【★8】大魔法『ステータス』
再来!「ステータス オープン!」
さて。
『誰でも小説を発表出来る』時代の到来は、再び逆転現象を引き起こします。
『ネット小説』の登場によって、『ライトノベルに餓えていた』読者の読書量を、遥かに超える量の『ラノベ』が書かれる時代となりました。
好きに読めるなら、好みの物を読むのは当然です。
書く側は『好まれない作品』を書いても『読まれないだけ』の時代となりました。
書いても人気が出なければ埋もれるだけ。
ならば…人気のある作品の模倣をすればよい!
『テンプレ』の誕生です。
読む側は、重厚な芸術作品を読みたい訳でも、難解な哲学思想に浸りたい訳でもありません。
気楽に読める、気分転換になるような『軽文学』を求めている訳です。
そうした時、事前に知識を求めるような文学では『無駄な』ストレスを読書に与える結果となります。
一方で『テンプレ』であれば、読書がその『テンプレ』を知っている事を前提とすれば、大幅な説明的な記述を省く事が出来ます。
判りやすい例が『ステータス』です。
もし、ステータスに表されるような能力と成長を物語として表そうとするなら、ステータスの1項目毎に戦闘をさせて、比較を言葉のみで表現する必要が発生します。
適切な敵を用意し、比較対象とも戦闘をさせて、その後に能力が向上した主人公に易々と撃破させて…
そう、某少年漫画雑誌に頻繁に掲載されるような『敵のインフレ、味方のデフレ』と呼ばれる、あの戦闘を毎回文章で書かなければいけない訳です。
・・・しかし、ステータスの変化の提示で済むのなら、そしてその値の変化が、著者と読者の間で『テンプレ』として『意味の共有』が謀れるのなら。
結果として数千文字、しっかりと描くのであれは数万文字にも及ぶであろう登場人物の能力向上を表現する為の描写が、たったの数行で済んでしまうのです。
『ステータス』は余りに判りやすいテンプレです。
同時に『ステータス』が、『テンプレ』などと言う言葉はおろか『ライトノベル』の発祥よりも更に古い、半世紀以上もの歴史をもつモノであることは、ここまてこの駄文を読んで下さった読者さんにはもはや自明でしょう。
同時に、『テンプレ』の代表として『ステータス』を挙げられると言うことは、それらの『ファンタジー系のラノベ』が、(日本では)ドラクエから始まる『ファミコンRPG』からの流れの末にあることも自明となります。
ドラクエから中間に各種のゲームや漫画・アニメを挟みながら、量産再生産れながら、再び文学へと還流された『ファンタジー系のラノベ』は、その大源流に『指輪物語』という原点を持ち、その原点は神話や民間信仰(特にイギリスのケルト系神話)を下敷きに生まれたものだった訳です。
実は・・・「なーろっぱ」の世界は、英国の「ケルト系神話」が源流なんですよね。
そこへ、フランス系の「騎士道物語」が流入して「ファンタジー文学世界」が生れ、TRPGのネタ探しで世界中の神話のキャラを吸収し、CRPGのネタ探しでは漫画やアニメの定番キャラまで吸収してしまったと言うわけです。
そして・・・そこから説教臭い「マザー・グース」のような雰囲気を差し引くと・・・「ヒャッハー!」の出来上がり。。。