エピローグ
私は今日も待っています。
彼が、帰って来る日を……。
四月――――
私は、まだ待っています。
私は高校二年生になりました。
お姉ちゃんが始めた新しい仕事は、やっと軌道に乗ったようです。
お姉ちゃんは、とてもいい人です。
まだまだぎこちなさは残っているけど、家族として向き合ってくれています。
高校には行けなかったけれど、そのハンデを乗り越えて、一生懸命頑張っています。
六月――――
私は十七歳になりました。
誕生日プレゼント……。
あの日。私達が離れ離れになった日に、あの人がくれた腕時計……。
クリスマスプレゼントとしてだけではなく、遅い誕生日プレゼントも兼ねて、この時計を貰いました。
私は、この時計を見る度に、あの人のことを身近に感じます。
離れていても、私達はいつも一緒なんです。
九月――――
文化祭で、K高校の男子に付き合ってくれと告白されました。
でも、私はすぐに断りました。
だって、私にはあの人が居るから……。
あの人が戻ってくるのを待っているから……。
十月――――
部長と神代先輩が引退するタイミングで、私にチアリーディング部の部長をやって欲しい、と言ってくれました。
私は引き受けるつもりです。
だって、もっと自分を磨いて、あの人に相応しい人間になりたいから……。
再会したら、成長した姿を見せて驚かせてあげなきゃ。
十二月―――
クリスマスなのに独り。彼は側には居ない。
だけど、寂しくなんか無い。
彼が今、必死に受験勉強を頑張っているんだもの。
今年は、家族三人でパーティーをして過ごします。
一月――――
お正月に、彼の受験に向けて、合格祈願のお守りを買って送りました。
そろそろ、彼の受験の日が近づいて来ました。
私は、無事に彼が合格してくれることを祈っています。
焦らずに、普段の勉強の成果を出し切って欲しいです。
そして、二度目となる四月――――
桜の舞う季節に、氷上町へ彼が帰って来ました。
「美雪、ただいま」
「お帰りなさい、ゆーちゃん」
帰ってきた。
ついに帰ってきてくれたんだ!
美雪は、勇也に抱き付いた。
大学生になった勇也は、精神的に成長して、ひと回り大きくなったように感じられた。
より自信を得て、大人になっていた。
勇也は美雪の頭を優しく撫でる。
「俺さ、壇ノ浦の家に下宿させて貰うことになったんだ」
「ふふ、それはまた大変な毎日になりそうだね」
「……そうだな」
勇也は美雪を見た。美雪も勇也を見る。
「不安なことも多いけど、それよりも、美雪とのこれからが楽しみで仕方ない。今日からよろしくな」
「うんっ!!」
ふたりの新しい生活は、これから始まる。
- END -
全35回に渡る更新、ご拝読いただいた方々ありがとうございました。
分割投稿していく中で、12/24更新の34話目がクライマックスのクリスマスシーンに出来たのは、偶然ではあるのですが、良い感じになったかなと。
夢の少女のお陰かもしれません。
主人公である勇也の成長物語。
色々な人と出会い、恋をして、最後の最後で少し大人になったと思っています。




