雪の冷たい 月の子ども
広大な敷地 大きなお屋敷
雪国の 町外れに建っている
まるでお城のような お家に
肌の色も 髪色も 真っ白い雪のような子ども
5歳の男の子
表情は乏しく 雪のように冷めている
どこか悲しげな瞳に 映るものは
拳を振るう大人
血がたくさん出て、
白い雪を赤くする。
絶えることのない雪が
静かに降り積もって、
裸足の少年は 冷たい息を吐く。
毎日 毎夜 ずっとこう。
ちっぽけな満月が 小さく光っている。
まるで他人事のように光っている。
月の美しさなど なんの救いにもならない。
大人の暴力に 子供は抗えない。
5歳の小さな手は
ずっと外にいる寒さで赤くなっている。
雪が 降って、降って
冷たさに泣きそうになる
でも どうにもならない。
どうにもならないのだ。
大きなお屋敷には たくさんの人が仕えているけど
誰にも どうしようもできない。
ここは 閉鎖された お城なのだ。
雪の上 血が広がって
それでもまた降り積もって
その血すら埋めていく。
少年の頭にも雪が降り積もって
少年は静かに目を閉じる。
生まれてから
愛されるを知らないから 愛するもわからない。
痛みはもう感じない。
凍っているから大丈夫。
大人は 大きくて
絶対的なもの。
大人は間違わない。
大人は正しい。
大人がそう言うのだから そうなんだ。
真っ黒い夜に ちっぽけな月に
真っ白い雪に 真っ赤な血を流しても
何も変わらない。
毎日続いて、
雪みたいに降り続ける。
自分も真っ白になって、
雪みたいに なってゆく。
雪に咲く花を 踏んで歩く大人は
あかりの灯る大きな屋敷に 帰ってく。
真っ黒い闇から 白で塗りつぶすように
少年に 降って 降って 埋めていく雪。
目の前は 黒くなって 白くなって
やがて冷たさも なくなった。
少年の体は
どこまでも 冷たくなって
雪に埋もれて 見えなくなった。




