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凄く自然な墓穴

「今日は一時転校生を紹介します」

「転校生?」

「はい、ナルミさん!」

「はーい」


学校の先生に言われて、私は教室に入った。

何だか全体的にゴツゴツしてて無愛想な景色だね。

やっぱり兵士の教育をメインにしてるからだね。


「おはようございますー、私はナルミ・ファンゲージって言います」

「え!?」


私の自己紹介と同時に生徒の人達が全員一斉に驚いたように立つ。

おぉ、そ、そんなに驚かれるような事を言ったとは思わなかった。

でもそうだよね、何だか凄いらしいエルザのお姉ちゃんだし

学校の子達が驚いちゃうのも当然なのかな?


「はい、名字から分かると思いますが、彼女はエルザさんのお姉様です。

 今日から王都に用事があったそうで、しばらく滞在するとのことです」

「よろしくね~」

「よ、よろしくお願いします!」

「因みに彼女は魔法に強い適性があるそうです」

「魔法にですか!?」

「はい、ミルス騎士団長様からお伝えされた情報です」

「そ、それじゃあ、ど、どんな魔法を!?」

「え? そんな話をするの?」

「はい、魔法は珍しい部類に入りますので」

「じゃあ……まずは属性の魔法は大体全部扱えるよ。

 基礎から上級魔法を扱えて、特殊魔法も使えるね。

 マジックレインも使えるし、結構色々とね。

 あまり使わないけど、主に使うのは錬金術で」

「はぁ!?」


おぉ! せ、先生含めて同時に驚きの声を!?

あ、も、もしかしてお父さん…私が錬金術を使えること

教えてなかったのかな…じゃあ、私、墓穴掘ったかも?


「れ、錬金術ですか!?」

「あ……じょ、じょじょ、冗談です!」

「お姉様、諦めて……もうそれは通らないでしょ」

「うぅ…お父さん伝えてなかったんだね…失敗したよぉ」


どっちにしても、かなり目立っちゃうのは分かってたけど

まさか、開幕ここまで目立つことをしちゃうなんて。

最初は自力で頑張ろうと思ってたけど……うぅ、難しい。


「まぁ、あれね。仕方ないという奴ね。

 ナルミって結構馬鹿だし、抜けてるからね。

 隠して目立つとか無理でしょ?」

「痛感したよ……」


あはは、え、エルザにもしてやられちゃったり

お父さんに説得されて、渋々学校行っちゃって

結果目立つことをしちゃって、あ、あはは……無理かも。

私って何か隠すの本当に苦手だね……あ、あははぁ…


「れ、錬金術……相当な技量と時間が必要と聞きました…

 国で今、最も重宝されている稀少技術……」

「お、覚えてる人はアミルテット様を除けば

 総じて年老いていると聞いてたのに……」

「だ、だから、じょじょ、冗談! 冗談だよ!

 つ、掴みとしてはほら、凄く良いかなって!」

「必死に隠そうとしても、もう遅いよお姉様」


うぅ、もう逃げられない。くぅ、やっぱり失敗したよ。

人が沢山居るところに行くと、どうしてもボロが出ちゃう。


「錬金術、わ、私達も学びたいです! 錬金術を極めれば

 国に最重要で重宝されます。きっと出来るはず!」

「シャンちゃん、ハッキリ言うけど……無理だと思う」

「え、エルザ! 私は負けない! 私はあなたに勝つために

 れ、錬金術を極めてみせる!」

「え? ライバル? ライバルなの? あの子、あなたの」

「そうですね……学園2位の子です」

「ふーん、あ、そう言えば今思ったんだけどエルザちゃん」

「何ですか?」

「私、ここに居て良いの? 生徒としてきたわけじゃ無くて

 私、一応来賓というか、そう言う立場で来たんだけど」

「良いと思います、先生も何も言ってないですし」

「ふーん、なら良いか。それともうひとつ。

 あなた、中等部じゃないの? 年齢的に」

「私はもうすでに高等部です。飛び級しました、

 お姉様と同じ教室で学ぶために」

「……そ、そう」


そんな理由で飛び級って出来るんだ、飛び級ってよく知らないけどね。

とりあえず、中学生だけど高校生って事で良いんだよね。


「えっと、とりあえず錬金術……あ、扱えます」

「ミルス様は何故何も教えてくれなかったのでしょうか…」

「忘れてたのかな…あ、あはは」


少しだけ動揺しながらも、ひとまず授業になった。

まぁ、私が来たと言うことでとりあえず魔法の基本からだね。

常識中の常識、完全に基礎中の基礎だけど基礎はどんな時も大事。


どれだけ努力しても、基礎が出来てなければ無駄。

全てにおいて重要なのは基礎であり、あらゆる基板になる。

基礎をしっかりとしていない人間が難しい事をしても確実に失敗する。


師匠はいかなる場合でも基礎を無下にしてはならないと言ってた。

だから、私もこの基礎中の基礎を再確認しよう。

だって、基礎が出来ていない人間は大成しない。


「先生! もうそんな話は良いから! 応用を!」

「駄目よ、基礎は大事なんだから」

「何度同じ事を! それに錬金術を使える人が

 今更魔法の基礎なんて習っても退屈し

 あれ!? 普通にメモ取ってる!?」

「んー? あ、私かな? メモは取ってるよ?」

「ど、どうして……基礎なんて今更!」

「基礎は大事なんだよ、私の師匠もいつも言ってたからね。

 基礎が出来ない人間は何をしたって大成しない。

 基礎を馬鹿にする奴は、そもそも才能無いわよって」

「な!」

「人生の大先輩の言葉は聞くべきだよ-?

 先生が大事だって言うなら、それは大事なんだよ。

 あなた達に取って、学校の先生は師匠なんだから」

「うぅ……」


あ、大人しくなったね。やっぱり衝動的に動いちゃうのかも。

何だか、対抗心が凄いせいで大事な事を忘れてる感じするね。


「でも、私はもっと頑張らないと、エルザに勝てない……

 年下に負け続けるなんて、私のプライドが」

「未来だよ、私達に取って大事なのは未来だよ。

 勿論、今もとても大事だけど、今は未来への道中でしか無いの。

 大丈夫だよ、理想を思い描いていれば、強くなれるんだ。

 焦って理想を忘れちゃったら、道を見失っちゃうよ?」

「……」


あ、ちょっとハッとした表情の後に口を閉じちゃった。

や、やっぱり知ったかぶりしすぎかも…全部師匠の受け売りだしね。


「ナルミ様……」

「およ?」


なんか変な視線を感じる気がするよ……全方位から。

なんだろう、凄く恥ずかしい……


「やっぱりお姉様には勝てないな……分かりきってるけど」

「ナルミって、意外と良い事言うのね、抜けてるイメージしか無かったわ。

 ナルミもだけど、多分あいつも相当凄いって事ね。

 ただの研究馬鹿だと思ったら、ただ時間にうるさいだけじゃ無いのね」

「な、何だか空気が変な感じだけど、と、とりあえずだよ?

 基本って凄く大事だから、基礎を確実に物にしようね?」

「はい!」


おぉ! 同時に生徒達が返事をした……何だか今日は驚いてばかりだよ。

やっぱり小さな村に居たからなのかな、同世代の子が多いって言うのは

何だか慣れないよ。そんなに嫌な感じはしないけどね~

色々な思いだとか、考えだとか、そう言うのを知れそうだもんね。


沢山の人が居て、その全ての人にそれぞれ違う物語がある。

数多の物語の上に今は存在し続けてると言える。

そして、この物語は終わらない。1つの物語が消えようとも

また次の物語が歴史を紡ぐ。終わり続けるからこそ終わらない物語。

それが今と言う無限に続く名作ってね。


師匠は本当に普段飄々としてるけど、やっぱり凄いよね。

こう言う場面で色々な言葉を思い出すよ。

まるで何か悟りを開いているような、そんな凄い師匠。

憧れるなぁ、技術だけじゃ追いつけない大きすぎる存在。

いや、追いつく必要は無いのかも知れないね。

師匠とは違う道を私は常に歩んでるんだから。


「楽しみだよ、皆が今までどんな時間を過ごしたかを知るのが」


無意識に小さな声で私は呟いちゃった。

うん、楽しみだよ。まだ時間もあるしね。

師匠に少しでも近付くために、これから別の物語を紡ぐために。

私は私にある限られた時間を、最大限に使っていこう!

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