表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女性ファースト  作者: 七星北斗
10/12

9 「意義あり」

 コッコッと足音を響かせる。彼女は席に着くと、今日も第一声を放った。


「大帝国鉄学議会を開始します。皆様ご着席をお願い致します。本日の議会は財政悪化のため、財政緩和政策について話し合いたいと思います。意見がある方は挙手の上、お願い致します」


 縦ロールでゴスロリの少女が挙手をする。


「はい」


 アニメ声の可愛らしくて幼い声が響く。しかし、彼女の性格は可愛くない。


梶霧葵(かじきりあおい)国土交通大臣」


 煌羅に答弁の許可を得た葵は、立ち上がり弁舌を始める。


「男性が生きていられるのは、私達のおかげですので、男生税とかはいかがですか?収入に合わせて一パーセントを税金として納税させては?」


 宮野日向は今日も通常運転である。葵の意見に食い付き、同意の言葉を述べる。


「賛成ー。賛成ー」


 しかし、その意見を是としない女性が立ち上がる。


「その意見には反対です」


 煌羅は立ち上がった彼女の意見を促す。


「未来防衛大臣」


 怒りを露にしながらも冷静に反論をする。


「そんなのは不平等です。男性と女性は仲良く出来る。そうは思いませんか?」


 議会の雰囲気が重くなった。


「思わない、全くそうは思わないけどーっ」


 しかし、漫画ティーシャツのボサボサ髪の少女の一言が、議会を切り裂く。


「意義あり」


 アウェーの中で彼女は異を唱えた。


海老名千佳(えびなちか)情報通信技術(IT)政策担当」


 伊達眼鏡をクイッとする。千佳は伊達眼鏡を外すと、地面に叩きつけて踏み砕いた。唖然とする中、どうやらスイッチが入ったようだ。髪を整え、美しく磨かれた刀剣のような鋭さのある雰囲気に変わる。彼女曰く、眼鏡が嫌いで、徹底的に眼鏡を壊すことで、気分がスッキリして頭が回るようになるとのこと。


「貴女方は馬鹿デスカァー?ただでさえ男のデモが多いのに、そんなことをしたら暴動が起きますよ。それよりも現状を改善できる案が御座います」


「馬鹿、本気で言われてますか?それは私達に対する侮辱です。撤回してください」


 千佳は涼しい顔で微笑する。


「海老名千佳情報通信技術(IT)政策担当、続けてください」


 煌羅はヤジを静止させて、千佳の意見に耳を傾けさせる。


「では、私の案を話させていただきます。現在の税金の使い方ですが、かなり無駄があると感じています。そこで、税金の支出を調べたところ。多額の税金が私的利用に使用されていることが発覚しました」


 議会内はざわつき、誰がそんなことを?っと結論を求める。


「梶霧葵国土交通大臣、貴女達ですよ。ですが、現在の法律では貴女達を裁くことが出来ません。ですので、私的利用分の梶霧葵国土交通大臣の給料カットをすることを進言致します」


 葵の顔は青ざめた。そして、煌羅は結論を出した。


「梶霧葵国土交通大臣一派の給料カット及び賞与二十パーセントカットを命じます」 


 煌羅は葵の有能さは知っている。しかし、苦手なタイプだ。裁決を受けた葵は項垂れた。


「そんな…」


 葵はキッと千佳を睨み付け、議会が閉幕するまで無言であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ