【★4】その名は…
さて、いよいよ「みんな知ってる」あのゲームの登場です。
ファミコンが登場した頃、パソコン界隈では様々なCRPGが誕生していました。
しかしファミコンのような『玩具』のユーザーには、『難し過ぎる』ゲームだと考えられていました。
…なんせ、魔法を英語でキーボード入力するよーな代物だったので。
そこに、ファミコン向けのゲーム作者となった人物で、CRPGが大好きな『人物』が居ました。
うん、みんな誰の事かは想像ついていると思うので、引っ張るのは止めましょう。
『堀井雄二』氏です。
パソコンゲーム好きの彼は、とあるゲームのプログラムで賞を取り、そして2作目でスマッシュヒットを飛ばします。
まだ、ドラクエじゃないですよ(笑)
『ポートピア連続殺人事件』。
後に『作品を知らないひとでも、そのネタバレは知っている』と言われた、稀有なアドベンチャーゲームです。
アドベンチャーゲームもパソコンで大ヒットしていた分野で、そしてCRPGと並び、『玩具』のユーザーには『難し過ぎる』とされていた分野の作品です。
しかしこの『ポートピア連続殺人事件』は、様々な調整の末にファミコンで発売され、前述の通り『ネタバレ』が伝説となる程の大ヒットとなるのでした。
そして…氏は、CRPGのファミコン化に着手します。
CRPGは、二つの側面を持つゲームです。
ロールプレイに由来する、「物語の役割を演じる」という楽しさと、D&Dから受け継いだ、「成長システム」の楽しさです。
氏はその経歴的に、ストーリィテリングに長けていました。それが後に言う『堀井節』です。
またシステム面では、大好きだった『ウィザードリィ』と『ウルティマ』から好みの部分(遊び易い部分を組み合わせ、『ウルティマ風のマップ』を移動し『ウィザードリィ風の戦闘画』で戦う、という複合システムを作り上げました。
また、パソコンではコマンド入力式であったインタフェースを、『ポートピア連続殺人事件』の移植で培った、コマンド選択式に纏め上げます。
そしてシステムの徹底した簡略化により、『ルールを知らない子供でも遊べる』ゲームに仕上げることに成功しました。
ここに、『ドラゴンクエスト』が誕生します。
発売元が期待していなかったこともあり、当初はさほどの人気ではなかったドラクエですが、口コミなどで次第に人気が向上して行きます。
そして続編の発売時には『社会現象』を引き起こす程の超大作となります。
なお、堀井氏の目指した『ファミコンで遊べるCRPG』は、ドラクエ3で『完成』します。
ロト三部作と後続作品との異差、そして発売間隔の拡大の理由は、ドラクエが『一旦完成してしまった』からなのです。
ドラクエこそ、「なーろっぱ」の直系の祖先と言えるかもしれません。
中世に通じる「キリスト教観世界」を肌で知る欧米で生まれた、『ウィザードリィ』と『ウルティマ』。
対して、中世をフィクションでしか知らない「日本人」が生んだ『ドラゴンクエスト』。
その差は非常に大きいものがあったと言えるでしょう。
更にその差を広げるのに一役買ってしまったのが、『鳥山明のデザイン』と『すぎやまこういちの音楽』なのも事実です。
ちなみに・・・「すぎやまこういち」氏は当時すでに大作曲家としてその地位を確立していた人物だったのであまり知られていないようですが、実は「ゲーム大好き人間」だったりします。
生前は「日本バックギャモン協会名誉会長」でした。