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短編集  作者: ホムラ
12/24

「菜食主義の吸血鬼」

 ――喉が、渇く。

 

 深夜のマンションの一室。灯り一つ無い暗闇の中、一人の男が苦しんでいた。

 ベッドにしがみ付くように横たわり、爪を突き立てるように布団を握りしめ、歯ぎしりをする口元からはよだれさえこぼれている。

 何も知らない者が見れば、狂人と見間違うであろう有様である。

 

 ――喉が、渇く。

 

 ベッドの足元には、空になったペットボトルが何本も転がっていた。男は水を何本も飲み干したのだ。

 それでも男の渇きは満たされない。喉の奥がひりつき、疼き、アレを寄越せと本能が叫ぶ。

 

 ――血ヲ、喰ラエ!!

 

 男の身体を支配する真っ赤な衝動。吸血衝動だった。男は吸血鬼なのだ。

 

「――嫌、だ……!」


 汗だくになりながら、男が声を絞り出す。

 それは明確な本能への反旗だった。血を吸うという吸血鬼の本能、それへの叛逆。

 

「わたしは、すいたくない……!!」


 男は意識が朦朧となりながらも、自らの意志を示す。

 血を吸いたくない。ただその一心を。

 何故だ、と本能は叫ぶ。吸血衝動を強ませながら男に問いかける。何故血を吸いたくないのだ、と。

 それに対し、男はこう答えるのだった。

 

「あんな不味いモノ! 誰が吸うか!!」



「菜食主義の吸血鬼」END

 





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