走って行った。


 俺は無意識に走り出し女の子を抱えてトラックを避けようとしたが避けきれずはねられてしまった。


 がっと激痛がはしって意識をうしなった。



 ふと気づけば男の人が目の前に立っていた。


 訳が分らず、じっと見つめていたら、男の人が言った。



「あなたは死にました」


「貴方には、選択肢が2つあります」


「1つはこのまま、時の中で生の輪廻(りんね)に任せること」


「もう1つは、ユグドラシルの世界へ転生することです」



 俺は異世界転生を望んだ。



 男の人は言った。


「ユグドラシルは魔法と魔物の世界」


「あなたには私の使徒として転生しユリア姫の願いを叶えてほしい」


「ユリア姫の願いを叶える間は、使徒として神の力を授け、願いをかねえ終わったら、レベル1から一般人として自由にいきられる」


「では今からユリア姫のもとへ送ります」



 俺はあわてて質問した。


「貴方の名前はなんですか?」


 神は「ムーン、シルバー」と名乗った。


「小さな女の子はどうなりましたか?」


「貴方のおかげで無事生きていますよ」


 それを聞いて、何故か安心して転生できるとおもってしまった。


「では、お願いします」


 言った瞬間に俺は銅像の前にたっていた。




 後ろから声が聞こえた。


「使徒様?」


 振り向くと金髪の女の子が立っていた。


「ユリア姫?」


「ハイ」


「では貴女の願いは何ですか?」


 なんで泣いているのか俺にはわからなかったが神様との約束を果たそうと尋ねてみた。


「この国を、私たちを救ってください」


「えっ」意味が分からず聞き返していた。


 その時、一人の男の人が前に来て、


「今宵はもう遅いので明日の朝、詳しく現状を説明させてください」といってきた。


 俺はうなずき、そのままお城に案内され、部屋へと案内された。




 今俺はベッドの上で先ほどの光景を考えていた。


 200名ほどの人々が涙している光景だ。


 女性の人は全て、男性の人も目頭を押さえていた。


 普通ではない。


 ユリア姫の言葉。


「この国を救ってください」


 俺は神がいった「ユリア姫の願いを叶えてほしい」から簡単に終わる願いだと思っていた。


 その後は、普通に一般人として暮らしていくものだと思ったのだ。


 考えがまとまらない中、ぼんやりと窓の月をみていた。


 よく見ると月の回りに小さい月があった。


「あっ、地球じぁない」




 その時、ドアのノックの音が聞こえてきた。


「ハイ」と答えるとユリア姫がドアを開けて入ってきた。


「どうされましたか?」


「ここにいさせてください」


 俺が何故?って思っているとユリア姫が答えた。


「何故か不安なのです」


「使徒様がこのまま消えていなくなるのではないかと思ってしまうのです」


 だから俺は答えた。


「神は言われた」


「ユリア姫の願いを叶えてほしい」


「その時は神の力を俺に授ける」


 願いをかなえた後は、Lv1から自由に生きていい」


 また、地球という異世界で俺は小さい女の子を助けて死んだこと。


 神に出会ってユグドラトル転生を進められたこと。


 だから俺は消えることは無い事を話した。


 それでも「居させて」といってきたので、ベッドをすすめたが「ソファーでいい」とかたくなにいったので明日の事を思いながら俺は意識をてばなしていた。





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