第四話 四人目の共犯者⑫
(いったい何が起きた……?さっきの強い音、その割には……)
上半身だけを回し左右多は辺りを見回した。
(何も起きたようには見えない。しかしカッペリの反応、俺を見て……俺に何かが起きた?だとすれば……魔弾が俺に直撃した?)
今度は首だけを動かして己の全身を見る。変わったところはない。
(いやそれはない。じゃあどうしてだ?考えられることは3つ!①魔弾は俺ではない直ぐ近くの場所にぶつかった。②魔弾が実際オレに直撃したものの影響が無かった。③その他。例えば①や②の事象そのものが初めから起きていない。つまり幻想。)
視線だけを動かしカッペリの方を見る。
(②は恐らくあり得ない。さっき似たようなことはあったがアレはプラセンタの中でのことだろう。刺さっても血が出ないナイフがそれを証明している。問題は①か③……。両者とも確認する術はない、が仮に幻術だとしたら彼女の反応を残す理由があるだろうか?それ自体がブラフであるとも考えにくい……。それに魔弾の跡が何処にもないのは魔弾同士が衝突したからだと説明がつく。つまり最も可能性が高いのは①……!魔弾は俺にぶつかっていない!!)
左右多はカッペリの目を見て、
「大丈夫ッスよ」と声をかけた。カッペリは左右多の言葉に視線を上げて答え、そのまま上半身を右へ捻った。レモンと一瞬目を合わせる。そしてすぐに逸し、両腕を上げ、掌をレモンとポテトフライに向けた。掌から光の粒が現れる。それが両掌の上に一つずつ塊になって集まる。
レモンとポテトフライもそれを見て腕を上げた。しかしもう光弾はカッペリの掌から離れていた。二つの光弾がレモンとポテトフライに向かって直線に飛ぶ。
レモンとポテトフライは腕を下ろし、一瞬顔を合わせ、光弾がぶつかるスレスレで左右に散らばる。しかし2つの光弾も直線だった進路を2人を追うように曲がる。
レモンとポテトフライは下がり続ける。やがてレモンは左の、ポテトフライは右の壁にぶつかった。「ドンッ」とこれもほとんど同時で弾かれる。そして2人の後を追っていた光弾に両名とも直撃した。弾はやがて形を失い、破裂した水風船の中身を浴びるように、レモンとポテトフライの身体が光に覆われた。
そのまま2つの光は広がって、裏路地全体を照らす。左右多の目を灼き視界を奪う。やがて光がやんだ頃、レモンとポテトフライはもう倒れていた。
「やったのか!?」左右多は声を上げた。
「ええ……。」とカッペリが腕をゆっくり下ろしながら答える。
「ああでもまだ……!」左右多はカルーゲを思い出し、振り返る。あれ?――カルーゲもいつの間にか倒れていた。
「いやなんで……」
カッペリは「ええ、さっきたぶん……。たぶんさっきのが当たったのよ。」とつっかえながら答えた。
「ああ?えっ、ああ、そうなの……」
左右多はカッペリの態度が気になったが、まあなんか助かったぽいし、もういいやと目を瞑ることにした。喉に刺さったナイフはいつの間にか抜けていた。




