表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

【★1】指輪物語

『トルーキンは「ファンタジー文学あれ」と言われた。すると「ロード・オブ・ザ・リング」があった。』

『初めに「The Lord of the Rings」有りき』。

あまりに有名な『有名物語』。

(和訳版は、ヘボいので有名ですが)

ファンタジー文学の原点にして最高峰。

全てのファンタジーは、この作品に始まりました。


『指輪物語』以前の作品では、「剣と魔法の世界」と言えば「お伽話」でした。

まぁ、「騎士道物語」のような近世の上流階級婦人の好みで生まれた物語や、吟遊詩人が神話を翻案して作り出した作品はありましたし、近代では児童文学としてのファンタジーは誕生しましたが、『文学』と呼ぶには少々稚拙でした。

(のちに『指輪物語』の前日旦となる『ホビットの冒険』を含めて)

余談ですが『指輪物語』が「文学」としての充分な体裁を得る事ができたのは、『ホビットの冒険』の主ターゲット読者であった長男の成長に伴うものであろうと思われます。…後にこの長男は、父の遺稿をまとめて、数冊の出版を行っています。


『指輪物語』は良くも悪くも、後の『全ての』ファンタジーに影響を与えました。

まぁ、「指輪物語なんか、読んでないぜ」というラノベ作者も少なくないでしょう。

しかし、そうした作者に影響を与えた作品へ、直接的間接的に、指輪物語は影響を与えているのです。

惜しむらくは和訳の最初の訳者が稚拙過ぎた為に、原作のギミックが失われたりして、日本での直接的な影響力は低下していますが…

(最悪の例は『野伏』。日本人にすらマイナーなこの単語の本来の名称『レンジャー』です。そして彼らの『バッチ』は星形。つまり保安官のバッチの暗喩なのですよ。他にも多数の『ヘボ約』が溢れ返ってますが。)


さてこの『指輪物語』、その根底には、実は『キリスト教的世界観』があります。

指輪物語本編では遮蔽されていますが、後に出版された『シルマリル』という短編集(もしくは設定集)では、世界観のバックボーンを描れており、その辺りが明瞭に現れています。


なお、『指輪物語』では『魔法』はあまり強く描れていませんが、それでも(イギリスが持つ)中世的な魔法観は存在しているようです。

その辺りで、『ローマカトリックが正当とした』アリストテレスの四大元素説が混入する素地となったのでしょう。

(『指輪物語』に登場する『魔法』は、魔術ではなく科学技術てはないか?という観点もありますが…ガンダルフがホビット庄の為に花火をあげる描写がありますし。まぁ、余談ですけどね。)

余談ですが、よく知られているように、『指輪物語』は『ホビットの冒険(原題:The Hobbit, or There and Back Again)』の続編です。

その『ホビットの冒険』ですが、体裁は明らかに「児童文学」です。


『ホビットの冒険』も『指輪物語』も、トルーキンが構想したのは1920年代のようですが、出版は『ホビットの冒険』は1937年、『指輪物語』は1954年と、17年もの開きがあります。


さて。『指輪物語の批評家にして編者』とも呼ばれる、トルーキンの末っ子クリストファは1924年生まれ。

『ホビットの冒険』出版時には13歳だった彼も、『指輪物語』出版時には30歳です。

『ホビットの冒険』が「児童文学」であり、しかし『指輪物語』は「ファンタジー文学」となった理由は、やはり彼の「第一読者」としての存在が大きかったのでしょう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョン&ドラゴンズとか、懐かしいですね。 ゆり様はTRPGとか詳しいようですね。 P.B.M(プレイ・バイ・メイル)ゲームは詳しいのでしょうか?(私はホビー・データのしかプレイしていま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ