第四話 四人目の共犯者⑧
何が起きたのか分からない。否、実際の意識は死の直前に見る走馬灯が如く、ナイフの軌道をスローモーションで捉えていた。
「ちょっ……えっ………なっ……?」
事の全貌を知りながら、それでも理解できないポーズをとったのは、その現実を受け入れることが出来なかったからである。
(何がおきた……何がおきた……何がおきた!!!)
ナイフが喉元に刺さって14秒が経ったところで、ようやく精神が現実に追いついた。
(ま……まずは何が起きたか整理するんだ。ヤツは……カルーゲは"ナイフが欲しいのか?"と尋ねた。俺も確かにそんなことを言った……!そしてヤツはナイフを差し出した。あれは絶対そうだ!だって"やるよ!"って言った!!!しかし……)
「あっ……」
ナイフが刺さったままであることを思い出す。恐る恐る喉元に両手を持っていく。
(うっ、やっぱり刺さってる!……だがおかしい、痛
みが無いのはどうしてだ?もう手遅れってことか!?)
ここでもう一つの違和感に気づく。
(あ、あれ?なんで血が出てないんだ?つーかナイフを刺されたことが無いから分からん!……実際はこんなもんなのか?)
カルーゲの方を見る。既に7メートル後ろに退いていた。
(こいつならなにか知ってるはずだ。しかし何だこの……柄の先端から伸びているものは?チェーンか?)
ナイフの先端からのびるチェーンは、カルーゲの左手まで続いていた。
「何か言いてぇみたいだな?」
カルーゲが挑発するように聞く。
「どうなってんだよ、これ……?」
左右多は尋ねる形で質問に答えた。
「バカか?言うわけねぇだろ」とカルーゲはあっさり流す。
(そりゃそうだ。しかしナイフを刺されて俺は平気なんだ?もしかしてコレが魔法?)
実際は出血多量で既にお陀仏だ。この状況は明らかに現実離れしている。
(じゃあ問題はその能力、そこから見えるコイツらの目的!この状況……寧ろ好機!)




