第四話 四人目の共犯者⑦
「聞こえなかっな?カッコいいって言ったのよ。」と左右多は再び言い放つ。
「はぁ?さっきダサいって言ったじゃねえか!」
カルーゲは語気を荒げて反論した。
「ダサカッコいい……」
左右多の目に翳りが浮かぶ、もったいぶる言い方で。
「……は?」
しかしカルーゲの顔は"何言ってんだコイツ"と言わんばかりの表情である。
「だから解かんねーかなぁ……?ダサカッコいいっつってんの!」と左右多は呆れた顔になる。やれやれ、と。
「いや意味わかんねーよ!?」
「だから……カッコいいものはダサい。ダサいものはカッコいい、ってことだよ」呆れ顔にドヤ表情が交じる。
「……分かりませんねぇ。矛盾してますよ?」
ポテトフライも堪らず口を挟む。その言葉に左右多は一瞬怯んたが、すぐ真顔に戻った。
「つまりひと目見たときは俺もダサいと思ったんだよ。そういう時期もあった。しかし……しかし!!!」
左右多は続ける――
「一周まわってカッコいいッ!一周まわって燃えるッ!!!」
『 !? 』
「そしてそれはつまり――!つまり……俺には、ない。だがら欲しい、ぜひとも欲しい……ッ!!!」
左右多は拳をギュッと固める。
「そうか!?うんやっぱりそうだよな!俺もおかしいのは自分なんじゃないかって疑ってたんだよ。でも信じて良かったぜ!そうだろ!?」
カルーゲは左右多の握りこぶしを両手で掴んだ。カランとナイフの落ちる音が鳴る。左右多はギョッとして一歩退きながら「えっ!?あっ……うん、そうだね!」と答える。
(あれーっ!?やっべーよなんか食いつかれちゃったよ!つーかウソに決まってんだろ!?何だよナイフに手錠って!誰が考えたんだよ?ダサすぎて意味わかんねーよオイオイオイ!!!)
左右多の目に再び翳りが浮かぶ。
「おいお前……」とカルーゲが現実に戻す。
「あっはい、何スか?」
裏がった声で返事をした。
「このナイフ、欲しいって言ったよな?」
「えっ?あっ、まァ……」
「やるよ……」
「へっ……?」
カルーゲの思わぬ言葉に動揺する。
「やるって言ってんの、ホラ」
カルーゲは左手に持ったナイフをこちらに差し出した。
「あっ……ありがとうございます」
急な展開だった為、反射的にナイフを受け取ろうとした。
しかしナイフは手に渡らなかった。そのままズドッと――音を立てて左右多の喉元に刺さった。
「えっ?」




