ひとまずは予習
書物の解読、私に出来ることはこれだった。
正直な話し、この書物はとても大事だと思う。
宝玉に関する、何か重要な記述が存在してる筈。
ランちゃんの家にあった高度な錬金術で出来た扉。
そして、相当な技術が必要であるギミック。
これ程高度な錬金術が施されてたんだ。
そこまでして隠してる部屋にあった書物。
知性がある魔物が狙ってる大きな力を持つ宝玉。
その宝玉が関連してないとはとても思えない。
「うーん、お父さんもお母さんも知らないんだね」
「うむ、この言語はサッパリ分からないな」
「見覚えはある気がするけどね~、文字の雰囲気とかね」
「私もだよ、多分だけど今使ってる文字の原型だと思うの」
今、私達が利用している文字の原型。
だから、ある程度の情報を推測出来たと言えるね。
「うぐぐ……お父様、お母様は?」
「み、見覚えが無いな……」
「えぇ、初めて見るわ」
当然だけど、ランちゃんのご両親も分からない様だった。
過去の文字で記された、謎の書物。
紙が結構カサカサだし、いつボロボロになるか分からない。
一応、保存する方法として収納に入れてるけどね。
一応は時間停止だとか時間操作だとか
そういう技術を利用して製作した収納だからね。
ここに入れてる限り、この紙の安全は確かだよ。
とりあえず、私はその書物に書いてあった文字を
別の紙に寸分違わず模写することにした。
流石に時間が掛ったけど、1週間以上は引きこもったね。
でも、これは重要だからね。可能な限り原文は維持してたい。
少なくとも師匠が帰ってくる前の間だ、この書物は守らないと。
「うぅ、ナルミ。一応国王様にこのイヤリングのこと聞いてきたけど
国王様も何も知らないんだって……」
「うーん、文字の方はどうだった?」
「えぇ、あなたが模写したのを持ってったけど、分からなかったそうよ」
「そうかぁ」
やっぱりかなり昔の書物らしいね、あれは。
「でも、見覚えはあるそうよ。国の図書館で見た記憶があるらしくて」
「そうなの?」
「えぇ、お姫様が見付けたそうよ、あ、末っ子のクリア様ね」
「クリア様? 小さいの?」
「そうね、エルザ位よ。あー、そうだナルミ。
どうせあなたの事だし、王家の方々の名前……」
「……し、し」
「知らないわよね?」
「は、はぃ」
うぅ、ま、全く知らないんだよね……あ、あはは。
「はぁ……あなたは私の護衛って役回りなのよ? 知っててよ。
城に行くって言うならなおの事ね。どうせあなたの事だし
あれでしょ? 城の図書館も調べに行こうとするんでしょ?」
「そ、そうだね」
「だったら、覚えてなさいよ。一応教えるから」
「は、はい」
そ、そうだよね、城に行くってなると出会うかも知れないもんね。
そのタイミングに名前が分からなかったら……お、怒られちゃうし。
「まずは王子よ、まぁ王子様は1人だけだけどね。姫様は3人居るけど
まぁ、次期国王様ね。彼は金色の髪の毛と青色の瞳をしてるわ。
名前はクアトールと言う名前ね。
あ、容姿はイケメンよ。爽やかな雰囲気が凄い人ね。
服装はまぁ、一目見るだけで王子だと分かるだろうから言わないわ。
強いて言えば、まぁ水色の服装に真っ赤なマントを纏ってるわ。
エリやマントは金色で、そこまで大きくないけど金の王冠を被ってる。
宝石は殆ど無いけど、まぁ純金らしいわ。絶対重いわね」
「金は重いからね」
黄金は大体凄く重たいからね、金の延べ棒も重たいし。
まぁ、私はダイヤモンドも金も作れるから
そこら辺、さほど高級とか思わないけど。
実際は凄く価値がありそうだよね。あまり開拓できてないし
金脈とかもあまりなさそうだもんね。
「で、次は長女のナターリア姫、彼女はまぁお姉さんね、うん。
ブロンズの爽やかな長い髪の毛よ。因みに髪色だけど
彼女は国王様に似てブロンズなのよね。サラサラヘアーよ。
瞳の色は青色。まぁ、全員青色なんだけどね、瞳の色。
髪の毛はブロンズや金だったりするけど、瞳は青。
そうね、宝石のように煌びやかで透き通った色らしいわ。
五大貴族は結構髪色は母親と同じになるけど
王家の場合は違うのよね。中々面白いわよね」
「そうなの?」
「そうそう、私のお母様も赤髪でしょ? で、私も赤髪。
一応、他の五大貴族の話も聞くことあるけど
全員、母親と同じらしいわ。あ、長女はね。
次女とかはたまに父親と同じ髪色になるそうだけど
長女は皆母親と同じ髪の毛になるのよ。何か面白いわよね。
まぁ、中には男しか産まれない家系や女しか産まれない家系
そう言うのがある訳だし、不思議無いのかもね。
でも、五大貴族は全員、第一子は確実に女の子らしいわよ。
詳しい事は知らないけどね。たまに交流する時に会話するだけだし」
「ふーん、そうなんだ。そう言えば五大貴族って全員」
「えぇ、次期当主は女性。と言う訳で、私はファイル家次期当主よ。
ふふん、まぁ偉大になる予定だから、今のうちにサイン欲しい?
とか言ったけど、私よりもあなたの方が偉大になりそうよね」
「そんな事無いよ」
うーん、やっぱり家系によって遺伝の仕方って違うんだね。
私とエルザも若干違うし、やっぱりそう言うところはまだ分からない。
研究するのも良いかもだけど、何だか生命の冒涜になりそうだね。
……正直、ホムンクルスとか作れそうだけどね。
「まぁ、脱線はここまでにしてお姫様の容姿について話すわ。
髪の毛と瞳の色は説明したとおりで、次は服装ね。
と言っても、服装は大体姉妹全員で共通してるそうよ。
違いは色と宝石だけで、それ以外はほぼ一緒よ。
じゃあ、説明するけど。そうね、分かりやすく言うと
ウエディングドレスあるわよね、ほら結婚するときに着る」
「うん、あるね。それ?」
「そうね、元はそれだとは思うわ。素材とかは絶対違うだろうけど
そんなウエディングドレスに、沢山の花を飾り付けてるわ。
首元にはそれぞれ宝石があって、これは姉妹で違うそうよ。
ナターリア姫の場合はここに大きなサファイアがあるわ。
王冠は白銀のティアラで小さくパールを加工した装飾があるわ」
「そこまで教えてくれなくても良いんだよ? 容姿と名前だけで」
「あなたって、結構ロマン無いわよね。大事よ? こう言うの。
因みにサファイアは高潔・深い海・崇高とかの言葉があるわ」
「あるね、花言葉みたいな感じかな」
「そうそう」
やっぱり綺麗な物には言葉を付けたいのかな。
私にはそう言うのは分からないからなぁ。
「で、次女ね、名前はファルナ様よ。
髪の毛は金色で、結構活発な部類に入るわ。
髪型はショートで、そうね、私と同じ様に剣術を鍛えてるわ。
ドレスを着てるときもあるけど、大体は活発な格好よ。
まぁ、あなた達が行ってる学校の鎧を着てることも多いそうよ。
私はその姿を見たことは無いのだけど、何だか話をしてるときは
結構うずうずしてる雰囲気があったわね。活発なのは違いないわ。
あー、因みにドレスの時の宝石だけど、カルセドニーだそうよ」
「ほ、宝石は」
「一応言わせてよ、大事よ? 宝石って私達からしてみれば。
ま、まぁ深くは言わないわよ、うん。興味なさそうだし」
私はそう言う装飾品には殆ど興味が無いからね。
「で、最後は三女ね、名前はさっき言ったけど
もう一度言うとクリア様よ。
髪の毛はブロンズでショートヘアーよ。
何だかファルナ様を尊敬してる様で容姿も似てるわ。
活発さで行けば、ファルナ様の方が凄いけどね。
宝石はダイヤモンド。有名所よね、宝石では1番有名かも。
宝石言葉は言うまでも無く、永遠の絆・純潔・永久不変よ
ふふん、流石の無頓着なあなたでもそれ位は」
「し、知るわけ無いじゃんか……」
「…………」
ら、ランちゃんの目が滅茶苦茶痛い気がするよ。
じ、ジト目って奴だっけ……呆れてる感じ。
「……あなた、本当に興味無い事は何も知らないわね……」
「そ、そうだけど、だ、ダイヤモンドを簡単に作る事は」
「そう言うのは良いの! 夢が無くなるでしょうが!」
「あ、は、はい」
うん、そうだよね……うん、やっぱり夢が無くなるもんね。
私が本気を出せば、正直何カラットのダイヤでも出来るし
いやうん、やっぱり宝石に価値を見出してる人からしてみれば
やっぱり錬金術って天敵みたいな技術なんじゃ無いかな……あはは。
「はぁ、いやさ、正直あなたなら何カラットでも出来そうよね。
いや、あなたの事だしカラットとか知らないか」
「それは知ってるよ」
「何でそれは知ってるの!?」
「言うまでも無いね、訓練で宝石を錬金したからだよ!」
「そう言うの止めてよ! 夢が無くなるわ!」
「評価基準はカラット、つまりは大きさだね。
で、宝石の綺麗さ。自慢だけど天然の宝石よりも綺麗な」
「止めてー!」
「あ、はい、ごめんなさい」
うー、ちょっと自慢したかったんだけどな。
師匠から天然の何倍も綺麗ね、合格って言われたし。
「うぅ、れ、錬金術が発展したら……宝石の価値暴落するわね…」
「需要は増えるよ? 一般人でも手に入れることが出来るような
そう言う安価な宝石をオーダーメイドで出来る訳だからね」
「あ、あなたやアミルテットみたいな奴しか出来ないと……信じたい」
「勿論出来ないよ! 綺麗な宝石を用意するのは難易度が高いからね。
私もかなり試行錯誤したよ。師匠から与えられた第一試練。
1年は掛ったからね。宝石を綺麗に作るのは大変なんだよ。
まずね! 自分の魔力を相当消費するんだよ! 純度も上げてね!
宝石の要素や構成を徹底的に解読して、その上で作るからね!
それに師匠が作った宝石が判断基準だからね。あ、適当に作った奴だよ」
「適当で宝石作らないでよ!」
「師匠曰く、天然の宝石とか適当でも出来るわよそんなのって」
「止めなさい! 私の夢とか価値観が音を立て崩れてるのが分かるから!
私の今まで何だったの? ってなるから!」
「師匠が本気を出せば、国宝の宝石とかよりもエグいの出来るって!
多分、師匠が探してる宝玉が天然で1番綺麗なんじゃ無いかな?」
「うぐぐ……そ、そんな宝石知らないわよ。
まぁ、私の耳に不意に付いたイヤリングは
私が今まで見た全ての宝石の中で最も美しいけど」
うーん、あのイヤリングが師匠が探してた宝玉なのかな?
でも、師匠が探してたのは宝玉で、装飾品じゃ無いんじゃ?
でも、その宝玉を用いた装飾品……って可能性も。
「このイヤリングは多分ルビーだけど、ここまで赤く光るのかしら。
私が今まで見てきたルビーって、ここまで赤く光らないのよね。
このルビーはそうね、赤というか深紅。そこまで深くまた鮮明な赤。
うーん、情熱的な私には実に似合うわね。髪色も合ってるし」
「でも、最初外そうとしてたじゃん」
「そりゃ、不意に耳に付いたらね。まぁ、外せなかったんだけど。
今見れば、相当綺麗なんだけどね、このイヤリング。
でも、装飾品があるって事は、何処かに原石があるのかしら?
それがあんたの師匠が探してた宝玉? でも、魔物が狙うの?
と言っても、不意に動いたりしてたし……何かあるんでしょうけど」
実際可能性は高いよね、あのイヤリングが師匠が探してる宝玉を
加工して作った装飾品。でも、あの装飾品を狙ってる可能性も……
うーん、何もかも、まずは師匠が帰ってこないとどうしようも…
「まぁ、これの秘密を探ってるわけだし深追いは無意味かしら。
とりあえずまぁ、王家の方々の容姿と名前は説明したわよ。
もし図書館であった場合、失礼が無いようにね。
まぁ、私も一緒に行くわけだし目は光らせてあげるわ。
あんたが王家の方々に失礼な事をしないようにね」
「あ、ありがたいよ。私、権力とか特に気にしてないし」
「……いやまぁ、五大貴族の長女である私に対して
滅茶苦茶失礼な態度を平気でするし、知ってるけどね?」
「し、失礼かな? てか、気にしてる?」
「気にしてたら一緒に居ないわよ。まぁ、私としても
その、あんたみたいな……馬鹿が居たから助かってて…
あ、あんたが馬鹿じゃなかったら、ほら、仲良くなれてないし」
「あのー…ランちゃん? 照れ隠しなのは分かるけど
当たり前の様に私を馬鹿って言わないで欲しいんだけど……?」
「い、良いじゃ無いの今更! ほ、ほら! 行くわよ!」
「むー、慣れてるけどねー、じゃ、行こうか」
「えぇ」
国の図書館に本当にあるのか…全力で探さないとね。
重要な事であることは間違いないんだから。




